「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

恋猫や運河の底の泥眩し 堀籠政彦 「滝」6月号<滝集>

2013-06-18 05:36:20 | 日記
 見事に感慨が省略された、激しさと穏やかさであると思う。
貞山運河を思えば、伊達政宗が民の暮らしの向上と、国の発
展を願って構想し、築き上げられた四百年前の土木遺産。東
日本大震災の津波の被害を弱めたとも言われている。引き潮
に津波を思っていいのかどうかは分からないが、泥の眩しさ
は、今を生きている眩しさでもり、穏やかさでもあるのだろ
う。恋猫の常軌を逸した絶叫は、読む者にざわざわと内なる
ものを波立せるべく響き合いながら、「光」を言う事で「闇」
を想像させるべく働いているように思った。(H)