旅限無(りょげむ)

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6月12日の前に 其の弐

2006-06-09 12:25:16 | 日記・雑学
■素人の目でも試合中のボールの動きが海外の強豪チームと日本とではまったく違うのを感じます。日本チームから奪われたボールは、それ自身が勇猛な意志を持って相手ゴールに向って飛び回っているように見えますなあ。それは技術の問題ではなくて、何か文化や経済などに根を持つ深いところに発生している違いのような気がします。日本が放つシュートには「武器」や「兵器」のイメージが無いのは何故でしょう?

土田 ジーコさん、別に日本代表が1次リーグで3敗しても、ブラジルに帰ったら仕事あるでしょ。……

原 …トルシエ監督は日本で名前を売ってヨーロッパのビッグクラブで監督をやりたいというヤシンがあった。今回、初戦の相手であるオーストラリアのヒディング監督も勝負しだから、ワールドカップで名前を売ったらどれだけ自分の価値が上がるかを知っている……

■こういうどろどろした話もあっけらかんと語られるのがサッカー界の特徴で、貧困から脱出するにはサッカー選手になるしか方法が無い!という国々が寄ってたかってボールを追いかけているのですから、気取った舶来趣味の日本サッカーでは勝負にならないのかも知れませんなあ。


昔の釜本さんのリフティングより、今の小学生の方がうまい。(笑い)……「谷間の世代」っていう言葉があったのに、どうして日本のサッカーが成長しているって言えるのか。

笑っているのもセルジオ越後さんです。ワールド・カップがどんどん大規模になってオリンピックに負けないくらいの世界的なお祭騒ぎになったら、怪しげな金銭も含めて莫大な資金が流れ込み、そして流れ出して行きます。競争原理が働いて日進月歩で技術が向上するのも当たり前の話です。そんな世界の動向が日本国内で毎日練習しているサッカー少年達にちゃんと届いているのでしょうか?変な利権に食い込んでお山の大将になっている困った老人などがいると、どんどん組織は内向きになって田舎サッカーしか出来なくなるでしょう。怪しげな人物や会社が紛れ込む非常に怪しいお祭騒ぎなのですから、切符が買えないとか、チャイナの詐欺師に騙されたとか、あまり騒がない方が良いのではないでしょうか?縁日には怪しげな口上で商売するテキヤさんや子供だましの楽しい商品が並んでいるのですから……。


土田 テレビでも、番組制作スタッフが「あまりマイナスコメント言わないでください」なんてすぐ言うじゃないですか。

越後 日本の評論家も、日本が入っているF組以外は、予選突破はこの国とこの国、と情報を吟味し、冷静に分析できる。ところがF組にくると、急に「日本は大丈夫」と言い出す。

土田 ただ、これがCMに入ったとたん、ころっと変わる(笑い)。「日本、勝てないでしょう」なんて言い出すから。……だからテレビ観てる人は、セルジオさんだけが1人で毒吐いていると思っているんです。(笑い)

■こういう暴露話は週刊誌でないと出て来ません。テレビは視聴率を手段を選ばずに引き揚げかさ上げして広告収入を荒稼ぎしたいのですから、視聴者の期待と妄想を強引に膨らませて雰囲気を盛り上げているのでしょうなあ。まあ、1次リーグの結果が出るまでの夢を貪(むさぼ)るのも良いでしょうが、生活や健康を破壊するほど熱中しないような注意は必要でしょう。


千葉のオシム監督がおもしろい分析をしている。三都主は攻撃力があるからそれを生かすには、その背中に守る人をおかないといけない、という。三都主が攻撃に出られるとしたら、彼はファウルをもらえるプレーができる。だから、日本はここにだれかをつけて三都主をハーフに使えるかどうかということです。中澤じゃない、中澤が外に出て、中に蹴りこまれたら、ヘディングの強い人間が中にいないから。

6月12日の前に 其の壱

2006-06-09 12:25:00 | 日記・雑学
■いよいよワールド・カップ・サッカーの開催です。少々商業主義に偏り過ぎた報道が目立っているようですが、世界一盛大なお祭だと思えば、新聞もテレビも雑誌も神社の縁日に並ぶ夜店と同じような物なのだから、いちいち目くじら立てても仕方が無いのでしょうなあ。元々、貧しい国ばかりが集まって結成されたFEFAという組織が新たな金ヅルを求めて日本を引きずり込んだと悪口を言う人も居るくらいですから、日本人は「金持ち喧嘩せず」の流儀で、余りムキにならずに微笑んでいれば良いのかも知れません。ですから、勝ったの負けたのなどと騒がずに無意味に興奮して楽しんでいれば、サッカーくらいにしか希望が持てない国々にも日本は尊敬されるでしょうなあ。

■『週刊朝日』6月9日号にワールド・カップ・サッカーに関する面白い鼎談が掲載されていました。「W杯直前タブーなき大激論」という題名で、セルジオ越後さんを中心に、前FC東京監督の原博実さんとタレントの土田晃之さんが好き放題に辛辣な事を言っています。特にセルジオ越後さんは、ドイツ代表との親善試合が終った後で、先取した2点を守り通せなかった日本チームの不安をぼそぼそと指摘するのが精一杯の人達の中で、


「今度のワールド・カップ大会ではベンチに通訳は入れない。そのシミュレーションをして欲しかった。」

と誰も言わないジーコ・ジャパンの油断を戒めてしまいしたから、お祭騒ぎを冷めて見ている珍しい人なのだろうと思っていましたが、鼎談の中でそれが確認できます。


……今の日本の実力で、攻撃的に戦いながら1次リーグを突破できると思っているのが、僕の大きなサプライズ。まだ大会が始まってもいないのに、巻がヒーロー扱いされているのもおかしい。急に高原がすごいFWになったような報道もされているしね。……

■巻という選手が選ばれた事が大ニュースのように扱われたのは確かに不自然でした。その裏で久保という選手が落選したのですが、ジーコ監督が無闇矢鱈に遠征試合で使って消耗させたのが不調の原因なのに、誰もそれを指摘しないのだそうです。ドイツとの親善試合で高原君が2ゴールも上げてしまったのでセルジオ越後さんの批判は外れてしまったようにも見えますが、陰で続けられた努力の美談で「親善試合」の得点をマスコミは飾り立て過ぎて、逆にこれまでのゴール前で間抜けなシュート・ミスを繰り返していた高原君の姿を思い出してしまった人も多かったのではないでしょうか?本番でどれだけ活躍できるのか?「親善試合」での椿事が繰り返されると思い込んでいたては行けないでしょうなあ。


……よく日本は決定力不足というけれど、これは誤解を招くよ。…日本は相手のレベルが上がると、技術を発揮できず、得点もできないんですよ。これは当たり前のこと。日本はまだレベルが低いということなんです。それなのに、「最後の決定力不足」を原因にして、レベルがずっと下なんだという自覚がない。