アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

城ケ山登山・千年の森散策

2018-05-27 19:31:01 | イベント出店情報とそのほかのお知らせ
  4年ぶりくらいに、城ケ山に登りました。いままで城ケ山に登ったのは2回。1回は夏焼の登山口からのぼり、野入の井口に出ました。もう一回は野入の井口から入り同じ場所に。

  今回は、大井平公園からのぼる、最も距離の長い登山道を選びました。朝10時少し前に出発。総勢6人の女子。この場所から上るのは初めてのメンバーばかりです。

   大井平公園の登山口からのぼると、しばらくシャクナゲの群落が続きます。盛りはちょっと前の時期だと思いますが、きっとさぞみごとだったとおもいます。話にはきいていましたが、これほどたくさんあるとは知らなかった。来年見に行こう。

   登山道は整備されていて、しばらくはコンクリートの階段が続きます。コンクリート製の標識の上に苔が生えていました。水だけで育ち、そのうちみずから土を作ってきたのかしら。
    
   眼下にシャクナゲ園が。前方が大井平公園です。

しばらく登ると林道に出ました。広くて歩きやすい。

  横倒しになった枯れ木にどんぐりが芽を出していました。どんぐりがまだ根元についています。

   ミツバツツジ。ほとんど咲き終わっていましたが、すこしだけあちこちに残っていました。

    朴の葉。日の光が透けて見えて美しい。

    無理やり作った林道なのでしょう、あちこち崖が崩れています。根っこの下の土がなくなって、がむきだしになっているのですが、なぜか新しい根がさらに伸びているようでした。

    林道からそれて、本格的な登山道に。思いのほか、急坂が続きます。木の根がちょうど階段の役目を果たしていて、滑り落ちそうなのをなんとかまぬかれたのですが、私にはかなりきつかった。途中、何か所もロープがはってあったので、私だけそのロープに両手をかけて登りました。のぼるのに必死で写真は撮れずじまい。

    ようやく頂上。ゆっくりあるいたので、2時間近くかかりました。こちらは夏焼方面。

     こちらは稲武市街地方面。きょうは、晴れてはいましたが、御岳など信州の山々を望むことはかないませんでした。でも高い山の頂上は気持ちいい!   

      さて、下山。かなり急な坂を上ってきたことがあらためてわかりました。下りは上りよりさらに慎重に足を運びました。上りのときのように心臓は踊りませんでしたが、別の筋肉がかなり疲れました。

     見渡す限りほとんど常緑樹の人工林ですが、手入れはわりとされていて、光が入っているのがうれしい。ところどころに灌木や別の木々が育っていますが、目立つのがシロモジとおもわれる香りのいい木です。ある個所ではあたり一面シロモジでした。ほんとはクロモジを見つけたかったのですが、発見できませんでした。残念。

     大井平公園に戻ったのは、午後2時半。すいすいと下りたつもりでしたが、下りに結構時間がかかりました。

     遅い昼食は、設楽町駒が原のばんじゃーるで。このところおなかの調子がすぐわるくなり、以前のように健啖家を自認することができなくなっています。それで、きょうはハンバーグ定食を頼んでいたのですが、ものすごくおなかが空いたので、急遽ひれ肉ステーキセットに変更。初めて知ったのですが、ひれ肉は、牛肉全体の3%しかとれないのだとか。大事に育てられた貴重なお肉はあまくてやわらかくて、案ずることもなくぺろっといただけました。添えられた野菜やご飯も美味でした。

     昼食後は解散の予定でしたが、同行者の一人の提案で近くの千年の森へ。土地の山主が、雑木林を美しい森として将来に残そうと整備した場所だそう。

     途中まで登ると広い平らな場所に小さな舞台がしつらえてあります。間伐材でできたベンチに座って見上げると、黄緑色の木の葉が幾重にも重なって、美しい陰影を見せています。道々めずらしい山野草も見つけました。

     森のすぐ前には、山主が森を訪れた人たちのために建てたというゲストハウス?があり、山主ご夫婦にもお目にかかりました。まえからお名前だけ存じ上げていた方たちです。たまたまお会いできてうれしかった。

