旅限無(りょげむ)

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ゴテゴテの後手後手 其の弐

2006-06-21 15:06:28 | 政治

■こうした隠された時限爆弾を体内に埋め込まれてしまったような事件では、民法の「除斥期間」という難問が有るのだそうです。「不正行為から20年が経つと損害賠償請求権が自動的に消滅する」という時効問題です。発症までに20年以上も掛かるややこしい病気になったら泣き寝入り!危ない話ですが、今回の上告審では、「肝炎発症など実際の損害発生時から20年以内なら損害賠償請求権は消えない」との判断が出たそうです。国会が漫才ばかりやっていて、役人は秘密互助会を作って老後の心配ばかりしているのですから、司法ぐらいは正気で居てくれないと、日本は真っ暗になってしまいますなあ。

■最高裁では、04年に「筑豊じん肺」「関西水俣病」で起算点を後ろにずらして請求権が残っていると判断しているので、これで3本目のヒットになるそうですが、最近の「ドミニカ移民(棄民)訴訟」では、訴えるのが遅過ぎたと門前払いされてしまいましたからなあ。役人は「時効」までトボケ通せば経歴に傷が付かずに老後の心配も無くなるというわけです。鈴木宗男さんが国会で根掘り葉掘り頑張っている外務省の大甘規定で、飲酒運転で人を轢き殺そうと、セクハラ犯罪を起そうと、大使様になったり幹部になったり出来るという実態も暴露されています。福井日銀総裁のインサイダー株商売も、規則に書いていないから無罪なのだそうですなあ。法律を作るのが国会議員の仕事なのですが、法律の素人が集まってわいわい騒いでいるだけなので、役人のお手盛りで法律が書かれるのを党利党略で可決して済ましていると、こんな事になります。

■北朝鮮のテポドン2が引っ張り出されて発射台に立てられたとか、液体燃料が注入されたとか、米国から怖い情報が提供されました。2年前に自前の偵察衛星を打ち上げようとして失敗した日本は、今でも米国からの情報でしか、物騒な隣国の様子を知ることが出来ません。あのロケットを落とした責任者は誰だったのでしょう?同じ布陣で技術開発を続けているのなら、余り大きな期待は持てないのでしょうなあ。武力行使を自ら禁じている日本は情報収集能力と分析能力を磨かねばならない、とずっと言われているのに、その情報の入り口を整えられないのですから、外務省も内閣も米国追随以外の仕事は無いようなものでしょう。安部官房長官や麻生外相がどんなに強面(こわもて)を作っても、手も足も出ない事は見透かされているでしょうなあ。

■『週刊朝日』6月9日号に「『日本版カーン博士』と政治家たち」というスクープ記事が掲載されました。B型肝炎もドミニカ棄民も、マッチ・ポンプか泥縄か、自分の手で自分の首を絞めている間抜けな日本の姿が情けないのですが、世界中が恐れている北朝鮮からの核兵器拡散と長距離ミサイルもメイド・イン・ジャパンだった可能性が有るのだそうです。拉致問題も謀略線に破れて四半世紀も騙され、テポドン1が列島を飛び越えてからびっくり仰天している日本ですから、知らない間に核開発に協力させられても不思議はありませんが……。


……警視庁公安部は昨年10月、東京都内にある在日本朝鮮人総連合会傘下の「在日本朝鮮人科学協会」や財団法人「金万有科学振興会」などへの家宅捜索を行なった。両団体は、いずれも北朝鮮の核開発に深くかかわっていると見られていた……警視庁が捜査の結果特定したX氏は、東京大学工学部を卒業後、通産省の資源エネルギー庁で原子力発電安全管理課長などを歴任する傍ら、母校の東大で講師を務めるほどの原子力専門家だった。また、通産省退官後は国会議員を務めるなど、政界とのパイプも明らかになった。……

