アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

映画「存在のない子供たち」

2021-03-28 15:35:12 | 映画とドラマと本と絵画

    2018年にできた、レバノンとフランスの共同制作ドラマ。まったくといっていいほど知らない中東地域の話なので、借りてみました。

    冒頭から、撮り方はドキュメンタリー風。ベイルートのスラム街で暮らす主人公ゼインの日常が描かれます。その一方で、手錠をかけられた彼が、裁判所で原告となるというシーンも。過去と現在が行きつ戻りつしながらすすみます。

    ゼインは、食料品店の下働き、フルーツジュースなど甘いものを作って妹たちと路上で販売。学校へは行っていません。

    あるシーンは、薬屋で親に言いつけられたとおりの嘘を言って、薬をもらい、狭い部屋の中で彼の両親や姉妹たちがその薬を粉にし、たらいで溶かし、そこに衣類を漬けこむというもの。その衣類を刑務所らしいところに持っていき、受刑者(親戚らしい)に渡す。そして家族全員で刑務所の窓の下に集まり、受刑者と親しそうに言葉を交わす。

    その言葉の端から、やっと件の衣類がどういうものなのかがわかってきます。受刑者は差し入れされた衣類から薬を絞り出し、それを刑務所内で水から飲むか売るかするらしい、と。

    こうした彼の日常は、ほぼ説明なしで描かれます。

   「 監督は ナディーン・ラバキー 、脚本はラバキー、ジハード・ホジェイリ、ミシェル・ケサルワニ、ジョルジュ・カッバス、ハーレド・ムザンナル。. 実際に シリア難民 ( 英語版 ) であった子役の ゼイン・アル・ラフィーア ( 英語版 ) が ベイルート のスラム街に住む主人公の12歳の少年ゼインを演じており、エチオピア移民の若い女性ラヒルとその幼い息子ヨナスとの出会いを含むゼインの人生に焦点を当てた回想形式で語られ、子供達が直面する様々な問題が描かれる。」

   ゼインは推定12歳。親に身分証明書がないため、彼も出生届けが出されていないのですが、親も子供の年を覚えていない。無知というより貧しさで混乱したまま次々に子供を産み、遺棄や虐待は日常茶飯事となっているようです。

   ゼインの最も仲の良いすぐ下の妹サヘル(11歳)が、近所の食品店店主に強制的に結婚させられるに及んで、ゼインは親の仕打ちに我慢できず、家出します。

   そして出会った女性は、エチオピア人のラヒル。彼女は不法移民。国に残した母親に送金するため、ゼインの住んでいた家よりもっとひどい掘立小屋に住んで遊園地の掃除人として働いています。彼女の家に住まわせてもらったゼインは、彼女の息子ヨナスを一日預かり、寂しいながら気の休まる日々を過ごします。

   しかし、ラヒルの逮捕により、その日々は長くは続きませんでした。そしてゼインは最後に加害者に。冒頭の裁判シーンにもどり、やっと彼の訴えの真相がわかります。

  「両親を訴える理由は、自分を生んだ罪」

   戸惑い、ヒステリックになる両親。しかし、その両親も被害者。最後の1シーンのゼインの表情でやっと救われた気持ちになる、そういう映画です。

   主人公もシリア難民として8年ベイルートに暮らしていた少年だそう。彼の本名がそのまま主人公の名前になっています。他の役者たちも新人を務めて起用。ドキュメンタリー風の映像を心掛けたようです。こうした映画にありがちなウエットなシーンはほとんどありませんが、サヘルやヨナス、ラヒルとの交情が淡々と描かれ、胸が熱くなりました。

    ザイルの演技もすごいのですが、乳児のヨナスの表情やしぐさがとてもよくとらえらていて、おどろきます。演技とは思えないので、たぶん、編集の腕がいいのでしょう。作っている人たちの真剣さ、熱意を強く感じるドラマ映画でもありました。

    

 

 