     山主ご夫婦は、楓の木々から樹液を採取し、設楽産のメイプルシロップを作って商品にしています。奥様がそのメイプルシロップをごちそうしてくれました。さっぱりした甘さ! えぐみがなく、すっとのどに入ります。設楽町観光課をとおして、毎年3月に原液の採取ワークショップの開催をお願いできるとのこと。来年ぜひ、企画したい。そして自宅の敷地内にあるカエデからわたしも樹液を採取してみたい。

     帰宅したのは5時半。予定よりかなり遅くなりましたが、充実した一日でした。足は、はやばやと太ももから脛にいたるまでどんより重くなりました。あしたの筋肉痛のひどさがおもいやられます。でも、からだは突然活動的になったみたいで、またすぐにでも山歩きをしたい気分にかられています。  
 
   
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映画「怪物はささやく」

2018-05-23 10:15:13 | 映画とドラマと本と絵画
   あまり有名ではないこの映画。映像を何かで見て、面白そうと思ってツタヤレンタルの予約リストに入れたらしい。忘れていましたが、借りて正解でした。イギリス映画(らしい)。

   主人公の少年はいじめられっ子。母親は病気。父親は出ていき、アメリカで再婚。シガニーウィーパーふんする母方の祖母が彼ら親子の家をときどき来訪。厳しくて冷たいその祖母を、少年は嫌っている。

   でも、母親の病気が進行し、やむなく少年は祖母の家での生活を余儀なさくさせられます。毎日憂鬱な日々を送っているこの少年の前に、ある真夜中の12時過ぎに巨大なモンスターが現れます。彼は少年に3つの物語を語る、といい、最後は「お前が真実を語れ」と命じます。

   モンスターが語る物語は、アニメになっていて、このアニメの出来がすばらしい。絵もいいし、色もタッチもすばらしい。

    少年の心の成長を描いた、この作品、全編、映像は良質で、すきがない。エンデの「果てしない物語」を思わせるところもあり、たぶん、有名な原作を基にしているのだろうな、とおもいました。鑑賞後調べたら、同名のヤングアダルト向けの作品があり、作者が脚本も書いているとのこと。しかもこの原作、「ハリーポッター」ですらとっていない有名な賞を獲得しているのだそう。

    やはり、映画は話が大事。ただし、最後の落ちは、私はないほうが想像がふくらむな、と思いました。原作ではどうなのかしら。



     
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岡崎市「暮らしの学校」での染め講習会

2018-05-22 10:08:51 | 草木染め
   きのうは、岡崎市にあるカルチャーセンター・暮らしの学校での染め講習会「きさくにくさき染めの会」でした。昨年秋から3か月に2回開催の定期講座となり、昨日は2回目の講座。今期は13名の方が参加してくださいました。

   昨日使った材料はヨモギ。前回4月の講座の折には、「5月には若い草で緑葉染めをします」と予告したのですが、今年は例年よりも草の伸びが早すぎて、緑葉染めをするには遅すぎる気がして急遽、通常の染めにしました。

   ヨモギは10月頃までほぼずっと黄色が染められる草なのですが、季節によって染まる黄色はいろいろ。5月のヨモギ染めは、私にはたぶんはじめての経験です。

   前日、敷地内の数か所で採れるだけ採ったヨモギ。普段は刻んだらすぐ鍋に入れて煮出すのですが、暮らしの学校の講座の時間は短いので、採取してすぐ押し切りで刻み、ビニール袋に入れて持参しました。

   そのせいかどうか、夏以降のヨモギに比べたらなかなか濃い色が出てこなくて、心配になったほど。

   アルミ媒染液にいったん入れた布類を急遽銅媒染液に入れ替えたり、3番液のなかにカリヤスの乾燥葉をくわえて色を濃くする工夫をしたりして、なんとか思わしい色になりました。

   銅媒染で草っぽい黄色。鉄媒染でオリーブい色に。

   参加者のお一人が、ご自身で有松絞りをほどこしたハンカチ。花と葉の模様です。

   こちらは織りをなさっている方が織り糸の残りでちくちく縫った布。元は白でした。

講習会には、いろんな方がおみえです。みなさん、さまざまの布をお持ちになったり、選んだりなさって、模様の工夫もアイデアに富んでいるので、見ていて面白い。勉強になります。

