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アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

木曽の木地師の里へ

2015-01-02 16:24:14 | 小さな旅
    ちえさんの料理教室1日目の次の日、彼女と一緒に長野県南木曾町の木地師の里まで足を延ばしました。盛りの紅葉を見るのと、翌日教室で使う野菜、それと、木地製品を見る、というのが目的です。

    家を出て最初に訪れたのは、車で数分のところにある三木さんの農園。あまり知られていませんが、ブルーベリーの紅葉も、なかなか見事なのです。

    青空との対比が美しい。今、白一色の雪景色を見ながら、たった2か月前のこれらの写真を見ていると、なんだかウソのようです。毎年冬になるといい季節のことがとおく感じられます。

    さて、その後、信州に。でも、すっかり撮影し忘れて、信州の紅葉の風景は一枚も撮れませんでした。

    この日、お昼ご飯を食べるのにふさわしそうなところが思いつかなかったので、お弁当を用意しました。前日仕込んだフォカッチャに自家製ピクルス、数日前にヘルシーメイト岡崎店で買った無添加のハム、それにチーズです。

    でも、車の中以外、外に出てお弁当を広げられるところが見つからず、たどり着いたのがこちら。木地師の里のはずれにある白木地製品専門店で前からほしかったせいろを買い、しばらく岐阜方面に向かったあと、戻った木地師の里内のお店、木地屋やまと。こちらに喫茶の案内が出ていたので、とりあえず駐車。

    立派な板の並べてある倉庫?の前に、こんなくどがありました。キャスター付きです。ほしい!

    しゃれた木の器や小物が並ぶ店内の奥に、喫茶コーナーが。感じのいい場所です。ストーブの上に吊り下げられた電球の傘がおもしろい。木を薄くへいで作ったものです。二つとない、ユニークな形です。コードを隠したのが竹なのも、おつです。

    コーヒーについていたパン、おいしかった。ご主人の許可を得て、持参したお弁当もここで広げました。 

    こちらのお店、前に何度か訪れたことがあるのですが、いつも、製品のセンスの良さに感心していました。レイアウトも感じいい。下の写真は、ご主人の小学3年生の娘さんが制作した箸だそう、味のある形でした。

     帰りはひまわりの湯で入浴。帰宅後とった遅い夕食は、買ったばかりのせいろで蒸したキャベツとパン。

     キャベツは甘く、パンはしっとり柔らかく蒸しあがりました。でも、水っぽくはありません。「金属製の蒸し器だとこうはいかない」とは、ちえさんの弁。

     数日後、この蒸し器でおこわを炊きました。なるほど、いい。

     以前、ちえさんの料理教室でお寿司を作った時、金属製のバットを使ったら、酢飯がべちゃべちゃになりました。急いであちこちの戸棚を開けて探してみたら、飯切りが出てきました。酢飯を飯切りに移し替えた途端、べちゃべちゃだったご飯がうそのようにちょうどいい固さになりました。あの場合と同様、水分の吸収が塩梅よくなされているのでしょう。高い道具なので、ずっと買おうかどうしようか迷っていましたが、思い切って買ってよかった。

     こちらは、この日、阿智村で買った姫リンゴ。結構入っていて300円でした。お店のおじさんは「おいしくないよ」を連発していましたが、けっこうおいしかった。

     ちえさんに教えられて、この姫リンゴに竹串で穴をあけ、酢漬けにしました。簡易リンゴ酢の出来上がりです。もうそろそろなじんでくるころ。明日あたり、味を見てみます。





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阿寺渓谷での自然観察会に参加しました

2014-09-07 15:31:29 | 小さな旅
とよた森林学校主宰の「木曽五木を見に行こう~   」に参加しました。先週金曜日のことです。8月の終わりころは大雨が続き、この日も稲武を早朝出たときは小雨でしたが、観察場所の阿寺渓谷に着いたときは晴れていて、ほっとしました。

    この日の観察会の講師は北岡明彦さんと北岡由美子さん。現地に到着してすぐに教えてもらったのがこの野菊です。ユウガギクというのだそう。普通よく見かける野菊はノコンギク。こちらは、花がまばらで白いのが特徴だそうです。うちの敷地内にたくさん育っているのはこの野菊のようです。花が少ないのになぜ「優雅」と名付けたのか不審に思って北岡さんに尋ねると、「柚香菊がなまって優雅菊になったのです」とのこと。柚子の香りがするということなのだそうですが、香りはほとんどありません。

     この観察会の主な目的は、木曽五木を見ること。木曽五木とは、江戸時代、尾張藩が伐採を禁止し5つの木のことで、ヒノキ、サワラ、ネズコ、コウヤマキ、アスナロを指します。阿寺渓谷には、ネズコ以外の4木が育っています。上の写真はヒノキかサワラのどちらか。教えてもらった直後は覚えていたのに写真だと、見分けがたくなりました。とげとげしているのがヒノキ、すべすべなのがサワラだったとおもいますが、逆かも。サワラはにおいがとてもよかった。葉の付き方も違っていて、サワラのほうがまばら。

