アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

イネの苗の再植のはなし

2012-08-08 10:25:15 | こめこなクラブ
   先日小麦の脱穀のため、大野瀬町の筒井さんのところにいったとき、彼からおもしろい話を聞きました。昔の米作りのことです。

   彼が育った岐阜県現恵那市上矢作地区は、今住んでいる大野瀬町大桑集落の山を越えた隣町。そこで昔行われていたのが、「再植」という方法だそうです。

   「再植」とは文字通り、苗を再び植えること。通常、田植えというのは、苗床で育った苗を田んぼに植える作業を指します。でも、上矢作地区では、苗床で育った苗を特別に設けた場所にいったん植えておいて、ひと月ほどしてから本田に再び植えなおすという方法をとっていた、というのです。

   たくさんの苗を2度も植えるというのは、手間のかかる作業なのですが、この方法を取る利点は2つある、と筒井さんは言います。

   ひとつは、仮植えしている間に苗は根を伸ばし、初夏の気温でぐんと背丈も伸びます。そのよく育った苗を田んぼに植えると、根が長いので、通常の場合より水深が深くても大丈夫です。こうすると、生えかけた雑草は水の中で育たず、死んでしまうのだそうです。死んでしまうといっても、全滅はしないのでしょうが、その後の草取りの手間がかなり省けるのだそうです。

   もうひとつの利点は、麦との二毛作ができること。今回、私たちが秋蒔きの麦の収穫をしたのは、6月下旬でした。蒔きどきがちょっと遅かったかもしれませんが、それでも、収穫はどうしても6月中旬ころになるはずです。田植えはだいたい5月から6月半ばころまで。そうすると、麦刈りから田植えまでの間がかなり少ないので、麦を畑ではざ干しする時間がとれません。

   いまは、ほとんど二毛作などしないだろうけれど、昔はどうやって麦作と米作の切り換えをしていたのだろう、と不思議に思っていたところでした。

   筒井さんの話を聞いて納得。寒い稲武ではたぶん二毛作は行われていなかったとおもわれるので、この方法はある程度あたたかいところでのやり方なのでしょう。農業機械が普及する前の話なので、田植えはどちらにしろ手植え。田植えのしんどさが2倍になるこの方法、いま知っている人はもうほとんどいないだろう、と筒井さんはおっしゃっていました。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 小麦の脱穀 | トップ | 今年もマイタケのふせこみ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

こめこなクラブ」カテゴリの最新記事