    暮らしの学校の次の講座は、7月16日と8月20日。真夏なので、どちらかの会で、インド藍の染めも致します。暮らしの学校の講座、お問い合わせ、お申し込みはこちらまでどうぞ。

おなじく暮らしの学校の講座「アンティマキの優しく易しい焼き菓子とパンの会」、来期の講座は、7月6日と9月7日です。お問い合わせ、お申し込みはこちらに

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今年の醤油

2018-05-19 14:27:50 | 稲武醤友クラブ
    醤油を作り始めて4年目。昨年はこれまででもっとも早い時期~12月末~に絞りを済ませ、今年分の仕込みも、2月21日という、今までで最も早い時期に終えることができました。

    当日の写真をちゃんととるのを忘れたのですが、昨年のように、麹に納豆の様なにおいがすることもなく、水入れまで順調に完了。いつもの定位置~納屋~に置きました。

    絞り師のときさんから、「天地返しは何度やってもいい」といわれたこともあって、仕込みの日からしばらくは毎日あるいは一日おきに。その後ひと月の間に計7回ほど天地返しを行いました。

    毎年やっていても、たとえば濃度が昨年と違うような気がするとか、麹の中の小麦の粒が小さすぎる気がするとかいった微妙な違いがあり、心配したりほっとしたりの繰り返しには変わりありません。

私たちが作っているこの醤油は、通常と違って最初の数か月だけ冷暗所におき、外気温が上がってきたら、外にしつらえた屋根付きの場所に樽を移動して、夏の炎天下にさらし温度を上げられるだけあげて発酵を促すというもの。

    最初の年は梅雨明けの7月に移動したのですが、寒い稲武ではあたたかい場所に置く期間が短すぎる気がして、2年目は6月に、そして今年はさらにひと月前倒しして5月の連休直後に、移動を決定。実施しました。

    このところの不安定な気象では、梅雨時期と言ってもちゃんと梅雨が来るかどうかわからないし、夏だからと言って炎天が続くとも限りません。それで思い切って実行したのですが、案の定、移動してからしばらくして、外気温は急に上がり、稲武でも日中は25度を超える日も出てきました。

     温度との兼ね合いが大事なこの醤油の醸造、とにかくしばしば様子を見るのが肝要なようです。いまから晩秋まで、この場所で、ひと月一回の天地返しをしながら発酵を待ちます。ものすごい暴風雨になったり、害獣がむりやり屋根をこじ開けたり体当たりしたりしない限り、まずは無事に今年も過ごせそうです。
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学習漫画「よくわかる近現代史1~3」

2018-05-19 11:00:26 | 映画とドラマと本と絵画
    2020年から学校で、「歴史総合」という教科の導入が始まるそうです。これまで日本史と世界史を別々に学んでいたところを、双方同時に学ぶことで世界のなかで日本がどのような影響を受け、動いてきたかを知るという目的なのでしょう。その先取りともいえる学習漫画を見つけました。

   角川まんが学習シリーズ「日本の歴史別巻 よくわかる近現代史1~3」です。歴史を総合的に学ぶなら、最も大事なのは近現代史。明治維新以来、日本は、欧米列強、中国をはじめとする東南アジアの国々とどのような関係を築き、また壊してきたか、国内にどんな影響をもたらしたかといった事柄は、イデオロギーとは無関係に基本的な素養だとおもうのですが、知っておくべき事柄を学ばないまま、学校教育を終えた人は、たぶんとても多いと思います。

   最近の学習漫画ブームは、こうした基本的な素養を身につけるうえで、ものすごく便利。わたしは、「史記」も「三国志」も「項羽と劉邦」も漫画で学んだし、日本の戦国時代や古代史の一端、明治維新前後の激動の時代も、いくつかの漫画でイメージをつかむことができました。まだまだ不足の部分は山のようにありますが、広く浅く知ることがとりあえずたいせつなこと、とおもっています。

   さて、この3巻は、明治から現代にいたる日本の歴史を中心に、欧米列強や清朝末期からの中国の動向についてポイントを押さえながら解説。視点的人物に外交官(架空の存在)をおいたことで、とてもわかりやすくなっています。