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3月のどんぐり工房定例草木染め講習会、終わりました。

2021-03-28 11:30:54 | 草木染め

  きのうは、4か月ぶりの、どんぐり工房での草木染め講座でした。朝は少し冷えていましたが、日中はほど良い陽気となり、春の日差しを浴びながらの久々の染めを満喫しました。

   さて、昨日使った染め材料は、まず、枇杷の葉。昨年末かもしかしたらその前の年の暮れに友人からもらった枇杷の葉です。もらった袋のまま納屋にしまっておいたので、茶色に枯れることもほぼなく、カリカリに乾いています。

   もうひとつは、ゴバイシ。せんだって小屋の片づけをしたら出てきたもの。何年も前に敷地内のヌルデの木に生息していた虫こぶを蒸して、干しました。もうすっかりなくなったと思っていたら、まだだいぶ残っていました。いいグレーの出る貴重な染め材です。

   枇杷の葉は、ちょっと前まで生葉でしか染められないと思い込んでいました。でも、ある時試しに乾燥葉を煮だしたら、生葉とはまたちがういい色が出て驚きました。以来、いつでも使える材料として重宝しています。

   ただし、煮るときは、ソーダ灰を入れてアルカリ水にしてから。そして漉した後は、何度もひしゃくで液をすくいあげてはまたバケツの中に落とし、空気に触れさせます。そうすると次第にきれいな赤みを帯びた液に変身。1番液と2番液を一緒にして布を入れます。

   ゴバイシのほうは、昔から濃染処理にも使う素材です。材料たっぷりだったせいか、かなり濃いめの色になりました。1時間ほど染め液につけてから、鉄媒染液に。

   しだいにグレーになります。素材によっては黒に近い色にも。

   まだらの模様のシャツ。簡単そうでむずかしいまだら模様、うまく入ってほっとしました。

   真ん中の絹の靴下の白とグレーの間の部分の色に注目。ぼんやりですが、紫色になっています。ゴバイシは、うまくいくと、紫がかったグレーになる素材なのです。きょうは、ほんのわずか紫色っぽく見える程度のグレーにしかなりませんでしたが、参加者の皆さんには満足いただけました。

   自作のスカートに模様をつけてご持参なさった常連さん。いつも手の込んだ模様付けをしてこられるので、洗った後が楽しみです。

   冬は、比較的時間があるので、家でも染めに専心しようと思うのですが、作業場が半屋外にあるため、なかなかその気になれません。だから私にとっても久しぶりの染めでした。やっぱり楽しい。

   私が染めた、マスク。作ったのは、料理家の種の実caieさん。暮らしの学校のショップで見つけた呼吸のしやすいマスクです。真っ白いのを買って、染める機会を待っていました。可愛らしい春の色に染まって満足です。

  今回は参加人数が少なかったので、大きな布の染めが何枚もできました。染められる量は、参加人数やその折の染め液の量、進行具合などによるので、その旨、ご承知ください。

  来月は、第三土曜日の4月17日に開講します。染め材料には、萌え始めた若草を使うつもりですが、採取が出来な場合は、別の素材とするかもしれません。お申し込みは、どんぐり工房におねがいいたします。

 

 

