いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

政治影響格差。 the distance between the poor and the rich in political influence

2016-01-23 20:27:19 | 日記
 (1)自由民主主義社会においては経済活動は自由で自主的なものであり、消費者の信頼を裏切らないものであれば利益、利潤追求に制約、制限などはないのが経済原理だ。
 その経済に安倍首相は政府、経営、労働代表者会議を設けてデフレ脱却を名目に経済界に賃上げ、設備投資を強く要請するという政治介入(political intervention)を強行してきた。

 おかげでというか企業の賃上げは2年連続で実施されて今年も賃上げの可能性は大きく、モノも使いようだとは感じさせる。一方で消費税は8%からさらに10%へと引き上げられることが確実とみられて、法人税は段階的に引き下げられて経済界に恩恵を与える経済最優先政策を推進していく。

 (2)アベノミクスは円安株高効果を生んで企業業績の自然回復を後押ししたが、円安による輸入材料の高騰による物価上昇が賃上げ効果を上回り実質賃金は目減りするという逆効果も生んで、国民の景況感は鈍くGDP連続マイナス成長など経済指標データは軒並み低迷して、原油安が追い打ちをかけてデフレ脱却を目指す日銀の物価目標2%達成は実現そのものが危ぶまれている。

 アベノミクス効果として株高現象が続いたが、今年新年が明けてからは原油安、中国経済の鈍化傾向で記録的な株価の連続値下がりを示して日本経済の先行き不透明感が強くなっている。

 (3)さらに深刻なのは昨年の東芝の粉飾決算まがいの不正経理からたて続きの日本経済、企業の倫理観、コンプライアンス(compliance)欠如によるタガにゆるみ、不正行為の連続は目に余るものがあることだ。

 そもそも安倍首相の経済最優先政策による大企業優遇、業績回復効果が地方、国民に恩恵(おこぼれ)を回す(trickle down)、与えるという時代錯誤の経済好循環理論が二極化経済格差を招いているパラドックス社会だ。

 (4)実体のともなわない期待感投資効果の株高に支えられた日本経済は実体経済を反映するものではなく、雇用改善、最低賃金の上昇はあるが格差助長の大企業、高所得層をクローズアップするだけの経済効果宣伝だ。
 生活保護者が250万人を超えてこれも記録的な勢いで伸びているのが現実だ。

 (5)昨日行われた今通常国会での安倍首相の施政方針演説では「世界経済の新しい成長軌道への挑戦」、「1億総活躍への挑戦」、「多様な働き方改革」、「GDP600兆円」など経済成長をテーマとした言葉が多く並んでいた。

 前を将来を見るのはいいが、安倍首相が経済最優先で率先してきた日本経済の今日的な倫理観、コンプライアンス欠如、タガのゆるんだ現状をどう見て、どうしようとしているのかはまったく見えないものだ。
 安倍政権の目的のためには手段を選ばない、前しか結果しか見ずに検証しない政治手法の特徴が出たものだ。

 (6)本来自由で自主的な経済活動に政治介入した以上、目的結果のためには手段を選ばない政治を反映したタガのゆるんだ日本経済の信頼回復に対しても政府は責任を持たなければならない。

 折しも甘利経再担当相の企業口利き金銭疑惑が浮上しており、安倍首相は前だけ見ているわけにはいかない事態だ。
 政治、経済、社会と格差が大きな影となって成長している危険がある。

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