   学習漫画のいいところは、第一番に風俗がわかること。この漫画も、とりたててその時代の文化について言及していない箇所でも、髪形や服装、食べ物、家などがしだいにかわってきたのだなということがわかります。昔も、人間はちゃんと生きて生活していたのだな、と実感できます。大人にとってはこんな事当たり前にわかっていることでしょうが、子供には教科書だけでは実感しにくいとおもう。

    小中学校の歴史の教科書は、はっきり言って単語の羅列。優等生でも、たいてい暗記しているだけで、実感をもって流れをつかむことはなかなかできていないように思います。本を読んで、教科書を補完できていたらいいのですが、そうはできていない子がほとんどのはず。漫画で補えたらてっとりばやい。
  
    個々の事柄はほとんど知っていましたが、世界史的な視点で見るとまた違って見えるのが新鮮でした。子供だけでなく、さらっと浅く知りたいおとなにもおすすめです。

    最後に一点だけ間違いを指摘します。3巻目に60年安保闘争を描いたコマがあるのですが、国会議事堂を取り巻く学生たちがヘルメットをかぶりタオルでマスクしています。これは間違い。ヘルメット、マスク、角棒は70年安保の時の学生たちの姿。60年安保の折は、学生たちは普通のシャツとズボンです。私の記憶では白いワイシャツと黒いズボンだったとおもう。ずっと地味でした。
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映画「静かなる情熱」

2018-05-17 10:27:01 | 映画とドラマと本と絵画
   1800年代のアメリカの女流詩人エミリ・ディキンスンの伝記映画。お勉強にと思って借りたのですが、冒頭から映像のすばらしさに度肝を抜かれました。

    厳格なピューリタンの学校を卒業したエミリ。卒業時、彼女だけ神への信仰に疑いをもつ発言をし、校長の怒りを買います。そのあと登場する伯母も同様のピューリタン。美しい楽曲やブロンテ姉妹の作品を称賛するエミリたちをなじります。詰問に対応するエミリ兄妹や父親の会話が難解でびっくりしました。

    皮肉、批判、揶揄・・そういったものをオブラートに包んで、応酬したい気持ちを小出しにしているので、じつにややこしい。その後も、こうした会話はつづきますが、エミリはうわべだけの信仰を批判しながら、深奥ではつよい信仰心をうかがわせる場面も随所にありました。

    ところで、おどろいたのは、女が何かすることに対する抑圧の激しいこと。エミリは、父の仲介で某新聞社に詩を送り、掲載してもらえることになったのですがなんと名前を伏せられました。女性が社会の前面に登場するのを極力阻むのが当たり前となっていたのです。

    ほぼ同時代かその少し後、日本では樋口一葉が活躍し、その後与謝野晶子も登場します。和歌の世界では、万葉の時代から女流歌人は宮廷歌人としても存在し、一目置かれていました。そういえば、ルネサンスの時代、女流の彫刻家だったか画家がいたけれど、女性差別で大変苦労したという話を最近知った記憶があります。文化の違いにびっくりです。

    エミリは、詩作すら、父親の許可を得て初めて可能に。夜明け前の数時間ならよいとの許しを得ます。小さないざこざはあっても、いざとなれば優しく包んでくれる家族から離れる勇気はなく、奔放に生きる女友達にあこがれを抱きながら、一生を家で過ごします。

   映画の最初のころと終わりのころ、二度にわたって、エミリの視線で部屋の中の人々、家具、壁、花瓶や置物、窓、カーテンなどがぐるっとゆっくり撮られているシーンがあります。ワンカットずつすべて絵になる美しさなのですが、エミリの複雑な内面とあいまって、重厚な雰囲気をかもしだしています。

   コルセットがきつくてつらかろうなと思われる衣装や、帽子、傘などの小物も、エミリの内面の葛藤や苦しさ、安らぎを反映させているようで、興味深いものでした。
   

   

       
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どんぐり工房でアンティマキの優しく易しいパンと焼き菓子の会を開きます。