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本日、10%オフセール中のヘルシーメイトに納品します。

2021-03-27 00:05:12 | アンティマキの焼き菓子とパン

  今週火曜日から始まった、ヘルシーメイトの10%オフセール。火曜日の納品に続き、本日土曜日も、納品します。

   お持ちするのは、初お目見えのあんこスコーン。信州産の農薬不使用の小豆を黒糖と甜菜糖で煮て、いつもより塩気の強いあんこにしてみました。

   こちらは、サトイモ入りのスコーン。この冬、一度だけ作ったこのスコーン、結構好評でした。サトイモの最後の時期にもう一度作りたくなりました。

   パンはこちら。黒豆の甘煮を入れたリュスティックです。

   もう一つは、パラダイス酵母ジュースで仕込んだ有機クルミ入りのライ麦パン。

   賞味期限の長いクッキー類もいろいろおいています。他のいろいろの商品もぜひこの機会にご覧ください。焼山店にも並びます。

   今回は、キヨミさんがこんにゃくと一緒にアンティマキの品を運んでくれます。私は本日、3か月ぶりのどんぐり工房定例の草木染め講習会です。   

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はじめてキムチを作りました。

2021-03-25 16:26:51 | 手作りのたべもの

  「稲武の寒い冬を越した白菜。ほしい人は畑に取りに来てください。無料で差しあげます」

  2週間ほど前、稲武の若い人たちの農業法人「ファームいなぶ」のフェイスブックでこの投稿を見てすぐに応募。数日後、畑を訪れました。

   露地なのに凍らず、しかも害獣にやられもせず、無事生き延びた白菜。ファームのメンバーの一人である友人の話では、「今年は白菜がどこでも豊作で安値だったので、直売場でもあまり売れなかった」とか。表面の皮をむけば、真っ白のおいしそうな葉がぎっしり詰まっています。初期のころに一回除草剤をかけただけという貴重な野菜、たくさんいただきました。

   友人知人にもおすそ分けしてもかなりの量のこっています。それで前々から家人に切望されていたキムチを作ることにしました。

   実は私、浅漬け以外の漬物が苦手。キムチももちろん食べられません。でも、代表的な発酵食品なのだから体によさそうです。自分で作ったら、少しは食べる気になるかもしれない。そんな気持ちもあって、すでに大量に作ったという畑の持ち主の友人にレシピをおくってもらい、ネットでも検索して、わたしのも食べられそうなレシピに変更して、材料あつめをはじめました。

    日本のトウガラシをちょっとだけ入れたらいいかな、とおもっていましたが、全然別ものなんだそう。それで、ネットでアメ横のお店から韓国トウガラシを購入。ニンジンとニラは自然食品店で、リンゴとタマネギと生姜、ニンニクは家にあったものを。以下、大体の材料です。

   白菜 2.5キロくらい

   塩 白菜の2・8%くらい

   韓国トウガラシ 80g

   リンゴ 1個~2個

   タマネギ1個

   ニンニク 20gくらい

   生姜 20gくらい

   魚醤 大さじ2杯くらい

   甜菜糖 大さじ1~2

   ニンジン 1本

   昆布 10センチくらい

   ニラ 1束

   最初にしたのは塩漬け。これは普通の白菜の下漬けと同じです。底のほうを十字に切り、手で割いてから塩をまぶしつけながら甕に。重しをして2日目くらいに水が上がってきます。

   リンゴとタマネギ、しょうが、にんにくをフードプロセッサーにかけてどろどろにします。そこに、韓国トウガラシ、刻んだニンジンとニラ、昆布を混ぜて、キムチの素が出来上がり。  

   友人から教わったレシピには、小麦粉と水で糊状のどろどろしたものを作って混ぜるとのことでしたが、面倒だったのでパス。この糊状のものがあると、白菜にうまく定着するのだそうです。

   キムチの素を白菜になすり付けるようにして、1/4株ずつ甕に入れていきます。

    一番上に残りの素を全部かけて蓋をします。

    できました。水気が少ないので心配でしたが、2,3日経つと白菜やほかの野菜からまた水が出てきて、なんとなくそれらしくなってきました。

     三日目、食卓に。家人が言うにはまだ漬け方が足りないそうなのですが、味はいいとのこと。そしてずいぶん辛いそう。ただし、ニンニクが足りなかったので、キムチらしさがちょっとないのだそうです。

    せっかくなので、わたしもほんの少し食べてみました。

    いやな味はしません。食べられます。

    でも、また箸を伸ばそうという気にはなりません。やはり、苦手。友人に自家製キムチを作ったことを報告したら、「納豆とキムチを混ぜたのおいしいよ」と。

   実は、納豆も、30過ぎまで嫌いな食品の一つだったもの。いまは一応ほぼ毎日一回は食べますが、好き!というほどにはなっていません。この二つを合わせるなんて、まだその気にはなれません。

   ともあれ、好きでなくても作れました。今度はいつか、キムチより嫌いなたくあんを自家製造してみたい。

 

 

 

 

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あした、ヘルシーメイトの10%セールに納品、そのあと、守綱寺のまちかど朝市に出店します。

