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アーチー・シェップとアルバート・アイラーという2人がいかにジョン・コルトレーンを敬愛していたかがわかる演奏が、コルトレーンの死後、形になったのはとても良いことでした。
コルトレーンの影響という意味ではもう一人、ファラオ・サンダースが後継者のように言われて、存在しました。
コルトレーンのグループに参加したサンダースを、コルトレーンのグループではなぜだかよく解らないと最初思っていました。
体調の思わしくなくなっているコルトレーンには、自分のサウンド作りにあのエネルギーが必要だったと思います。
そして、コルトレーンと伴に演奏することで、サンダースはその世界を継承したのです。
このアルバムなどのインパルスのあと、ファラオ・サンダースを聴かなくなっていましたが、最近CDなど少し聴くと、ずいぶん変わったように思います。
この頃は、コルトレーンを本当に継承したのかどうか、胡散臭さが付きまとうアルバムでした。
1曲目、久しぶりに聞けば、ガトー・バブリエリとも通じる太いメロディラインは魅力的だし、咆哮と音の大きさはコルトレーンを凌駕していたわけで、精神性とかをコルトレーンと比べるようなことをしなければ、エネルギーに満ちた楽しい演奏です。
リチヤード・デヴィスとかロン・カーターがベースを弾くことも面白い人選です。
1面が1曲、神の創造を歌う曲は、コルトレーンというより、アルバート・アイラーに近く、そのことは逆にいかにこの3者が影響されていたかが解ります。
2面“カラーズ”は1面から連なった演奏で、これでもかというフリー・アドリブを聞かせますが、ロニー・L・スミスとレジー・ワークマンでベースのハーモニーは取れていて、今聞けばお祭りのように楽しい演奏です。
今の社会のような常に不安定で、よりどころがない閉塞感でなく、破壊的な音楽の中に、爆発のよりどころを定めていたのでしょうか。
カオスの様に思われる演奏も、きちんとした終焉に向かっていくあたり、今では安心して聞けるのです。
最後のレオン・トーマスの歌も許せる歌唱(別のアルバムでは?に思ったことも)で今回驚きました。
評価が大きく分かれていたファラオですが、皆さんはどのように感じるのでしょうか。
最近のファラオがやっているのは、確かに安定したものを感じますが、私はこの頃の良く解らんという(でも今聞くととても解りやすい)ファラオがかなり好きでした。
KARMA / PHAROAH SANDERS
Billy Hart(Drums)
James Spaulding(Flute)
Leon Thomas(Percussion)
Leon Thomas(Vocals)
Lonnie Liston Smith(Piano)
Nat Bettis(Percussion)
Pharoah Sanders(Sax (Tenor))
Reggie Workman(Bass)
Richard Davis(Bass)
Ron Carter(Bass)
1. Creator Has a Master Plan
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