いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

組織から個へ。 from organization to individual

2019-10-21 20:10:41 | 日記
 (1)ノーベル賞授賞者が続く日本人研究者を見ていると、他国に比べて特に欧米先進国に比べても「個」(individual)の力が劣るとは考えないが、なぜか従来から日本社会は「個」よりは「組織」(organization)の力が優先されてきた。

 企業も労働力は組織のための歯車として扱われて組織力としての結果、成果が重要視されて、終身雇用制で賃金も個の能力より年功序列型で段階的に決められてきた。

 (2)こういう時代の経営者組織、団体として経団連があり、労働者組織、団体として総評、それを引き継ぐ連合がある。労働者が企業の歯車として消耗品のように扱われた高度経済成長時代には経団連も総評、連合も一定の組織力としての影響力はあったが、高度経済成長が終わり反動としてのバブル経済の破たん、世界同時不況時代を迎えて、働き方も企業の歯車としての正規から個人の自由、能力、選択を生かしたベンチャー、非正規形態が若者世代中心にひろがりをみせて、経団連、連合の役割、立場も大きく変化した。

 (3)バブル経済崩壊、世界同時不況の中で経営者も労働者も「物分かり」がよくなり、経営者も労働者もそれぞれの共通利益優先で、まず「企業」の「存続」こそが求められて重要となり、経営者、労働者の組織的な利益、目的は二の次として考えられるようになった。

 かっては春闘と呼ばれて経団連と連合が経営者と労働者を代表して身分、賃金、労働環境、将来保障を交渉してきたが、バブル経済の崩壊、世界同時不況を経験して企業と労働者が個別に当事者として交渉して「物分かり」の良さを発揮してスムーズに妥結をはかる方式が主流となっている。

 (4)安倍政権になって本来自主、自由、独立の経済活動に政労使会議を主導して賃上げを要請(強要)して政治介入して経団連、連合の役割、使命はますます存在感、影響力が減少してきている。

 背景のもうひとつには若者世代の働き方の多様性があり、企業組織としてそれらをまとめる、組織化できない事情もある。

 (5)企業も10年以上のデフレ不況を経験して雇用調整の効く非正規雇用にシフトして、組織労働から個、個人の能力、開発に重点を置いて、能力評価も年功序列から個人能力、開発評価方式に転換して効率的な企業経営にシフトしている。

 その分ノルマ主義で個人能力への過重負担は増えて、過労死が社会問題となって、政府の働き方改革につながった。

 (6)連合は結成から30年を迎えて、かっての社会現象だったメーデーも参加者が減少して組合員、組織力も減少して、時代は企業と労働者の「物分かり」の良い個別交渉となり連合の存在感は薄れた。

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