2021-03-22 18:02:52 | アンティマキの焼き菓子とパン

  あしたから、ヘルシーメイトの10%割引セールが始まります。いつもなら2月末に開かれるのですが、緊急事態宣言下にあったのでひと月延期。23日から27日までです。

  一昨年までのような業者出店はないのですが、アンティマキは、23日と27日に、賞味期限の長いクッキー類のほか、パンやケーキも納品いたします。

  こちらは、自家製甘夏ピールのたっぷり入ったスコーン。

   おからのガトーショコラも、もっていきます。

   パンは、玄米ご飯パンのほか、パラダイス酵母のピンクペッパー入りのパン。

   焼き菓子は、バター卵入りの穀物クッキー4種のほか、ココアとまるごと甘夏ジャムのちょっとほろ苦いクッキー、それと久々に作る酒粕クッキーとブルーチーズのクッキーです。固いかきもちもおもちします。

   酒粕は、西尾の澤田醸造の純米酒の酒粕を使いました。チーズのような味がほのかにします。ブルーチーズクッキー同様、おつまみにもいいかもしれません。

    ところでブルーチーズクッキーですが、せんだって、お客様から「チーズの味が薄い」というご指摘を受けました。粉の2割近いゴルゴンゾーラチーズを入れているので、わたしとしてはびっくり。友人に食べてもらったら、「やはり薄く感じる。前に食べたのとは違う」。いわれて思い当たりました。しばらく前から、チーズを変えたのです。なんとなく物足りないかな、とほんのちょっとだけおもわないこともなかったのですが、重量が一緒なんだから、わたしの思い過ごしかな、とそのままの量で作り続けてきました。

   今回、指摘を受けて、重量を増やし、粉とチーズがよく混ざるよう工程途中でフードプロセッサーにかけて焼きました。

   前より、濃い味にはなりましたが、以前のブルーチーズクッキーと葉どこかちがいます。それで、今回は、急遽「軽めのブルーチーズ入りクッキー」という名前に変えました。こちらだと、ブルーチーズの苦手な向きにはぴったりかもしれません。

    でも、まえのようなインパクトの強いクッキーにしたいので、近々、材料の変更を検討することにしました。以上、取り急ぎお知らせいたします。

   守綱寺での読み聞かせの会は、10時半から11時まで。まちかど朝市は11時からです。わたしは朝8時に稲武を出て、ヘルシーメイトへ直行。納品を済ませたら、寺部町の守綱寺へ向かう予定です。途中何か障害が起きたら、11時にまにあわないかもしれませんが、必ず参りますので、お訪ねくださった方はお待ちください。ヘルシーメイト、まちかど朝市、ともに同じものをお持ちいたします。

   好評の、キヨミさんのこんにゃくも、両方で販売します。

 

 

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映画「バングラデシュの衣料工場で働く若い女工たち」

2021-03-13 16:48:09 | 映画とドラマと本と絵画

 10年以上前のことだと思うのですが、知人の娘さんが引越しをするというので、知人夫婦が下宿先を訪れ荷物の片付けに行ったおり、娘さんの洋服ダンスのなかにあったかなりの量の洋服を捨ててきた、という話を聞きました。荷物として送るにはお金がかかるので、やむなく、ということなのだそうですが、なかには、タグが付いたままのものもあった、と聞き、とても驚きました。

  そのころから、ファーストファッションということばを聞くようになり、ユニクロが全盛期を迎えていたかと思います。衣類の値段が極端に安くなり始めたのです。

  半世紀近く前の大学生時代、わたしは月額4000円ほどの家賃の下宿に住んでいました。当時、着るものは母が作るか、ごくたまにセールなどで見つけた手ごろな値段のものを買うくらい。同級生には、「おしゃれして、週に一回は街をウインドウーショッピングするのが楽しみ」と言うようなお嬢さんもいましたが、そういう向きとは無縁の生活を送っていました。

