いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

清貧とタックスヘイブン。 a poor but honest life and tax haven

2016-04-08 20:01:03 | 日記
 (1)世界一貧しい大統領といわれたウルグアイ前大統領ホセ・ムヒカさん(80)が初来日した。ジャンパーウェアのスタイルで記者会見に現れ、親しみのある柔らかい表情で身ぶり手ぶりで話すのが印象的であった。

 映像で紹介された住居はサビた鉄板が目に付く質素なもので、戦後間もない日本で見かけるような質素なものでその徹底ぶりがよくうかがえた。何しろ5年の大統領任期中に大統領公邸には住まなかったといわれている。
 また給料の9割を貧しい人々に寄付した清貧ぶり(live a poor but honest life)が国民から愛された(報道)という伝説(legend)の大統領だ。

 (2)ウルグアイはもともと経済力に恵まれた国ではないが、「地球にはみんなで生きていけるだけの資源がある。富に縛られずにどうすれば幸せになれるのか考えよう」(報道)という主張は清貧な生活実行力から説得力があり、国際宇宙ステーションから青い地球を眺めた油井宇宙飛行士の世界はひとつの言葉にも通じて、ぜひ安倍首相にも聞かせたい言葉だった。

 もっと聞かせたいのが習近平中国国家主席、キャメロン英国首相、プーチンロシア大統領などなど世界歴々の政治指導者たちだ。

 (3)ウルグアイと同じく中米の小国パナマは海外からの資本、資金流入に国の活路を求めて極端に国内での税負担を軽くするタックスヘイブン(tax haven)国といわれて、その預金情報は固く秘密に守られて通常は外部からは伺い知ることはできない。

 世界的に活躍するスポーツ選手、俳優、ミュージシャンなどが本国での高額な税金逃れ、対策のためにタックスヘイブン国を利用している話は漏れ聞くことはある。
 今回全容があきらかになったのは、そのパナマの法律事務所から流出した1100万件(報道)にも及ぶ膨大なタックスヘイブン情報(パナマ文書)によって前出の世界歴々の政治指導者(その親族を含む)にかかわる租税回避疑惑問題だ。

 (4)有名スポーツ選手、俳優、ミュージシャンとは違って、富の格差是正、再配分が政治課題の中で国の経済、国民生活に責任を持つあるいは負担を強いる立場の一国の大統領、首相など政治指導者が自らのあるいはその親族など関係者の富の租税逃れとしてタックスヘイブン国のパナマを利用していた実態だった。

 冒頭のウルグアイ前大統領ホセ・ムヒカさんは「グローバル経済に人類が振り回されている」(報道)とも述べて示唆に富んだ言葉も残している。
 前出の世界歴々の政治指導者たちは政府、議員の特権階級の金銭汚職への国民の強い批判を受けて、汚職撲滅に強い姿勢、権限を行使している中での今回のパナマ文書流出での疑惑実態の暴露であった。

 (5)政治の表と裏、非常に汚い、醜い部分があきらかになった。関係国では司法当局による捜査が開始されており、今後疑惑を持たれた世界の政治指導者関連の租税回避の実態解明が進むものとみられる。

 中国、ロシアでは国内での「反腐敗」運動、取り締まりを強力に進めていただけに今のところは素直に事実を受け入れる姿勢にはない(報道)が、影響力は国内だけでにとどまらずにG20会議など国際指導力にも影響が出ることが予測されている。

 (6)日本の安倍首相はあからさまに大企業、富裕層優遇の経済金融政策でそのおこぼれ(trickle down)を地方、国民生活に回すと公言しているだけにまだその露骨さが見える分だけ救いはあるが、世界歴々の政治指導者たちが口では、表では公平、公正なパラダイム(paradigm)を述べながらその裏では正反対の自己利益保護、保身に走っている「政治」の醜さ、愚かさを垣間みせた。

 (7)清貧なウルグアイ前大統領ホセ・ムヒカさんの話を聞いたと同時期の世界の政治指導者の租税逃れの自己保身のニュースには、失望感が何倍にもさらに大きい。

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