    ヒノキは、五木のうちで材木としてもっとも高級とされています。サワラはその10分の一。建材ではなく、桶など日用品に用いられるそうです。

    ハイイヌツゲ。大きくなりそうな葉っぱなのに、低木なのだそうです。

    ヒノキの人工林。10数年前に間伐したきりの場所です。稲武あたりに比べたら木の間が空いているとおもうのですが、下の方の枝は枯れ枝が目立ち、木の肌も荒れています。美林といわれる木曽ですら、こんなに手入れがなされていないのかと、暗澹とした気持ちになりました。

    木曽川の上流のひとつ。水の色がうつくしくて見とれました。

    ウナリ島という場所にはコウヤマキの群生が見られました。コウヤマキは成長が遅く、これだけ群生している場所は珍しいのだそうです。

     ここでは、バイカオウレンがいっぱい生えています。でも、植物の数は、すぐ近くのほかの場所と比べてかなり少ない。

     マルバノキです。紅葉がとてもきれいだそう。この渓谷にはマルバノキがあちこちにあり、美しい紅葉を見せるそうです。すでにはじまりかけています。日の光にすかせてみると、いっそう美しい。


     昼食を終えてから、昔の森林鉄道跡に造られた道を歩きました。左側の石垣は、大正時代、線路が敷設された折に積まれたもの。右下の河原から同じ大きさの石を拾ってきて組んだものらしい。

     形がそろっていることに驚きます。当時のことなので、すべて人力。大変な仕事です。戦後まもなくトラック輸送の発達によって鉄道は廃線に。わずか30年ほど使われただけだったようです。そしていまは、材木自体を伐り出すことがなくなり、人の行き来はありません。伐って売れば何十万とか何百万とかするというヒノキが、放置されたまま。もったいないことです。

     ホトトギスの野生種。かわいい。

     サワグルミの木。垂れ下がっているのが実です。

     こんなに小さい。

     こちらは拾ってきたオニグルミの実。大きさがこんなに違うとは思わなかった。ところで、このオニグルミ、山で見つけたとき、講師の北岡さんが石で叩き割り、中の身を取り出して食べさせてくれましたが、渋みはなくてちゃんとクルミの味がしたので、びっくりしました。クルミは地面に埋めてしばらく置いて渋みをとってしか食べられないと思い込んでいました。

     フサザクラ。数年前、うちの玄関前の石垣の間から生えてきた木に似ています。葉の形がとてもよく似ているのですが、どうなのでしょうか。

     写真中央の三角状のところは、数年前に山崩れのあった場所。両側とは違う植生になっています。北岡さんがおっしゃるには、「山崩れは、自然界にとっては必要なこと。崩れることによってその場所が再生し、森林が新しく生まれ変わるのです。人間は山崩れの起きそうなところに住まないようにするしかない」と。なるほどと、納得したことでした。

      ニホンカモシカがこちらを見ています。私たちがいっせいに足を止めて写真を撮り始めたのに、動じもしません。写真中央の木々の間。まだ若くて白っぽい色をしています。このカモシカ、40分以上あとで私たちがこの道を引き返してきたときも、まだ同じ場所に立っていました。

     左下の赤い橋は鉄橋。ここから向こうはヒノキの原生林で、いまは手つかずの森になっているところ。

      左側のガードレールは、昔の線路を利用したものです。

      愛知、岐阜あたりのみに育っているハナノキ。もとはたくさんあったらしいのですが、いまこの森にはこの太い木一本だけが生き残っています。愛知県の県木はこのハナノキなのですが、実はあまり見かけない木なのです。

     北岡さんの話を聞いて、これまで在来種のハナノキとおもってながめていたうちのハナノキは、アメリカハナノキと在来のハナノキを掛け合わせてできたハナノキだと知りました。がっかりです。

      帰宅してから撮った写真です。右の葉は、阿寺の森のハナノキの葉。左はうちのハナノキの葉です。形からしてこんなに違います。

      
      何十年も前、ハナノキが県の木に指定されたとき、県民に苗が配られたそうですが、その苗は全部、掛け合わせてできた苗だったそう。うちの一本も、どうやらその苗の一つだったようです。

      いま、北岡さんたちは、数少ない在来種である豊田市旭地区の旭高原のハナノキから苗を作り、増やすことを始めているそうです。

      これまで、大事なハナノキだからと、周囲にあるイタヤカエデやカキノキ、ヒバを邪魔に思っていましたが、この事を聞いてから、せっかく大きくなった木ですが、潔く切ることにしました。ほんとのハナノキの苗が手に入ったら、ぜひともどこかに植えてみたいと思います。

       北岡さんの案内で歩く観察会、今回四度目の参加ですが、いつもとても有意義。私の望みは、うちの敷地内にある木々と雑草の名前を全部知ること。今回は、今庭のあちこちに咲いている野菊のちゃんとした名前と、ハナノキの正体を知ることができました。






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八事・興正寺マルシェに行ってきました。

2014-06-04 16:12:40 | 小さな旅
   ずっと前から気になっていた名古屋市の八事で毎月開かれているイベント、興正寺マルシェに、先月21日、はじめて行ってきました。同行したのは、奥三河Three trees+のゆきえさんとみきさんです。