  その当時、はっきり覚えているのが、商店街にある公設市場の2階で見つけた黒のタンクトップ。そんな場所にあるのが似つかわしくない大胆なデザインで、背中一面が丸見え。値段は1000円。当時のシャツとしては高くはない。でも、家賃の4分の1です。いまでいうと、5000円くらいになるでしょうか。気に入ったのですが、1000円というお金を出すほど何度も着るかどうか自信がなくて、とても悩みました。

  悩んだ末に買ったこのタンクトップはその後、ずいぶん着続けたことをおぼえています。のちに、かなり質の悪いTシャツが500円とか1000円ででまわるようになったかとおもうと、じきに、1000円でも十分しっかりした生地のシャツが売られるようになりました。

  物価の上昇に比べると、衣類の値段の上昇がずいぶん抑えられていて、助かりはしましたが、きっと生産地ではしわ寄せがきているのだろうな、と思っていました。

  そうしたらやっぱりそうでした。「トゥルーコスト」という映画が数年前にでき、ファーストファッションの裏側がクローズアップされました。なかなか上映会には行けないでいるのですが、甘い話には裏があることを再確認しました。

  なにか、こういったテーマのドキュメンタリーを見たいと思っていたところ、先日、たまたま「バングラデシュの衣料工場で働く若い女工たち」という映画を見る機会を得ました。バングラデシュの人たちが制作したドキュメンタリーです。

  予想通り、バングラデシュの女工たちは、貧しい村の暮らしでは一家がまともに生活できないため、ろくな教育も受けられず、一家のために街に出て低賃金で働いている人たちがほとんど。100年前の日本の製糸工場の女工たちと同じ境遇です。

  彼女たちの労働時間は、一日10数時間。夜明けの2時3時まで働くこともざらにあるようです。現場の主任たちは、彼女たちの仕事がのろかったりへただったりすると、注意だけでなく折檻もします。竹で足場を組んだだけの高床式のぼろ家で共同生活をし、生活費を除くとほとんどを村への仕送りに当てます。かつかつの生活なのですが、それでも、彼女たちは村にいるよりましだといいます。意にそわない結婚をさせられ、母親と同じような苦労をするより、街の生活のほうが束縛が少ないのでしょう。

  工場主たちは言います。「私たちがバングラデシュの女性たちの自立の道を開いたのだ」男尊女卑があたり前の社会では、夫に従わざるを得ない。でも、自分で稼げたら事態は変わる。実際、飲んべえで働かない夫と離婚し、女手一つで子供を育てている女性が紹介されていましたが、彼女はベテランの女工です。

  バングラデシュにある縫製工場のほとんど(すべて?)は、欧米にあるアパレルメーカーの下請け。トップにあるメーカーの方針次第でデザインはころころ変わり、年々縫製の値段はおさえられています。世界中の先進国で安売り競争が激しさを増し、一方で流行をどんどん作りだして目新しさをもたらさないと、売れないからです。

  工場主たちも、必死にならざるを得ないことが映画ではよくわかります。彼らも被害者といえます。ある現場の主任が言っていました。

  「バングラデシュでは、高等教育を受けた人は海外に働く場を求めて出て行ってしまいます」彼は中等教育しか受けていません。欧米のメーカー同様に、デザインを考え、市場に売りに出す方策を考えるようなチームを、国内のメーカーでは作り出すことができないのです。だから必然的に、下請けしかできないことになる。悪循環です。下請けでは、独自の仕事の創出ができないのです。

   女性たちもものすごく従順です。皮肉を言えば、高等教育を受けさせないで庶民を貧しくて無知なままにしておくことで、使いやすい労働力を次々に補充することができるのだろうな、と思ったことでした。

   しかしそれでも、あまりの賃金の低さに耐えかねた女工たちが、数年前、最低賃金の値上げを求めて、デモ行進しました。暴力に訴えることは何一つしていないのに、警察官は彼女たちに向けて発砲。その前後だったかに世界中を驚かせたのが、工場の建物の崩壊です。仕事をしている最中、建物が壊れたのです。従業員たちは何日も前から上層部に異常を訴えていたのですが、無視され、たくさんの従業員がなくなりました。それもひとつではなく、いくつも工場で同様の事故がおきました。

