「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

無作法をとがめられたるがうなかな 小林邦子 「滝」5月号<瀑声集>

2015-05-10 04:40:28 | 日記
広い水槽で数匹の寄居虫を飼ったことがある。ザリガニの
餌で十分大きくなる。大きくなると、背負った巻き貝を別の
ものに替える。そのため常にたくさんの貝殻を水槽に入れて
おく。住み替えの際、すぐに新たな宿を借りるやつがいる一
方で、なかなか気に入った巻き貝が見つけられずに裸でうろ
うろするやつがいる。そんなのに限って自分の体にまるで合
わない貝を選ぶ。ぶかぶかだったり、間違って入れた瓶の蓋
だったり、どうしたものかそんな規格外の宿に入り込む。始
末に負えないのは、どうしても宿が決まらず最後までうろつ
くやつ。「早く宿を借りろ、いつまでも裸でみっともないぞ」
と、そいつの目の前に、気に入りそうな貝殻を沈めてやって
も知らんぷり。そんなやつには宿命のように早めの死が待っ
ている。優柔不断は悲しい。(石母田星人)