雛も抱き人形も人形の目は、決して視線が合わないように作
られている。こどもは目が合うと恐怖心や圧迫感を覚える。そ
れを防ぐため瞳の位置を少しずらしてよそ見をしているよう
に描かれている。安心して遊べるようにという製作者の配慮の
ようだ。けれどもたまにはこちらを見て欲しい時もある。心の
うちを語りかけようとしても、よそ見をしているのだから気持
ちが届くことはない。視線を合わせようと人形を動かし、前後
左右または上下とあらゆる角度から何度も見つめても無理。句
座の「をらぬなり」が気持ちの伝わらないもどかしさを語る。
(石母田星人)
られている。こどもは目が合うと恐怖心や圧迫感を覚える。そ
れを防ぐため瞳の位置を少しずらしてよそ見をしているよう
に描かれている。安心して遊べるようにという製作者の配慮の
ようだ。けれどもたまにはこちらを見て欲しい時もある。心の
うちを語りかけようとしても、よそ見をしているのだから気持
ちが届くことはない。視線を合わせようと人形を動かし、前後
左右または上下とあらゆる角度から何度も見つめても無理。句
座の「をらぬなり」が気持ちの伝わらないもどかしさを語る。
(石母田星人)