   ところで、最近、テレビで見る女性アナウンサーは、前側をボウタイやリボン結びにしたデザインのブラウスをよく着ています。ちょっとギャザーを寄せたちょうちん袖も見かけます。あのデザインは40年~50年くらい前にはやりました。当時、友人がまさに流行の最先端のワンピースを着ていたのですが、それは彼女のおかあさんが娘時代に着ていたというものでした。いくら新しいデザインと言っても、実用に供さないと流行りません。そうするとおのずとデザインの枠は決まってくるのでしょう。だから、何度も似たような、でもほんのちょっとどこかちがうだけの型が手を変え品を変え、はやりすたりするのでしょう。

    バングラデシュの女工の話に戻すと、彼女たちの着ている衣装は、みな伝統的な衣装のサリー。彼女たちがミシンで扱う、複雑に裁断した布から縫製する衣服に比べて極めてシンプルで、わたしには優雅に見えました。もちろんあの衣装では、動きにくくて機械に巻き込まれやすいといったデメリットがあると思いますが、布を最大限に生かしているので、おそらくリメイクも、さらにそののちの小さくなった布の利用も、しやすいことと思います。

   さて私は、この冬、はじめてのダーニングに挑戦。穴の開いたセーターをいくつも補修しました。世界中の貧しい女性たちが衣装を仕立てるという作業と同じように、繕うことにも工夫と努力を重ねてきたことが、自分でちょっと始めただけで、わかりました。修理したものには愛着がわきます。でもその前に修理したくなるくらい、ちゃんと作ってあって気に入った衣類だけを身の回りにおいておきたい。

   映画の最後では、フェアトレードのブランド・ピープルツリーの創始者のインタビューが紹介されていました。ピープルツリーでは、単にフェアなトレードを進めるだけでなく、現地の伝統的な織りや柄をそこなうことなく、現代的なデザインを施した服の生産に努めています。それが現地の人達のより高い収入の確保になるとともに、彼らの自負や生きがいにもつながるからです。

   さて、次に私が見たいのは「トゥルー・コスト」。今回の映画とは違って、ピラミッドの頂点に立つ欧米のメーカーの上層部にも直接取材をしているところが興味ぶかいことです。

 

 

 

  

 

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稲武で、環境活動家谷口たかひささんのお話会を開きます。

2021-03-12 17:29:36 | 稲武のモノ・コト・ヒト・バ

  今年の稲武は例年になくけっこうな雪に見舞われました。18年前にこちらに来た頃の積雪量には及びませんが、冬のうちに雪の降った日は何日もあり、久しぶりに稲武らしい冬の日々を過ごしました。

  でも、寒かったはずの冬なのになぜか春の来るのは早くて、先日はつくしが数本、頭を出しているどころかすっかり成長しているのを見つけました。

   半世紀以上前の私の子供のころ、豊田市街地よりさらに標高の低いと思われる現豊川市に住んでいたのですが、毎年の春休みの恒例行事はつくし摘みでした。街に住む山菜好きの祖父のところに持っていくお土産を川の土手でたくさん摘んだのを覚えています。

   今の私宅の標高は600m。つくしに限っていえば、たぶん、ひとつき半以上早くなっていると思われます。梅のほころびも、今年はことのほか早い気がします。

   「温暖化」というと地球全体があたたかくなるだけ、という風に思っている人たちがいて、数年前のあるテレビ番組で、農業関係の専門家が「地球の温暖化と言っても騒ぐことはない。温暖になったら、作る作物を変えればいいだけの話だ」と言っているのを見ました。彼は、気候が乱れる、ということがわかっていないようで、専門家でもこんな認識しかないのか、とあきれました。

   アイスランドの氷が溶け、陸地が減っているとか、シベリアの永久凍土がごそっと溶けて空洞があちこちにでき、何万年も前のウイルスや病原菌が息を吹き返している、というニュースも聞きます。トナカイの移動経路だった氷河が早い時期に溶けるので、彼らが豊かな牧草地にたどり着くまでには移動の苦労でたくさんのとトナカイが死んでいるとか。とにかく枚挙にいとまのないほどの変化が起きているのに、日本のマスコミの通常の放送では、あまりきちんと取り上げられていない、という印象を私は持っています。