   山門の手前にも向こう側にも、お店がずらっと軒を連ねています。この日の出店数は約90店舗だったとか。平日でしかも雨が降っていたにもかかわらず、けっこうな人でにぎわっていました。

   入り口付近にお店を出していたのは、長野県の最南端の村・天龍村です。立っているのは、友人のMさん。この春、天龍村の村おこし協力隊の隊員として採用され、村の特産品作りなどに携わっています。

    こちらのブースで購入したのがこれ。左から柚子うどん、栃のそば、干し柚子です。長野というとどこも標高が高そうですが、この村は、長野県で唯一柚子が採れる比較的暖かい土地なのだそう。かんきつ類がいっさい実らない稲武より、だいぶ標高が低そうです。

    どれもまだいただいていませんが、よそで見かけたことのないものばかり。とくに干し柚子は、グッドアイデアだとおもいます。漬物にもパンやクッキーにも使えそうです。ジャムやピールにしなくても干すだけで保存できるなら、楽です。この冬、柚子のもらいものがあったら、ぜひ試みてみたい。

    マルシェは、野菜、雑貨、クッキーやパン、コーヒーそのほか多岐のジャンルに渡ってお店がでていて、ほしいものがけっこうありました。パンやクッキーもいろいろ買いました。おいしいもの、勉強になるものなどいろいろありました。

    なんと、岐阜産の黒砂糖を発見! せんだって奄美に住んでいる友人が送ってくれた黒砂糖より、味が淡白。でもちゃんとあまくておいしかった。本州でもちゃんとサトウキビはできるようです。

    マルシエの帰りに寄った、名古屋大学近くのカレー屋・ホジャナラスティン。野菜のカレーとマトンのカレーのセットを頼みました。このおみせも、前から友人に勧められていたところ。やっとこれました。カレーはどちらも独特。野菜カレーはレンズマメがベースで、香菜で風味付けされていました。

    店主の話では、とくに、どの地域のカレーというわけではなく、彼らが独自に工夫したカレーだということです。生の香菜のにおいがちょっと苦手のわたしは、どちらかというとマトンのカレーのほうが口にあいましたが、同行した二人は、野菜のカレーに軍配をあげました。

    このお店の隣は、いつもイベントなどでいっしょになるコバレレコーヒーの実店舗・昭和宇宙。こちらのコーヒーはすべて有機で、いつ買ってもはずれがありません。

    そのまたお隣は、輸入食材店。トルコ人の経営しているお店だそう。食材が安いと聞いていたのではいったのですが、ほんとに安くておどろきました!

     このレンズマメはカナダ産1キロ袋で、314円、トルコ産のパスタも1キロ袋で、なんと140円でした。あまりに安いので、買うのがためらわれるほどでした。

     さて、この興正寺マルシェ、なかなかいいイベントだったので、奥三河Three trees+で出店をすることに決めました。第一回目の出店は9月21日の予定です。近くなったら、あらためて告知します。
    


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森の草花を調べる観察会に参加しました。

2014-05-29 18:18:44 | 小さな旅
  とよた森林学校が主催する観察会「森の草花調べ(春)」に参加しました。この会は全3回の催し物。第一回は4月15日に、稲武地区面の木峠で開かれました。
  
   名古屋市教育センターを抜けた所にある石碑から出発。人工林からブナの原生林に入るコースです。最初に見たのがこのスミレ。ニョイスミレだそうです。

   昨日、家の敷地内でも発見しました。

   観察会の講師は豊田市森林課の北岡明彦さん。彼がこの時期、もっと好きな新緑だといって教えてくださったのがこの木。イヌブナです。ひとくちに新緑といっても、その色はそれぞれ微妙に異なります。葉の大きさや厚さによっても違って見えます。新緑の美しさは、こちらに来てはじめてしみじみ感じるようになりました。





   
   道すがら、このブナ林ならではの植物をたくさん見ました。それぞれ名前を教えていただいたのですが、メモと写真が照合できないので、並べました。

   はっきりわかるのは、このスルガテンナンショウ。うちにあるヤマザトテンナンショウとは、頭の色が違いますが、ユニークな生態はおなじ。このテンナンショウ、別名マムシグサはなんと成長の途中で性転換するのです。

   沢に沿って、上っていきます。目指すのは、面の木園地。標高1000mくらいの場所です。このあたり一帯は、ブナの南限地帯。ブナの原生林が続いています。

   一部、スギやヒノキの人工林もありますが、間伐がされているので、日当たりがよく、ブナやそのほかの雑木に混じって、自然林のような様相になっているそうです。スギやヒノキがあっても、こういう森なら気持いい。
   
    でもやはり、ブナを中心にした森は、美しい。さまざまな鳥の鳴き声も聞こえます。

    園地まで2時間弱かけて歩きました。途中でカメラの電池がなくなったので、写真はここまで。

    午後は、小雨が降るなか、面の木峠をのぼり、ほぼ400年前に生まれたブナの原生林を見に行きました。太平洋側のブナの寿命は400年。あと何十年かで消えてしまうブナ林です。霧が立ち込めた森は、幻想的。昔の人が、山の中で、妖怪や精霊の気配を感じるような気がしたのも、わからないこともないなと思わせる雰囲気です。

