いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

国民負担の制度設計。 institutional design of national burden

2016-04-22 19:57:03 | 日記
 (1)17年4月に予定どおり消費税10%引き上げを実施するのか、安倍首相はリーマンショックのような経済危機が起こらない限り引き上げるとだけ述べて、しかし政府の国際金融経済会合では米国のノーベル経済学者を招いて世界経済を押し下げるとして引き上げ反対論を発信してみせたりしている。

 これまではどうも5月末のG7伊勢志摩サミットの成果の余勢をかって17年消費税10%引き上げをさらに延期して、これらを国民に問う衆参同日選挙を今夏に実施して衆参改憲勢力の3分の2以上の議席を目指すというのが、まことしやかに伝えられている政治シナリオだった。

 (2)ところが、今月14日に突如熊本地方を襲った震度7の大地震が震源地を移動しながら多大な被害影響を及ぼしているなかで、衆参同日選、来年の消費税10%引き上げなどやっていられる政治状況にないという声も聞かれるようになってきた。

 経済学者は「日本経済の状況は増税に耐えられないほど悪いとは思われない」(報道)として、さらに「(過去の政権は)国家的課題に対処するために国民に痛みを求める増税を政治生命をかけて取り組んだ。こうした過去の政権を見習うべきだ」(同)と予定どおりの引き上げを強調している。
 政府の経済政策推進論者であり古い経済第一主義論で、大企業、富裕層がさらに成長すれば、国民生活にも恩恵が巡ってくるというアベノミクス的経済理論構造だ。

 (3)消費税10%引き上げは少子高年令化社会の到来で社会保障の財源不足が深刻化(grow worse)して、その補てんとして実施されるものだ。
 そもそもどうしてこういう社会情勢、状況を迎えたのか。前出の経済学者は過去の政権は「増税を政治生命をかけて取り組んだ。こうした過去の政権を見習うべきだ」というが、その結果はどうなったのかの検証(verification)がみられない。

 日本の政治の足りないところが政治課題、政策効果の検証をなおざりにしてきたところだ。消費税引き上げで国民投資(税)に負担を強いながら既得権益、密室政治で利益を独占して、戦後の団塊世代、ベビィブーマー出現から将来的に少子高年令化社会による社会保障抑圧時代がくることが予測されながら、何ら有効な政策をとらずに先送り、先送りしてきた過去の自民党長期政権の無作為政治の責任が今日的日本社会の抱える問題には大きいのではないのか。

 (4)これまでの世代間で計画的、総体的に公平、公正、平等に負担をしてくるべきであったが、いよいよ累積国家財政赤字が1千兆円を超えて財政健全化が課題となり社会保障、医療財源が立ち行かなくなって、消費税10%引き上げさらに20~30%引き上げが必要という今日的全世代にすべてその責任と負担を押し付けようというのでは納得できないだろう。

 少子高年令化社会の到来、社会保障、医療財源不足は深刻な問題を提起しているが、「どの時代」の「どの世代」が「どれほど負担」していくのか制度設計(institutional design of national burden)を示して公平、公正、平等に世代間、国民負担を求めるべきだ。

 (5)こういう社会になったからと次世代に責任と負担を先送り、残すすべきでないという政治家の理論は、これまでの長期自民党政権の失政を今日的世代に押し付けるだけのあまりに身勝手なものだ。

 今年に入って世界的な円高株安現象が続き、日本のGDPマイナス成長など各種経済指標データは下降線を示して、安倍政権が音頭をとってきた賃上げも今年はUP率が相対的に低く設定された。

 (6)そこへきての熊本地震の長引くことが予想される被害影響だ。17年4月の消費税10%引き上げは見直して、時代、世代の公平、公正、平等な負担制度設計を示すべきだ。
 

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