中国全土で見ると、経済規模の下位10位の行政区の
うち、9つが西部地域にあります。
依然として、昔ながらの農業が主体の西部地域では、
所得も低いままで、人口の大多数を占める少数民族は
漢民族たいする不満や怒りを募らせています。
「西部大開発」の政策の御旗の下、インフラ整備に備えた
開発事業と共に、大勢の漢民族が移住してきて、道路
鉄道、空港、ダム発電所などの工事では、高給な仕事
を独占し、地域に密着する商店や飲食店などの小規模
な事業も、漢民族が主体で立ち上げています。
工業地域や都市部では漢民族が、農村部には依然と
して少数民族が生活する構図は変わらず、民族間での
所得格差の実態は、もっとひどい状態になっています。
チベット自治区の農村地域の所得は、393ドルで都市
部の1/4、新疆ウィグル自治区で、444ドルとチベット
自治区とほとんど変わらない状況です。
中国政府が発表する評価に対して、現実にその地域に
すむ少数民族の人たちにとっては、満足な仕事にも
付けず、依然として変わらぬ所得水準に置かれ、漢民族
との格差は開くばかりという実態があります。
このような土壌があって、チベット民族による漢民族
支配に対する抗議行動が発生したのでした。
さらに、5月の四川大地震は、校舎の倒壊に見られる
ような杜撰な手抜き工事などに対する抗議や、日頃の
漢民族支配に対する不満も鬱積しているため、一触
即発の状況にあり、オリンピック開催に浮かれている
環境では、決してありません。
「備えよ常に! 備えあれば憂いなし」です。
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