    今年は、ブナの実生が例年になくたくさん生えているそう。とくにブナの木の周りには、あちこちにかわいいブナの苗の本葉が発見できました。

   でも、北岡さんによれば、これらの苗のうち、成木になるのはごくごくまれ。それに、このまま温暖化がすすめば、愛知県のこの地方が400年前のようにブナの生育に適した土地であり続ける可能性は少ないとのこと。だから、なんとか生き延びても、親木のようにこの先400年成長し続けるかどうかはわかりません。

   ずっと前から参加したかった北岡さんの観察会。一日ほとんど急な山道の上り下りだったのでついていくのが精一杯でしたが、空気も景色もよくて、話もすべて興味深く、たのしい一日でした。

   

    

   
    

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綾渡の夜念仏と盆踊りを見学しました。

2013-08-14 23:57:28 | 小さな旅
   友人に誘われて、先週土曜日10日に豊田市足助地区の綾渡の夜念仏と盆踊りを見に行きました。

   この夜念仏と盆踊りは、国の重要無形民俗文化財。夕方、足助交流館が手配したバスに乗り、うねうねとした細い山道を登って20分ほどで綾渡に。周囲を山に囲まれた美しい里です。

   到着したのは7時少し前。すでに、鉦をもって笠をかぶった浴衣姿の男衆たちが、曹洞宗のお寺・平勝寺参道の入り口に集まっています。じきに彼らは念仏を唱えながらお寺の山門に向かいました。

    山門の前に止まり、ここで一行は「辻回向」を行ないます。見物客が多くて見えなかったのですが、ここには石仏がたくさんあるそうで、彼らは石仏に向かって念仏を唱えていたのでした。

    夜念仏は、昔は足助から稲武、岐阜県の山岡町あたりまで広く行なわれていたお盆の行事だそうですが、今に残るのは綾渡だけ。昭和35年に保存会を結成し、集落をあげてこの伝統行事の保存に努めてきました。

    昔は、初盆を迎えた家に35歳以下の男衆が出向いて念仏を唱えて回り、平勝寺には、施餓鬼供養と観音の命日の日に集まって同様に念仏を唱えていたそうですが、青年の数が減ってきたことから昔ながらの風習を継続しにくくなりました。そこで、毎年8月10日と15日に、平勝寺での回向だけ行なうようになったとのことです。

    さて、一行は山門で「門開き」の念仏を唱えます。そして寺の住職が門を開けると、彼らは境内に入ります。

    最初に参るのが観音堂。ここで「観音様回向」を唱えます。ついで、隣の氏神の鳥居の前で「氏神回向」、最後に平勝寺本堂前で「仏回向」を唱えます。

    回向の文句はそれぞれ異なります。でも、ずっと静か。ほとんど暗闇の中で、念仏を唱える声だけが聞こえてきます。

    ところで、このお寺は曹洞宗の古刹。寺の境内に観音像があったり神社の鳥居があったりするのはよそでも見たことはありますが、他力本願を願う人たちが自力本願を主張する禅寺で念仏を唱えるという風習が昔からあったというのには、ちょっとおどろきました。でも、このお寺、昔は天台寺院だったそうなので、複雑ないきさつがあって今に至ったのかもしれません。

    夜念仏が終わると、境内に明かりがともります。いよいよ盆踊りです。この盆踊りは、太鼓も三味線も、もちろんラジカセなども一切使わずに、「音頭とり」と呼ばれる男性の歌う歌にあわせて踊ります。

    盆踊り歌は、10曲。順番が決まっていて、「越後甚句」に始まり、「御嶽扇子踊り」「高い山」と続き、「甚句踊り(足助綾渡踊り)」で終わります。  

    写真手前から二人目の年配の女性は、腰の落とし方がすばらしかった。かなりお上手な踊り手らしいのですが、昔の農民の体の動かし方は、こうだったのだろうなと思わせるしぐさでした。そういえば、阿波踊りも、ほとんどずっと腰を落として踊っています。今の私たちがあの体勢を維持するのは難しいことですが、昔の農民たちなら、あの姿勢こそ普段どおりの楽な姿勢だったのではないかと思います。

    私も踊りの輪に入りましたが、かなり難しい振りもあり、まったく習得できませんでした。白い扇子を使う踊りや、地面をこする下駄の音で拍子をとる踊りなど、ユニーク。最後の「甚句踊り」の振り付けは、稲藁を縛り、脱穀して籾を広げる収穫の動作をそのままに再現しているらしい、と現地でたまたま出会った知人が教えてくれました。

    盆踊り歌は、いずれも綾渡で古くから歌いつがれていたものと、近代になってからできたと思われるものがあるようですが、どれもみな色恋がテーマ。なかでも、「娘づくし」は、シモネタのジョークがいっぱいです。駄洒落がちりばめてあって、若い娘たちがはにかみながらもくすくす笑って踊っていたようすが髣髴とされます。若くはない私は顔を赤らめることはなかったけれど、何度もくすっと笑いました。