2018-05-16 14:52:47 | アンティマキの焼き菓子とパン
    6月開催予定のアンティマキの優しく易しいパンと焼き菓子の会のご案内です。

    体に優しく作るに易しいパンや焼き菓子をめざす、アンティンマキ。とくにパンはなるべく手をかけず、しかもおいしいものをと心がけてきました。今度の会でつくるのは、これまで私が作ってきたこねないパンの中で、もっとも手をかけない、きわめてシンプルで楽に出来上がるパンです。ご興味のある方、ぜひおこしください。

     さて、このパン、写真の通り武骨ででっかいパン。通常より水を多めにして一晩発酵させて、二次発酵後、高温で一気に焼いたものです。高温で焼くことで、これまで高加水の天然酵母発酵だと型に入れないとだれ過ぎてしまった生地が、ふわっとふくらみ、中には適度な気泡ができることもあって、フランスパンのような食感となりました。

     焼き菓子は、発売以来好評を博しているおからのガトーショコラと、穀物を数種入れたビスケットをつくります。こちらは、ほうろく屋の菜種油と、豆乳のかわりにオートミールをふやかして作ったオートミルクを使います。

     動物性食品やスープの素をつかわない野菜たっぷりのスープと、パンに合うおかずもつくります。詳細は以下の通りです。

     *日時 6月15日(金)10時から3時ころまで
     *場所 どんぐり工房(稲武地区)
     *講習料 3500円
     *問い合わせ・申し込み
        アンティンマキのfacebookページからメッセージ
        問い合わせメール

     皆様のお越しをお待ちしています。
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映画「エボルーション」

2018-05-15 23:52:09 | 映画とドラマと本と絵画
    深海で赤茶色の藻の動くシーンから始まるこの映画、終始幻想的でした。

    場所は海の近く。白い廃墟のような家が続いた通りは出てきますが、街らしくない。登場人物は少年たちとその母親らしき人物や看護師の女性たちだけ。

    古い工場のような病院のような建物の中は調度も飾りもなく無機的。小道具は少なしい、セリフもわずか。役者は裸同然の姿か看護師のワンピースまたは手術着、あるいはうすい生地でできた簡単服。背景も貧相。その貧しげなところが幻想的に撮ってあって、極めて低料金でできていると思うのですが、吸い込まれるように見てしまった。

    街の風景は、キリコの絵をおもわせ、主人公の少年が女たちの「秘密」を探るために歩き回るシーンは全画面真っ暗ななかに、あかりだけが動く。    

    少年たちは何らかの手術を受け、子をはらむ。はらんだ子を看護師たちは出産を待たず帝王切開する。少年たちは病んで鼻血を出す。

    一見ホラー映画のようですが、こわくはありません。少年たち、実は少女なのかも。初潮を迎えた少女たちの戸惑いや恐れ、好奇心と不安。そういったものを幻想的に描いているようにおもえました。わかりにくいところもあったけれど、映像がきれいなので気にならなかった。よくできた映画です。
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今年初の石窯で遊ぶ会を開きました。

2018-05-15 14:24:29 | 稲武のモノ・コト・ヒト・バ
   今週の日曜日13日に、昨秋以来半年ぶりで、稲武の大きな石窯で遊ぶ会を開きました。

   朝からあいにくの雨もようでしたが、市街地や近隣の山間地から9組、計13名の方が集まってくださいました。予報では3月並みの気温となるといわれていたし、久々に窯を扱うしで、ちょっと心配だったのですが、前日に使われた直後だったそうで、扉を開けるとほんわかあたたか。それもあって順調に温まり、予定より早めにピザの焼成を始めることができました。
 
   この日のピザは、山野草ピザ。私が前日に庭で採取したセリ、ミツバ、カキドオシ、ウドと、相棒のきよさんが採ってきてくれたクレソンとオレガノ、それに二人で掘りに行ったタケノコを載せました。

   ウドと言っても使うのは軟化した白いウドではなくて、緑色の茎と芽のところ。前夜オリーブオイルでいためてキンピラにしたものです。チーズはいつものセルロース不使用の溶けるチーズのほか、モッツァレッラも使いました。クレソンは焼きあがりに好きなだけ。どれも、それぞれ生の草を食べてみて好きなものを選んでもらいました。

