いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

ラスト・ロックンロール・ダンス。 last rock`n'roll dance for Bowie

2016-01-13 20:14:19 | 日記
 (1)英国のデヴィット・ボウイさんはビートルズ時代とほぼ同じ時期に音楽活動を始めて、ビートルズが活動を止めたあとの70年、80年代に注目を集めた。
 ボウイ(Bowie)さんの名前からボーイ(boy)を連想させて親しみやすく名前はすんなり入ってきていたが、音楽よりはその社会風俗(social customs)、文化性の方で印象、記憶が強い。

 当時としては男性として強烈な濃い化粧に派手な衣装で音楽を発信していたが、奇抜なユニセックス演出の特異なミュージシャンという類の印象を強く持っていて音楽的な関心はなかったが、それからしばらく時間、年が経過してD.ボウイさんの名前と映像を見聞きした時に短く刈り上げた髪に化粧のない素顔のボウイさんは、まるで知識人のように整然とクリアーであのD.ボウイさんかと驚かされたものだ。

 (2)大島渚監督作品の「戦場のメリークリスマス」にも坂本龍一さんと出演して反戦思想を発信するなど、文化人としての風格が漂って見えた。
 妖艶なグラムロックで音楽活動を始めて実は文化人としての良識を兼ね備えているという人間性は忌野清志郎さんを思わせて、忌野さんもボウイさんの音楽活動姿勢の影響を受けたのではないのかと思わせるものだ。

 はからずも忌野さんと同じ病魔に冒(おか)されての今年新年の69才の誕生日を過ぎたばかりでの訃報であった。報道によると1年以上の闘病生活の中で最新アルバム「black star」を製作し、新年早々に発表して最後まで音楽活動に意欲と気力を持ち続けた姿勢はすばらしいものがある。

 (3)当時の奇抜な化粧に衣装というユニセックス・パフォーマンスは、硬いイメージの英国社会に価値の多様性(diversity)の必要性を投げかけたようにも思う。英国は10代に将来の進路(学業か就業か)を決定する教育制度があって若者にとっては自由主義社会でありながら伝統と歴史、文化につくられた権威画一主義社会でもある。それぞれの立場を代表する自由党と労働党が交互にといっていいほど政権に就き争ってきた。

 ビートルズもそういう英国社会の中で独自の進むべき音楽性で革命を起こしたが、当時の英国では異文化として見られていたこともある。そのビートルズでも当時はスーツ(せめてもの反抗革命としてか襟なしではあったが)にタイという今で見れば十分紳士的ないでたちであったのだ。

 (4)そういう英国社会の伝統、歴史、文化、風土の中でユニセックスばりの化粧、衣装で派手に音楽活動を始めたD.ボウイさんには、あらゆるものが反抗の証しでもあったのではないのか。

 後年の文化人とした幅の広い活動を見ているとその印象を強く感じる。ボウイさんの音楽性には影響はなかったが、その当時の強烈な社会風俗、文化性発信と後の文化人としての変貌ぶりには伝統、歴史、文化、権力、権威に組みしない人間の生き方のスタイルの有り様を思い知らされたものだ。

 (5)早逝の忌野さんもそうだが、D.ボウイさんにもこれから社会、文化に発信する貴重な存在という時のまだ69才での訃報は残念であった。
 最後の最後の今年新年の最新の発表アルバムが「black star」というのも、いろいろ考えさせられるD.ボウイさんの作品タイトルだ。

 

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