「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

蝶生れて風に翻弄されしかな 菅原鬨也 「滝」5月号<飛沫抄>

2015-05-19 04:45:57 | 日記
 自然界の蝶の生存率は卵百個に対して、幼虫は五十頭と
半減し、さなぎは一・六頭、成虫は0・六頭になる。自然
界は虫・鳥など天敵も多く生きることは厳しい結果であっ
た。しかもせっかく生まれても今度は風に翻弄される蝶。
ただ、人間のように戦争に翻弄されることはない。海を越
えるアオスジアゲハは上昇気流を捉えて海を渡る。時には
海へ落ちる時もあるが、海上で休んでまた、飛び出す生命
力。この句をよく考えると本当に翻弄されるのは人間の方
かもしれない。(八島 敏)