いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

原則非公開。 closed meeting as a rule

2016-04-01 20:19:00 | 日記
 (1)ま、別に世界の経済界をリードする米国の経済学者に日本の経済政策、事情の指南、意見を聞くことは何も問題はないし、まして政府の開いた「国際金融経済分析会合」に招かれての意見聴取ということになればなおさらに問題はないし、それがノーベル賞経済学者というのであればぜひに日本国内の経済政策、事情について意見は聞いてみたくもなる。

 来年4月の消費税10%引き上げをどうするのか(どうするのかではなくて、法律で引き上げることが決定しているーもちろん再考条項はあるが)、安倍首相の対応が話題になっている時期での同会合での米国経済学者の出席の意見聴取が「原則非公開」(closed meeting as a rule)となっていたことについては、理解のできないものであった。

 (2)実際にはノーベル賞経済学者は、日本はデフレを脱却しておらずに国際経済を停滞させるとして来年4月の消費税引き上げに反対を進言(報道)し、2日目に招かれた別の米国経済学者は財政健全化のためには消費税引き上げは必要であると進言したと報道されている。

 原則非公開だから政府関係者も都合のいい内容は報道にリーク(leak)することにはこだわらないようだが、ノーベル賞経済学者を含む米国の著名な経済学者の意見聴取であれば当然に全面公開すべきであった。

 (3)そう思っていたら、同会合に招かれて消費税引き上げに反対の進言をしたノーベル賞経済学者のクルーグマン・ニューヨーク市立大教授が自らのネットで12ページの同会合の議事録を公開(報道)した。

 政府が招いた著名な米国経済学者としての立場もあるのか政府が原則非公開の趣旨を正確に伝えきれなかったのか、そもそも「原則」付きだから学者としての見識、意識からあえて躊躇(ちゅうちょ)なく公開すべきだと判断したのかはわからないが、米国の著名な経済学者として別に「失うもの」がないから情報公開性が進んだ米国流の当たり前の判断といえる。

 (4)12ページの同議事録公開の中には、安倍首相の「これはオフレコですが」(報道)という「財政出動の余地が最も大きいのはドイツだ。ドイツ訪問の際、財政出動の協調を説得するアイデアはないか」(同)と質問されたくだりがある。

 首脳外交は国家利益保護の機密性が高く手の内をみせないというのが常識だそうだが、ことが国際経済の安定貢献をともに論じ合うという首脳外交であれば機密性、手の内をみせないものでもオフレコでも何でもない。

 (5)クルーグマン教授も当然そう考えたとしても当たり前のことだ。本日の紙面にも安倍首相が自らの衆院解散権をちらつかせて与野党までも揺さぶりをかけて自らの立場を有利に招く政治手法に批判的な記事が述べられていたが、非常に小心で疑い深いところも垣間見えるのが、全体、問題の核心を見て判断する経済学者との違いを実感する。

 (6)ところでクルーグマン教授の会合議事録ネット公開については、菅官房長官が「あくまで教授ご自身のメモ」(報道)として問題にしない考えだ。
 むしろ中国経済の減退、円高株安基調の国際経済の中で、著名な米国経済学者を招いての同会合を全面公開しなかった政府の対応がおかしいのだ。

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