韓国に残る2セットは国宝で世界記録遺産にも登録。一方、東大の47冊は研究者には知られていたが、大学トップが存在を知ったのは今年3月だった。五台山の僧らが組織した市民団体・実録還収委員会から返還の要求が届いたからだ。……文化財の不法な輸出入を禁止するユネスコの条約。適用は1970年以前にさかのぼらない仕組みだが、小宮山宏・学長が「ソウル大のものと一体とすることが学術の発展と交流の推進に望ましい」と決断したという。
■五台山のお坊さん達が動いているというのは怪しいものを感じる話ですなあ。この点だけは注意しておかねばなりません。この種の運動が市民レベルから盛り上がるようなことは絶対に無い体制ですからなあ。先の渤海の石碑も、大連市の政治協商会議が口火を切っているので、裏には北京政府の意向が動いているのは明らかでしょう。ですから、本当は相手がやいのやいのと言って来る前に先手を取って善い事をしてしまった方が良いのです。相手から言われたら後手に回って悪者にされてしまいますからなあ。
……東大が5月31日に行なった記者会見でも、韓国の報道陣から、東大は「寄贈」と言うが「返還」ではないのか、東大が財産として台帳に載せた根拠は何か、といった質問が浴びせられた。
これは韓国側の方に部が有る話ですから、東大側は相手を論破するのは困難だったでしょうなあ。
東大には、中国や朝鮮で戦前に集めた文化財がほかにも多数眠っているといわれる。昨秋、ソウルにオープンした国立中央博物館にも貸し出し多数展示されているが、東大は「今回の実録のケースを一般化はできない」(佐藤・副学長)という姿勢を見せる。だが、隣国の国宝が書庫に眠っているというような状態は健全とはいえないだろう。過去を清算するために東大は率先してさらに知恵を絞るべきではないか。
■以上が朝日新聞の記事です。最後は「過去を清算」「知恵を絞る」という決まり文句のつるべ打ちなのはご愛嬌です。「隣国の国宝が書庫に眠っている」という状態は決して不健全ではありません。こんな理屈が通るのなら、他国の博物館や資料館の目録を漁って、目ぼしい物をどんどん国宝に指定して返還を要求する大混乱が起こりますぞ。各地の博物館や美術館に収蔵されている品物には、それぞれの入手した経緯と事情が有るのですから、それを十把一絡げに扱うのは乱暴です。まして、過去の文化財に対して所有権を主張する現在の国が本当に後継国としてふさわしいのかどうかも判断できない場合が多いのですからなあ。
■現地ではゴミ同然に放置されていた文化財を他国の探検隊や調査隊が発見して持ち帰り、慎重に調査研究しながら丁重に保管しているような場合は、うっかり返還したら「高松塚古墳の壁画」みたいにぼろぼろになってしまう事も有り得るのですから、何でも返せば良いというわけには行きません。文化的交流の基盤は飽くまでも外交関係ですから、国益に適う「寄贈」や「返還」を行なうべきでしょうなあ。それとは別に、東大に限らず自分の所に収蔵保管している資料の詳細を知らないというのは職務怠慢ですぞ!相手から返還を要求されて調べて見たら有りました、というのでは、間抜けな泥棒みたいではないですか?!収蔵品を知らないという事は、その文化財を入手した経緯も知らないという事ですから、相手に格好の攻撃材料を与えてしまう危険性が高いと言えますなあ。
■日本には「正倉院」という世界最古の博物館と呼べるような施設と伝統が有るのですから、大学や博物館にはしっかりと仕事をして欲しいものであります。
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■五台山のお坊さん達が動いているというのは怪しいものを感じる話ですなあ。この点だけは注意しておかねばなりません。この種の運動が市民レベルから盛り上がるようなことは絶対に無い体制ですからなあ。先の渤海の石碑も、大連市の政治協商会議が口火を切っているので、裏には北京政府の意向が動いているのは明らかでしょう。ですから、本当は相手がやいのやいのと言って来る前に先手を取って善い事をしてしまった方が良いのです。相手から言われたら後手に回って悪者にされてしまいますからなあ。
……東大が5月31日に行なった記者会見でも、韓国の報道陣から、東大は「寄贈」と言うが「返還」ではないのか、東大が財産として台帳に載せた根拠は何か、といった質問が浴びせられた。
これは韓国側の方に部が有る話ですから、東大側は相手を論破するのは困難だったでしょうなあ。
東大には、中国や朝鮮で戦前に集めた文化財がほかにも多数眠っているといわれる。昨秋、ソウルにオープンした国立中央博物館にも貸し出し多数展示されているが、東大は「今回の実録のケースを一般化はできない」(佐藤・副学長)という姿勢を見せる。だが、隣国の国宝が書庫に眠っているというような状態は健全とはいえないだろう。過去を清算するために東大は率先してさらに知恵を絞るべきではないか。
■以上が朝日新聞の記事です。最後は「過去を清算」「知恵を絞る」という決まり文句のつるべ打ちなのはご愛嬌です。「隣国の国宝が書庫に眠っている」という状態は決して不健全ではありません。こんな理屈が通るのなら、他国の博物館や資料館の目録を漁って、目ぼしい物をどんどん国宝に指定して返還を要求する大混乱が起こりますぞ。各地の博物館や美術館に収蔵されている品物には、それぞれの入手した経緯と事情が有るのですから、それを十把一絡げに扱うのは乱暴です。まして、過去の文化財に対して所有権を主張する現在の国が本当に後継国としてふさわしいのかどうかも判断できない場合が多いのですからなあ。
■現地ではゴミ同然に放置されていた文化財を他国の探検隊や調査隊が発見して持ち帰り、慎重に調査研究しながら丁重に保管しているような場合は、うっかり返還したら「高松塚古墳の壁画」みたいにぼろぼろになってしまう事も有り得るのですから、何でも返せば良いというわけには行きません。文化的交流の基盤は飽くまでも外交関係ですから、国益に適う「寄贈」や「返還」を行なうべきでしょうなあ。それとは別に、東大に限らず自分の所に収蔵保管している資料の詳細を知らないというのは職務怠慢ですぞ!相手から返還を要求されて調べて見たら有りました、というのでは、間抜けな泥棒みたいではないですか?!収蔵品を知らないという事は、その文化財を入手した経緯も知らないという事ですから、相手に格好の攻撃材料を与えてしまう危険性が高いと言えますなあ。
■日本には「正倉院」という世界最古の博物館と呼べるような施設と伝統が有るのですから、大学や博物館にはしっかりと仕事をして欲しいものであります。
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