「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

春の雷散らばつてゐる髪飾 阿部風々子 「滝」4月号<瀬音抄>

2015-04-11 04:46:44 | 日記
春雷という一瞬の閃光をばらばらに散った髪飾と捉えた詩
的感性に感銘した。女性の頭部に小さな飾りを幾つもつける
タイプの髪飾ととれなくもないが、それではまるで星座であ
り華やかすぎる。和装の際につけるかんざしのような髪飾が
いい。もちろん春雷の瞬間に毀れたわけではない。手に取る
と、部品であるパールがなくなっていたり留め金具が曲がっ
ていたりと傷だらけ。だが、散らばった際の記憶はいつまで
も残っている。その記憶と春雷の儚さとがうまく共鳴した。
(石母田星人)