「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

囀を瓶に容れれば瓶ひかる 菅原鬨也 「滝」6月号<飛沫抄>

2013-06-06 06:06:37 | 日記
 賑やかな鳥の声に目覚め、窓を開ければ、囀りは一層透き
通った声で、キラキラと反射しながら我が身に降り注いでく
るような感じがする。そんな体感を、例えば仔猫の可愛らし
さを抱くように、作者は囀りの美しさを空き瓶に容れる。捨
てられるはずの瓶が「容器」として復活し、春を閉じ込めて
光っている。囀りによる高揚感が生み出した、声が光と化す
瞬間の何と美しいことか、明るいことか・・・。連想の妙は、
俳句という十七文字の眩しさをも私に伝えてくる。この瓶は
心室に飾って句作の糧としたいと思う。(H)