ゴテゴテの後手後手 其の壱

2006-06-21 15:05:39 | 政治
■アスベストの危険性を知っていて放置していた旧通産省、HIV汚染血液製剤に続いてC型肝炎ウィルスに汚染されたフィブリノゲンも放っておいた旧厚生省、何がそんなに忙しいのか、さっぱり分かりません。余りに無能で世間知らずな国会議員のセンセイ方に対する「ご説明」で精一杯なのかも知れませんが、自分たちの天下り先の確保と裏金作りには悪知恵を働かせて、てきぱきと対応処理しているのですから、本当は暇が有るはずなのですが……。

■6月17日に最高裁で注文くすべき判決が下って原告が勝訴しております。しかし、世の中は始めから勝算の無いワールドカップ・サッカーと秋田県で逮捕された薄幸の女性を打ちのめす報道に時間が割かれて、それに加えて「ポスト小泉」の勝ち馬予想に血道を上げているので、次々と大問題が押し流されて行っているようですなあ。以下は朝日新聞からの引用です。


多くの人が受けてきた集団予防接種がB型肝炎ウイルスへの感染を引き起こした――。16日の最高裁の判決は、「時の壁」に一度は阻まれた被害者を救済すると同時に、今回の原告だけにとどまらない問題の広がりを示した。「置き去りにされてきた」とも言われるB型肝炎。注射器の連続使用を長く放置した国は、今度、どんな対策をとるのか。

■責任者は「国」ではなく旧厚生省であるのは明らかです。血液製剤事件の時にも、書類が無い資料が無い、責任者は退職しているし大臣もころころ代わって誰が責任者か分からない。そんな「時の壁」に邪魔されて一時はうやむやの泣き寝入りになりそうだったのを、まだ元気だった菅直人厚生大臣が役人を怒鳴りつけて書類を引っ張り出して急転直下、「国の責任」が明らかになったのでした。しかし、血友病関連では医学界のドンだった主犯は裁判が始まったら急に老け込んで病に倒れてきれいに決着は付きませんでしたなあ。HIV感染事件も重大な医療行政の犯罪でしたが、今回のB型肝炎事件は、規模がまったく違いますぞ!


……BCGなどの予防接種は94年まで義務化されていた。注射器の使い回しでウイルス感染する危険は早くから指摘され、世界保健機構(WHO)は53年に肝炎感染の可能性について警告していた。国は88年にようやく使い回しを禁じた。旧厚生省の肝炎対策有識者検討会が01年にまとめた報告書は、B型肝炎の感染経路として母子感染や輸血、性交渉をあげているが、集団予防接種について言及はない。

■1953年にWHOが発した「警告」も知らない阿呆を呼び集めて「有識者検討会」とは片腹痛い!こういう官製会議に呼ばれてほいほい出かけて行く「有識者」には、異常な目立ちたがり屋や勲章マニアが多いそうですが、始めから集団予防接種への言及は禁じられていたことを臭わせる状況証拠が有ります。記事が引用する厚労省幹部の妄言です。


「患者が多すぎるうえに、予防接種だけが原因と言い切れない。対策のとりようがなかった」

これが「幹部」の発言です!「患者が多すぎる」とは言いも言ったり、そんなに大量の患者が生まれたのは「母子感染」「輸血」「性交渉」ではなく、泣いて嫌がる子どもを並ばせて麻薬患者みたいに注射の回し射ちを義務化した結果でしょうが!推計でB型肝炎感染者は120万~140万人なのだそうです。仮に一斉に入院加療となったら日本中の病院は大変な状態になりそうです。既に発症してしまった患者に対して北海道や東京、長野県などが医療補助を出しているのだそうですが、次々に予算がパンクしてしまって「通院費」は補助対象から外しつつあるそうです。フィブリノゲンが原因で広まったC型肝炎でも国は訴えられていて、今月21日に判決が出るそうです。下部組織の社会保険庁は国民から「預かった」年金保険料を数千億円単位で無駄遣いして誰も責任を追求されず、親玉の厚労省は「貧乏人は病院に行くな!」と医療保険制度を改悪中です。