    盆踊りは、男女の出会いの場だったとよく聞きますが、これらの歌詞はそのことを彷彿させるに十分。ひとときの開放感が、日々のきつい労働で疲れた体と心を癒したのだろうな、と思います。

     夜9時過ぎ、盆踊りは終了。昔はおそらくもっと踊り続けていたのでしょうが、いまは、歌い手の数が少ないので、咽喉を痛めることのないよう、大事をとってひととおり踊り終わったらおしまいにしているのだそうです。

     寺を出てバスの待つ場所に向かう道の端には、小さなろうそくがずらっと立てられ、道案内を。美しくももの哀しい風景です。それにしても、いまは、この小さな里にだけ残る夜念仏と昔ながらの盆踊り。廃れそうになるのを食い止め、保存に力を注いできた人たちの苦労は大変なものだったことでしょう。

   さて、この行事は、明日15日にも行なわれます。足助交流館では、毎年6月から8月にかけて、3回ほど連続して綾渡の盆踊りの講習会を開いています。くわしくは交流館にお問い合わせ下さい。なお、このブログ記事は、足助交流館から配られた資料を参考にし、交流館館長の河澄健一さんが内容の確認をしてくださいました。
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祇粘堂に行ってきました

2013-07-17 18:22:21 | 小さな旅
    アクセサリー作家の榊原加奈子さんが、祇粘堂を開きました。

    彼女は数年前から毎年二回ほど、祇粘堂自宅ショップをオープンし、ご自分の作品をはじめ、陶器、小物、エスニック雑貨や家具を販売していました。私は、アンティマキの焼き菓子とパンの工房を立ち上げたころに彼女と知り合い、知り合ってすぐ、彼女の自宅ショップに草木染め作品と焼き菓子をおいてもらうことになりました。

    以来、6年経つのですが、その間、彼女は3人のお母さんになり、ときどきショップは休業。一番上のお子さんが入園したのを機に、今度は本格的にお店を開くことになりました。

    名前は、祇粘堂。浜松市北区の遠州鉄道金指駅のすぐ近くです。こちらのお店にも、これまでどおり、アンティマキの焼き菓子を置いてくださるというので、オープン初日の13日に間に合うよう、まず穀物クッキーなど4種類の焼き菓子を発送しました。

    そして昨日、奥三河Three trees+のこころざし工房の中村志江さんといっしょに、浜松まで納品を兼ねて見学に行ってきました。
 
    お店は思いのほか広いスペースです。加奈子さんのセンスがあちこちに光っていて、気持ちのいいスペースになっています。アンティマキのお菓子は、レジのすぐ近くに並べてありました。けっこうたくさん送ったつもりが、だいぶ減っています。この日は、穀物クッキーなど日持ちするお菓子のほかに、スコーン4種類とフォカッチャも持っていきました。

    平日なのに、自宅ショップの頃からのお客様が次つぎに訪れます。アンティマキのスコーンが大好き、というお客様もお見えになって、親しくお話しできました。彼女は、穀物クッキーも気に入って下さっていて、「食べているとき、お茶は口の中に入れないようにしているの。お茶を入れると飲み込んでしまうからもったいない。ゆっくり味わいたいのです」と。わたしは、終始「うれしい」を連発。自分がつくったものを喜んでいただけるのは、ほんとうにうれしいことです。

    納品した、カカオニブのスコーンとクルミ・黒糖のスコーンは、私たちがお店にいた1時間くらいの間にみるみる完売しました。

    志江さんのせっけんも、こんなふうに、かっこよくレイアウトされています。

    手前右は、加奈子さんの作ったアクセサリー。前方の棚の中に並べられている小さなオブジェは子豚。かわいいのです。この棚の上においてあるバッグは、加奈子さんのお母様の作品です。こちらも、ひかれます。

    敷物も壁掛けもフォトフレームも、みんな加奈子さんの手にかかると生き生きして見えてきます。

    壁の塗り替えやレイアウト、そのほかかなりの仕事を自分でこなした加奈子さん。まだず若いのにエネルギッシュなのに驚きます。
 
    祇粘堂の今月のオープン日は、21日(日)まで。来月からは、毎月不定期にオープンします。ちなみに、8月の営業日は、4日(日)、11日(日)、18日(日)、20日(火)、22日(木)、23日(金)、25日(日)の予定です。詳しくは、HPをごらんください(コチラ→)。
    ランチは、加奈子さんのお母様に勧められた、近くのタイヨーコーヒーへ。

    もともと太陽カレーというカレー屋さんだったのだそうですが、ロールケーキが人気で、場所を変えたときに名前も変えたのだそうです。ランチメニューを頼んだら、生野菜と温野菜がたっぷり盛られたサラダのあとにこのカレーが。トマトとクリームのカレーです。揚げ物は野菜と小エビです。最後はコーヒーと大きなロールケーキ。しっとりした生地がおいしかった。

