このアルバムの発売を知ったときに、これは欲しいと思いました。fred herschがJobimの曲を演奏している、それもソロで。手に入れるまでにちょっと時間がかかりました。
ハーシュのJobimどのように描くのでしょうか。
セルニアス・モンクとか、エバンスとかストレイホーンなどJAZZ特有の癖をソロで美しく昇華してきた人なのでちょっと驚きました。そして演奏を聴けばまた驚きました。ハーシュなんです。
ジャズのピアノに何を求めるのでしょうか。
リズム、ハーモニー、メロディーはもちろんでしょう。
メロディーを包んだハーモニー、ハーモニーを浮き立たせるリズム、リズムに乗ったメロディでしょうか。
それだけではJazzピアノは満足できないでしょう。
ピアニストの、歌心、タッチ、タイミング、強さ、早さ、それを鍵盤の上、自由に表現してくれること、緊張感、鋭さ、やさしさ、抱擁感、さわやかさ、哀愁、数えれば切りがありません。
こんなことを書いたのは、それをかなり縦横に兼ね備えているのがフレッド・ハーシュだと感じるのからです。
このジョビンの曲集を拾う前いに買ったアルバムも、そのピアノ自体は、JAZZの本質(音楽史の流れの中でも、精神的にも)を表現しているピアノだと思いました。
(ただ別な好みがあるので)
そしてこのアルバム、その意味では見事にハーシュであるわけです。なぜJobimなのかと思いながら、そのジャケットには、今のハーシュの状況を想像するならば心が柔らかくなります。
1曲目シンプルな表現で描くその姿が美しい。
2曲目整然としたリズムの中で剛を持つピアノ、その剛と釣合うメロディが一体です。
3曲目やわらかなタッチなのにひ弱さなど微塵もない、ハーシュの面。
4曲目リズムとフレーズの一体感。
5曲目では右手と左手の美しいメロディの美しい結合。
7曲目メロディから伝わってくる優しさ。
一つ一つの曲がハーシュの持つ力、魅力、を伝えて、聴くほどに良さが解るアルバムです。
ハーシュのことになると心配なことがありますが、そんななかで、心が柔らかくなりました。そしてこのアルバムに記事を書けたことがうれしく思います。
Fred Hersch plays Jobim
Fred Hersch: piano
Jamey Haddad: percussion (6).
1. Por Toda Minha Vida
2. O Grande Amor
3. Luiza
4. Meditaao
5. Insensatez
6. Brigas Nunca Mais
7. Modinha/Olha Maria
8. Desafinado
9. Corcovado