    意外においしかったのがウド。いつもキンピラにするときは花かつおやチリメンジャコ、ゴマなどをたっぷり入れるのですが、この日はいためて軽く味付けしただけなので、かなりえぐみが強くて誰も選ばないだろうなと思っていました。でも、焼きあがったピザのなかのウドは適度な香りが残っていて、美味。好評でした。かなりにおいの強いカキドオシですらほんのり香る程度になりました。先日の草の会の料理でも感じたことですが、草とチーズやお肉はよく合います。

    野草ピザ、なかなかすばらしい。モッツァレラチーズを加えたのもよかった。

    写真がぼけてしまいましたが、スープはいつものように竈にかけた大鍋でたっぷりの野菜やキノコ、豆類を入れて煮込みました。参加三回目の中学生の男の子が、かまどの世話を一手に引き受けてくれて大助かりでした。

    昼どきには土砂降りになったので、ご飯はあずまやで。美しい新緑に囲まれたこの場所、結構落ち着きます。

    お昼過ぎには二次発酵を終えた大型カンパーニュを焼き始めました。焼いている間、スコーンの準備にはいります。

    石窯で焼くのに最もおすすめの焼き菓子は、スコーンではないだろうか私は思っています。それくらい、石窯で焼いたスコーンはおいしい。だから、毎回、ほんとはいろいろの焼き菓子を焼いてみたいとは思うのですが、はじめての参加者にはぜひこのおいしさを味わっていただきたくて、結局スコーンを選んでしまいます。といっても、中身は毎回変えています。今回は、チョコレートチップとまるごと甘夏ジャム入り。

    スコーンの準備が終わったころ、パンが焼きあがりました。少々過発酵気味だったので、立ち上がりがちょっと弱いようです。

     でも、おいしそう。日本ではまだまだ黒パンを好まない人が多いと聞きますが、石窯の会に来ていただいている方には、いつも好評のこのカンパーニュ。全粒粉とライ麦粉がたっぷり入っています。

    パンをとりだした後窯に入れたスコーンは、30分後に焼きあがり。

    チョコレートを入れたスコーン、実は初めて作ったのですが、うまい! チョコレートの量が適量だったようで、甘すぎず、物足らなさすぎず、でした。

    最後まで雨は降り続き、ハウスポニーの周辺で遊んでもらうことはかないませんでしたが、雨に濡れた新緑や靄に包まれた山を眺めるのもまた一興。楽しい一日となりました。

    次回は夏休みに入ってすぐのころ、7月末の休日開催を予定しています。今度も、野草や雑草を使った、野趣あふれるピザを工夫したいと思っています。




    
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3回目の草を採り草を食べ草の話を聞く会を開きました。

2018-05-12 14:36:39 | アンティマキの場所に生きる動植物
   昨年に引き続き、合同会社つむぎてのメンバーで、雑草料理研究家の前田純さんをお招きして、今年も草を採り草を食べ草の話を聞く会を開きました。

   採取場所は、アンティマキの雪割草ガーデン。まだ名ばかりのガーデンで、野原といったほうがいい場所です。こちらに前田さんをお迎えして、講座を開始。この日取り上げたメインの雑草は、ギシギシ、カキドオシ、白ツメグサ、セリです。2週間前に前田さんが下見にいらしたときは健在だったスミレは、もうすっかり姿を消しているそう。たった2週間で植物の様相が変わっていて、びっくりなさっていました。 

   カキドオシは漢方薬にも使われている植物。連銭草ともいわれています。カキドオシは「垣通し」からきていて、文字通り垣根を伝ってはびこる強い草です。薄紫色の花がかわいくて、強い芳香があります。一見ヒメオドリコソウと姿が似ていますが、においが違うし、花の付き方もことなります。

    前田さんが持っているのはどちらもカキドオシ。大きいほうは小屋の外壁を伝い上っていたもの。日陰で育ったほうが大きくて色が濃いのだそうです。逆境で育つもののほうが頑張るから、らしい。