    来月は加奈子さんの注文で、おからのガトーショコラもとどけます。ただしガトーショコラをいつ納品するかは未定です。稲武からは、車で1時間半。県を越えて行くのですが、思いのほか近い。これからますます浜松が近く感じられるようになりそうです。

    祇粘堂 
    場所:浜松市北区引佐町金指1273
       ℡ 053-542-2737
    mail:kinedou@gmail.com
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ナゴヤビーガングルメ祭りに行ってきました。

2013-05-09 11:54:42 | 小さな旅
   毎年秋に行なわれるビーガングルメ祭り。私は第一回目から出店していたのですが、今年は春開催となったことをまったく知らなくて、気がついたときには出店申し込みがとっくの前に締め切られていました。それで、今年はお客として見学に行ってきました。今週日曜日、5月5日です。

   五月晴れのもと、いつものようにたくさんの人でにぎわっていました。お店の数は昨秋より少し少なめ。出店者の顔ぶれも、だいぶ変わっていました。店舗を構えている店が目立ちます。

   こちらはにんじんクラブ。野菜の産直グループで、前から気になっていた会社です。在来種の大豆をいろいろ売っていました。店頭には、大豆の栽培の様子が順をおってパネル展示してありました。無農薬有機肥料での栽培です。

   私が買ったのはこちら。べに大豆の炒り豆と甘納豆。それに在来種の豆のミックスです。甘納豆は薄味でいくらでもついつい食べてしまえます。いいものでした。ほかはこれからいただきます。

   福蔵寺ご縁市やグリーンママンの朝市などでよくご一緒する、わっかっかそーすふぁくとりーも出店。おからカレーのお弁当です。

    稲武の友人達と毎月共同購入している、瀬戸市の豆腐屋しろのYさんが、FBでときどき紹介しているベーグルの店、ウブントゥのベーグルです。前から食べてみたかった。今回はしろと同じブースで販売していたので、やっと購入できました。もっちりしていて小麦の味がしっかりします。わたし好みのベーグルです。

    名古屋の自然食品店、ヘルシーメイトのブースで売っていたドイツのノンアルコールビール。完全なアルコール0%です。右の瓶入りのほうは、アインベッカー。ドイツでノンアルコールビールの最高の賞を取っているそうです。日本のノンアルコールビールはいろんな味付けでビール風味にしていますが、これはどちらもいったん麦芽とホップだけのビールを作ってから、アルコールを抜いたもの。本格的なノンアルコールのビールなのです。飲むのがたのしみ。

    東京豊島区に店を構えている、ともえグランマ。古代小麦や有機ライ麦、有機全粒粉のパンのお店です。膨らんでないし、砂糖も入っていないのですが、すっぱくなくて、穀類の味がどれも甘かった。しみじみおいしい食べ物でした。後のオリーブ油とオリーブの実はこちらで販売していたもの。有機にしては手ごろな価格でした。

    このお店、ピタゴラスイーツというのだそうですが、写真の本の作者の製作。左の「クシガーデンの本格マクロビオティック本格スイーツ」(山崎友紀著・講談社刊)という本は、わたしも持っています。アンティマキのカボチャケーキはこちらのケーキを参考にしています。だから、とても惹かれ、スコーン、クッキーなどいくつも買いました。どれも、期待にたがわずおいしい。それも、派手な味ではなくて、じっくりおいしさがこみ上げてくる感じ。現地や帰り道でほとんど食べてしまったので、写真を撮りそびれました。

     三州三河みりんのブースです。中央の2本、左は売っているみりん。右はその中に入っているもち米と麹とうるち米です。同じ量だけの米類にこの半分量の焼酎をまぜて発酵させるのだそう。一般のみりん風調味料は、これだけの米類でほぼ4倍の量をつくるのだとか。三河みりんは高いけれどしっかりした甘さがあって飲むとおいしい。値段が高いのには理由があること、納得です。

     ほかにも、いろいろ買いました。右はめぐみ農場のスナックエンドウ。あまくておいしかった。下中央は米粉パンの店(名前を忘れました)のイングリッシュマフィン。左側はコバレレコーヒーのコーヒー豆。こちらとはいろんなイベントでご一緒するのですが、どのコーヒーもおいしいのです。上中央はドイツのチョコレート。小川真貴子さんのスパイスのお店で入手しました。

     入手したスイーツは、どれも落胆させない味でした。例年に比べて、スイーツに関してはレベルアップしているみたい。来年のビーガン祭りに向けて、精進しようとおもいます。










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甘夏狩りとカフェ・オーシャン

2013-05-04 12:41:26 | 小さな旅
   今年の春も、蒲郡の知人宅に甘夏狩りに出かけました。毎年この時期に、無農薬で育った甘夏みかんをたくさんいただき、ジャムやピールを大量に作っています。それらは、アンテジマキの焼き菓子やパンの貴重な食材になるのです。

   去年から、蒲郡に行ったときには必ず寄ることにしているのが、西尾市旧幡豆町のカフェオーシャンです。三河湾のまん前にあるこの自然食カフェは、景色もいいし、室内もかっこよくて落ち着くし、食べ物もとてもおいしいのです。

