いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

時間稼ぎのレトリック。 rhetoric to gain time

2016-01-26 19:44:36 | 日記
 (1)甘利経再担当相側の企業口利き金銭授受疑惑問題は、大臣室などで本人が確かに当該企業関係者に会ったことはあると言いながら金銭の授受については、否定もせずに記憶があいまいで整理して28日までに説明責任を果たすと釈明している。

 権限執行責任者の大臣が企業の有利なように関係機関に口利きをする見返りとして金銭を受け取ったとなると、大臣職権を利用した不当あっせん、不当利得として政治家として負託を受けた国民に対する重大な背信行為として司法から糾弾されて、大臣はおろか政治家としての職務も辞職しなければならないのは当然のことであるから判断が慎重になるのはわかるが、釈明があまりにも疑惑を深める言い回しなのでますますその疑いが強まっている。

 (2)これまでの例では密室(大臣室など)での会った、会わないでは疑いをかけられた側が会ったこともないとつっぱねて、仮にそこでの金銭の授受についてもなかったと強弁するのがよくあるケースだが、甘利経再担当相の場合は確かに会ったことは記憶にあるがどんな話をしたかのことではなくて金銭の授受があったかどうかは否定もせずに記憶があいまいだというから、正直といえば正直だが通常では理解できない話ではある。

 (3)まさか金銭の授受が「あいまい」というほどここかしこで金銭の授受があったということなのか、いちいち整理しなければ迂闊(うかつ)なことになるとの疑念があるのか疑惑は増すばかりだ。

 この真相は本人が28日に会見を開いて報告すると言っているのでそれを待つしかないが、野党のこの疑惑問題に対する追及が手ぬるいのも理解に苦しむところだ。
 冒頭のような見方から当初民主党の岡田代表はすぐにでも説明のつく話だと早急の疑惑解明を求めながら、民主党関係者からは国会本会議での各党代表質問(26日)の始まる前の25日までに甘利経再担当相が説明責任を果たすよう要求し、今度は29日の予算委員会開催前の27日に説明責任を果たさなければ同審議に応じない構えを見せている。

 (4)民主党岡田代表がすぐにでも説明のつく疑惑問題と言いながらの民主党、野党が自ら疑惑説明責任のハードルを次から次と引き下げていくなど、疑惑追及に真面目に取り組む決意があるのかこちらも疑わしい行動にしか見えないのは情けないところだ。

 疑惑問題は時間が経過すればするほどいろいろ工面、作為、変更がなされる恐れもあり、今回の焦点は大臣室などで会ったことは確かだがそこでの金銭授受は否定もせずに記憶があいまいという奇妙キテレツな問題なので、その記憶が何を調査して確たるものになるのかは常人には理解できないことだ。

 (5)通常国会の審議拒否と引き換えの議員(大臣)個人の口利き金銭授受の疑惑解明かは一概には言えないが、しかし疑惑をかけられてあいまいな記憶のままの大臣のもとではまともな国会審議などできないのだから今回の国会審議拒否があるとすればそれは正当性のあるものだ。

 野党は国会審議拒否の正当性を主張して、大臣の時間稼ぎのレトリック(rhetoric to gain time)を許さない疑惑解明の決意を示すべきだった。

 (6)自民党内からは甘利経再担当相が企業からハメられたとか企業にはヒッカケる作為があったなどとの同調論も聞かれるが、これは疑惑問題の焦点外しでピントが外れており、同じ時間、空間の中での記憶鮮明と不鮮明が同在するという不自然さの説明責任が求められているのだ。

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