   昨年だったか一昨年だったか、谷口たかひささんという若い男性の、環境問題に関しての講演を収めたDVDを、「風の庭」の土井ゆきこさんに見せてもらいました。予想以上の気候変動の実態に、胸が締め付けられるようでした。「風の庭」は、わたし宅の隣の集落野入にあるフェアトレードカフェ。フェアトレードショップ「風''s」も併設しています。

   土井さんはその後も谷口さんの講演会に出席。この稲武にも彼にお越しいただいて、焦眉の急である環境問題~特に異常気象に関してのお話をしていただこうと計画。急遽、来月4月13日水曜日に講演会開催が実現することになりました。以下、講演会のチラシをコピペします。

*********   

地球を守ろう!

環境活動家 谷口たかひささん

お話会@稲武交流館(豊田市稲武町竹ノ下1-1; 電話番号: 0565-83-1007)

 

【日時】 2021年4月13日(火) 11:00~13:00

【定員】 30名まで(要予約)定員になり次第締切

【参加費】無料(多くの方にお越しいただきたいという谷口さんのご希望で無料としていますが、お志を頂ければ、経費を引いて交通費・宿泊費としてお渡ししたいと思います。ご協力をお願いいたします。)

                                      

<谷口さんのプロフィール>

1988年、大阪府門真市生まれ。 関西大学を経て、マンチェスター大学 へ留学。 在学中にインターネットビジネスで起業。 現在はグローバルIT企業の役員(株式会社Freewill、COO)を務めながら、社会課題解決を志し、ドイツへ移住/起業

気候危機/自由と権利を講演(年515回)

『地球を守ろう』代表

 

止まらない環境破壊、人々の無関心。

世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて

1.5に抑えなければ、

私たちは生きていけなくなる。

地球と向き合う残された時間は、あと4年程度とも言われています。

皆が知れば、必ず変わる!世界は変わる!

小学生にも分かる内容のお話会です。

【企画の思い】谷口たかひささんは、2019年夏、イギリスのBBC放送で2020年が地球を救うターニングポイントとなる年だと知り、行動を起こすことを決意します。この年の9月から、彼は日本の47都道府県をまわりはじめます。私は20年1月に講演を録画したDVDのひとつを見ました。想像以上の気候変動のすさまじい勢いとともに、映像で紹介された、この危機に対して果敢に行動するヨーロッパの若者たちや市民の姿に、驚きました。日本人があまりに暢気すぎることに愕然としたのです。

温暖化による気候変動に関して、日本のマスコミでは、ほんの一部を断片的に取り上げるばかりで、欧米の人たちが真剣に危機感を持ち、行動に移している姿すら取り上げることはほとんどありません。しかし、谷口さんは、知らないということを否定的にとらえるのではなく、「知れば変わるということだ」と言います。だから彼は、日本中を回ってお話をしているのです。

今、私たちは、豊かな地球を次世代に渡せるかどうかの瀬戸際に立っています。後代のひとたちから「あのときの大人たちが豊かな地球を使い切ってしまったのだ」といわれないために、わたしたちのできることは何か、一緒に考える機会にしていただけたらとおもって、このお話会を企画しました。 フェアトレード・ショップ風”s野入店 土井ゆきこ

 

【お申込・お問合せ】 古民家カフェ「風の庭」内フェアトレード・ショップ風”s野入店  【主催】「風の庭」くらぶ

090-8566-2638  huzu@huzu.jp 土井ゆきこ

 

 申し込みフォームはこちらから→ 

https://ssl.form-mailer.jp/fms/3640580e69

******

   当日は、小さなお子さんをお持ちのおかあさんたちにもご参加いただけるよう、特別のスペースも設けています。是非お気軽にご参加ください。感染防止のため、定員は大幅に抑えています。お早目のお申し込みをお待ちしています。

 

 

   

 

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