   注文したのは、畑のランチ。最初に出てきたのはとれたての野菜のサラダです。

   ランチプレート。左は豆腐にドライトマトのソース、右手前はタルトに黒大豆のめースト、向こう側は、マイタケやタケノコの餃子。具には、板麩も入れてお肉っぽくしあげてあります。上にはコリアンダーのソースが。左のガラス鉢は自家製のゴマ豆腐です。ドレッシングやソースがいつもおいしい。

    そしてご飯は、何種類もの古代米など7種類の穀類が入った虹色米。味噌汁の味噌も自家製です。このカフェのシェフはじゅんこさん。素性のいい野菜をおいしく食べる方法をいろいろ工夫しています。

    畑のランチのメニューは、2週間に1回変えているそうです。野菜や野草、山菜のの旬の時期があまり長くは続かないからでもあるのでしょうが、「2週間作り続けると、修練できるから」とじゅんこさん。貴重なことばです。

    これまでわたしは4回ほど訪れたのですが、同じメニューはご飯だけでした。いつも、意外な取り合わせやうまさに、おどろいています。

    スイーツは、スタッフ達の制作。こちらもおいしいのです。この日、注文したのはクルミとイチジクのブラウニー。豆腐入りです。でも、豆腐の水っぽさや豆くささがない。そして濃厚です。アンティマキのガトーショコラにはココアパウダーとカカオマスを使って味の深みを出しているのですが、こちらはココアパウダーだけだとか。それなのに、濃いチョコレート味が出ているのは、すばらしい。コーヒーがマグにたっぷり入っているのもうれしいことです。

    昼食後、蒲郡の知人宅へ。こちらの家には、2本の甘夏みかんの木があります。1昨年、剪定しすぎたとかで、昨年は不作でした。かわりに、知人が山の畑で採れた甘夏を用意して下さったのですが、今年は昨年分もまとめて一気にならせたみたいに、2本とも、みごとにたわわに、実っています。

    収穫に来たのが遅すぎたこともあって、木はいささかつらそう。あと10センチほどで地面につかんばかりの実もあります。

    こちらの木の高さは、2mほど。背を伸ばせば、てっぺんの実も採れる程度の高さなのですが、たった2本で、ミカン箱にして10箱以上採れました。今までで一番の豊作です。

    すべて実を採った後のみかんの木。重い荷物をおろして、すっと背が伸びた感じです。

    帰り道、ナビの指示通りにすすんだら、いつもの道とは違う道に入りました。山道です。

    山桜と新緑の美しい、蒲郡の山々。海も山もある土地なのだと、初めて知りました。4月21日のことです。
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三好ヶ丘ラヴィマルシェに行ってきました。

2013-03-11 14:14:29 | 小さな旅
   稲武から車で1時間半たらずでいける場所で、昨年の暮れから毎月マルシェが開かれています。三好ヶ丘ラヴィマルシェ。無農薬のサフランを栽培しているサフランファームが主催しているイベントです。ほとんどずっと田舎道なので、私一人の運転でも、楽にいけそうなところ。それで、昨日、下見に行ってきました。

   どんよりした曇り空。おとといまでの暖かさが嘘のような薄ら寒い日でしたが、三々五々、近隣の方々が集まってきているようでした。

   みよし市の豊田市よりのはずれにある三好ヶ丘は、昔は他地方から入植した人が牧場や広い農園を開いていた、丘陵地帯です。いまや、その僻地が新興住宅地となって、たくさんの家が立ち並んでいます。ラヴィマルシェは、そうした住宅街のなかにあるビルの駐車場で開かれています。

   出店しているお店は、8,9軒ほど。駐車場の一角にしつらえられているトタン屋根の下で店を出していました。

   こちらの野菜は、主催者のサフランファームのコーナーで買いました。小さな袋に入っているのが、豊田の畑で育てられているサフラン。サフランご飯を試食させてもらいました。まったくの無農薬栽培。秋には球根も販売するそうなので、買って植えてみたいと思います。太いネギも無農薬。袋に入っている野菜は近隣の畑で採れた低農薬のほうれん草、なばな、ブロッコリーです。

    旭地区の福蔵寺ご縁市やグリーンママンの朝市でご一緒したことのある玄米日和さんも出店。先日のよさみガーデンマルシェでもお会いしました。この日買ったのは、無農薬のアマランサス、自家製ごま塩、ゴボウクッキー。絹のレッグウォーマーも買ったつもりでしたが、なぜか荷物に入っていません。落としたみたいです(泣)。

こちらの野菜は、東郷町の、東郷ナチュラルファームで作られたもの。太い下仁田ネギがおいしそうです。今夜鉄板や焼きにするつもり。名古屋市郊外の東郷町の畑で、落葉などの自然堆肥以外、肥料も農薬も使わないで育てているそうで、農業塾も開いているそうです。連絡先は、09065904788(金子真由美さん)、メイルは、erimak.@ezweb.ne.jpまで。
 
    こちらも無農薬のお茶。豊田市の山下友子さんが栽培しています。茶園は竜神町にあるそうです。試飲させてもらった抹茶と玄米のお茶がおいしかった。買ったのは、ほうじ茶です。いろいろいいものを作っているところが、比較的身近な場所にあると知ってうれしくなりました。