    大きな葉をあちこちにひろげているギシギシ。これも日の当たる場所と日陰の場所とでは、味が違うのにびっくり。日陰のほうが酸っぱさがすくなく、おいしいのです。

    昨年はこの場所の奥のほうにだけ生えていたセリ。今年は、前面にも進出していました。前田さんもびっくりするほど旺盛に生育。セリは水分が多く含まれている場所に育つそうなので、前面にもセリが増えたということは、地中の水分が増えたということになるのでしょうか。東海豪雨のおり、一気に水があふれ、土砂崩れを起こした場所なので、地中に水分がたまるというのは心配なことです。

    でも前田さんによると、「いまは水分が多いからセリが繁殖しているのだろうけれど、セリはどんどん水分を吸うので、いずれ地中の水分は減りまあす。そうなったらセリはなくなる」とのこと。植物は大変な勢いで一気に増えても、必ず限界が来て、周囲とのバランスをとるようになる、というのです。おもしろい。

    これはヤエムグラ。万葉集の時代から歌に詠まれていた植物です。名前は知らなかったけれど、服にひっつくので、子供のころよく採って遊びました。美容にいいとかで、美容界注目の植物だとか。きくかどうかわからないけれど、焼酎漬けにしてみたい。

    採取の後はどんぐり工房の調理室で調理の開始。藤の花も食べます。藤の向こうがセリ。

    カキドオシのペーストは、バジルペースト同様、葉っぱ、オリーブオイル、塩、それにクルミで作りました。かなりにおいのきつい葉なので、好き嫌いがありそう。

    こちらは桑の葉入りマフィンの生地。稲武は昔養蚕が盛んだったので、あちこちに桑の木が生えています。私の家の敷地内にもあちこちにあり、成長がはやいので邪魔者になっていました。その桑の葉、薬効がすごい、と最近聞いたのでこの日のスイーツには桑の葉を使ってみることにしました。上には小さな桑の葉をのせて。

    そして焼き上がりはこちら。生地の中に粒あんを入れました。

    この日のメニューは、アンティマキのこねないパンのオープンサンド、生春巻き、新玉ねぎのポタージュ、桑の葉マフィン。

    オープンサンドに使うパンは、米粉バンズと有機小麦粉のブールを用意しました。トマト、キュウリ、ゆで卵、レタス、前日作っておいたひよこ豆のペーストに、クローバー、ヒメオドリコソウ、セリ、ヒメジオン、サクラタデ、その他多種類の生雑草をトッピング。

    生春巻きは、モヤシ、ニンジン、スナップエンドウなどと肉みそのほか、好きな雑草を巻いていただきます。

    スープの出しは、雑草。白ツメグサとセリを水から煮だし、雑草ブロスをとりました。最後はブロスでよく煮たタマネギやジャガイモと一緒に、こした滓もフードプロセッサーにかけてできあがり。きれいな緑色のポタージュができあがりました。

    とても豪華なランチとなりました。生春巻きは、結構どの雑草を入れてもおいしい。肉みそと雑草が合うようです。ただし、サクラタデだけは苦すぎてわたしはアウト。でもこの苦みがすき、という方もいて、おもしろかった。文字通り「蓼食う虫も好き好き」でした。

    オープンサンドに塗ったカキドオシソース、こちらも少々きつい。昨年、別の草で作った時はおいしいとおもいましたが、今回はそこまでおもえなかった。でも、ニンニクや粉チーズを加え、ナッツももっと増やせば、たぶんおいしくなると思います。

    写真を撮り忘れましたが、私のパンの先生で友人の倉橋知栄さんが、セイタカアワダチソウとヒメジオンをそれぞれを使って、草と野菜の入ったパンを焼いてくれました。柔らかくて食べやすく、草のえぐみをチーズが適度に消していい味になっていました。

    今回の参加者は13名。遠くからお越しいただきました。草を知ること、草を食べることに興味を持つ方がおおくて、うれしい。

    次回の開催は、秋。前田さんによれば、昨年にくらべて植生が微妙に変わっていて、草の種類が増えているとのこと。今度はどうなっているのかな。ところで、以前口にしたときよりおいしいと思ったギシギシは、ソレルという名前のハーブでもあるらしい。ソレルはソースにするといいようなので、次回はぜひ作ってみたいと思います。

     
    

    

     

    

    




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