「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

スポイトの一滴の艶さへずれり 木下あきら 「滝」6月号<滝集>

2013-06-23 05:14:58 | 日記
 「囀」は繁殖期にオスがなわばり宣言と、メスの獲得のた
めの鳴き声である。しかし、カラスが木の実をアスファルト
に落したり、路上に置いて車に割らせる等の知恵を持ってい
ることは知られているが、感情の世界があることはあまり知
られていない。私も鳩には感情があると確信したことがある。
以前、二、三日マンションを留守にした時のこと、ベランダ
の棕櫚箒を即席の巣にし卵を抱いていたのである。鳩のフン
公害が騒がれていたこともあり、鳩のいない間に三つの卵を
階下にずり落した。戻ってきた鳩は、しばらくうらめしそう
な目でじっと部屋の中をにらんでいたのには、親鳥の心情も
わかるので、さすがに後ろめたかった。ところが数日後、そ
れまで部屋のガラス戸を開けておいても入ってこなかった鳩
が、留守の間に畳みやステレオの上にフンをしていったこと
には驚かされ、咄嗟に鳩に仕返しをされたと思った。
 俄雨のあと、太陽が射しはじめると、鳥たちはいっせいに
喜びを謳歌する情緒的な面が見られると、動物の専門家の間
でいわれはじめているとか・・・。
 掲句は、囀と光がつながっている一瞬を、的確にとらえて
詠んでいる。(遠藤玲子)