    売っている方のお名前は分からないのですが、彼女のご実家で作られた自家製ユズ果汁。そして、ユズとヨーグルトで発酵させた天然酵母で作ったパンです。ユズ果汁を使ったチラシ寿司や紅白なますのレシピもくれました。先日12年ぶりに出した私の雛のごちそうに、このユズ果汁を使った散らし寿司を作ることにします。

    いまはまだささやかなマルシェですが、興味をそそられる食べ物や鉢植などがいろいろありました。あ、忘れていました! 毎月共同購入している瀬戸の豆腐屋しろも、毎月出店しています。いつも決まって注文するすくい豆腐とあげのほかに、固めの豆腐と普通の木綿豆腐も買いました。

    このマルシェは、毎月第二日曜日の朝10時から午後1時か2時頃まで開かれています。アンティマキも、できれば夏ごろ出店したいと思っています。こちらのマルシェについての詳しい事柄は、サフランファームまでお問い合わせ下さい。

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足助のひなまつり

2013-02-28 13:41:54 | 小さな旅
   豊田市足助地区のひなまつり「中馬のおひなさん」は、近隣では有名な早春の催し物となっています。久しぶりに、友人達と遊びに行ってきました。

   足助も稲武も、昔のひなかざりは、たいてい土雛だったそう。人形作りは、山里に住む人たちの冬の内職だったのかしら、と思っていましたが、まったく勘違いでした。これらの雛は、碧南市など三河の海辺の土地から中馬街道を通って、足助にも稲武にも南信州にも運ばれたのだそうです。作ったのは、三州瓦の職人さんたち。小遣い稼ぎに、いろんな土雛を、瓦にする土で作ったのだそうです。

    各家では、弥生の節句には男女を問わず、これらの土雛を飾ったのだとか。土雛は誕生祝や七五三などなど、子供の成長過程の節目節目に贈られたものらしい。雛の形は実にさまざまです。上の写真、上段左側の軍人は「東郷元帥」と書いてありました。東郷平八郎らしい。立派な軍人にあやかって、強い子に育ってほしい、と願ったのでしょう。

    左は、「養老の滝」とあります。親孝行の子供にしたいのでしょうが、右の人形を送った意図は不明。「安木節」、つまりどじょうすくいの踊りを踊っている姿なのです。なにか、贈った側、贈られた側に格別の思い入れがあったのでしょうか。

    こちらは物騒な贈りものです。歌舞伎の「伽羅仙台萩」に登場する乳母・政岡の人形です。彼女は、主君の息子の身代わりをわが子にさせて、お家安泰を図ります。「お国のために奉公できるような母子になれ、ということ?」と、ちょっとぎょっとしました。歌舞伎の有名な外題の一場面を題材にしただけで、他意はないのかもしれませんが。

    足助の街にはあちこちに路地があります。「からくり雛展示」という貼紙を見つけたので、矢印に従って、ある路地に入ってみました。

    表通りに並行して、細い道があり、左手には何軒もの家が並んでいます。右手には、3軒ほどの小さな小屋が作ってあって、それぞれ雛や置物が展示されています。驚くことに、どれも、みなからくり仕掛けで動きます。左手の家の一軒の主がその作り手。私たちが見物していたら、家から出てきて説明して下さいました。下は、動く万華鏡。

    K君とY君兄弟。この写真撮影用セットは、豊田信用金庫足助支店前にあります。

    料理屋・井筒亀の塀に干してある猪の皮。初めて触りました。意外と柔らかい。

     この日の目的は、ひな祭り見物のほか、知人の鳥居智子さんがご主人と始めたカフェを訪れること。足助の街の、153号線よりの通りの右側に、めざすカフェ・バンバン堂喫茶室がありました。

     京都の瀟洒な小料理屋を思い出させるこの造り、もとは医院だったのだそうです。

     ひな祭りの開始日にあわせて、ご主人と二人で内装のほとんどを手がけたのだそう。床も天井も柱も、美しく甦っています。院長が坐っていたらしい立派な机や昔の調度品が随所に置かれ、とても落ち着いた雰囲気です。カフェメニューは飲み物のほか、ひな祭りセットも。私は、コーヒーに白玉ぜんざい、豆乳いちごババロアのこのセットを頼みました。大き目のマグにたっぷり注がれた熱いコーヒーが嬉しかった。

     いずれ、ご飯メニューも入れたいとのこと。また、整体講習などさまざまなワークショップも、もと待合室を利用して開きたい、と智子さんは意欲的です。これからが楽しみなスペースです。入り口では、焼き芋も販売しています。バンバン堂の住所は、足助町石橋34-6、営業時間は10時から5時、ひな祭り開催中は無休だそうです。

     通りのあるお店では、店頭にほころび始めた梅の鉢を置いていました。たぶん、暖かい部屋においておいて、ひな祭りが始まってから外に出したものでしょう。稲武はもちろん、足助でも露地の梅が咲くのは、もう少し先だと思います。
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