JAZZ最中

考えてみればJAZZばかり聞いてきた。いまもJAZZ最中。

失わないものYesterday You Said Tomorrow/Christian Scott

2011-01-31 22:30:05 | 聞いてますCDおすすめ


たいてい1月は皆さんの昨年のまとめとか、しめてみてスルーしていたものでやはりほしいとかを拾って聴きます。このアルバムは、雑誌で注目ということで、普段なら手が届かないものですが、是非聴きたくなりました。もう当たり前に有名なのでしょうが、私初めて、でこのアルバムかなり気に入りました。

1曲目で出しのギターの愕しい雰囲気と泥臭いドラムス、オリエンタルなメロディがミュートではいり、途中のドラムスはジャック・ジョンソン風で、まずはマイルスを思い出しました。その後ミュートをとるとこれはフレディー・ハバートです。
2曲目ミュートの乾いたメロディが私は好きです。混沌のなかであきらめることの無い意志みたいなものを感じます。
3曲目ミュートなしのペット上手いと思います。
4曲目ミュートでゆったりしたメロディは少し陰ではあるものの、希望みたいなものがそこはかとなく付いているような感じ、その後のピアノがとても良いメロディ、注目に値する人です。
5曲目はミュートなし、どの曲も社会問題を題材にしているようですが、感じとしては昔のマックス・ローチの「WE INSIST」みたいな攻撃的とか主張ではなく、その状況のなかで失わないものがあることを表わしているように思います。
6曲目、7曲目と同じような曲調が続くのは惜しいような気もしますが、統一性というところではしょうがないのかもしれません。
8曲目、この曲で始めてペットがブローしますが、良いです。
4ビートでバップを吹くトランペットは技量とフレーズでいけますが、このようにミュートやマイナーでゆったりテンポを吹く人、あまり驚く人いませんでした。
このペットの人いつかすごいアルバム作りそうですね。


Yesterday You Said Tomorrow / Christian Scott

Christian Scott(Tp)
Matthew Stevens(G)
Milton Fletcher, Jr.(P)
Kristopher Keith Funn(B)
Jamire Williams(Ds)
Rec. April 22-25, 2009, NJ(Concord Jazz 7231412)

1. K.K.P.D.
2. The Eraser
3. After All
4. Isadora
5. Angola, LA & The 13th Amendment
6. The Last Broken Heart (Prop 8)
7. Jenacide (The Inevitable Rise and Fall of the Bloodless Revolution)
8. The American't
9. An Unending Repentance
10. The Roe Effect (Refrain In F# Minor)
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ハクエイ・キム ミニ・ライブ アット タワーレコード 2011 1 30

2011-01-30 22:13:32 | サポート中、ライブ


ハクエイ・キムのアルバム[Trisonique」のアルバムを買うときに、タワー・レコードではサイン会の参加券つきというので、そこで入手しました。
ミニ・ライブもあるということで行くくことにしていました。リズムの二人は出張中でハクエイのソロ「Trisonique」の販促イベントですから、アルバムの曲を演奏するでしょうし、ソロ・バージョン、どうするか逆に面白そうです。

まずは渋谷のショップを2軒、ほしいけどスルーしていた“SANTANA”のアルバムが1,200円だたのでそれだけ拾い、タワーレコへ、ここではちょっと聞きたくなっている“トニー・ウィリアムス・ニュー・ライフ・タイム”のベスト盤を1,000円で、ロックの2枚、珍しい買い物です。
もう一枚はACTのピアノアルバムですが、これはいつか記事になるかも。
でタワーレコード6階で並んだパイプ椅子が24脚、うまく座れました。立ってみている方が20名ぐらいいたでしょうか、その後のサインも2番目で後ろの方は把握しませんでした。

何を演奏するかの予想ですが、4曲演奏されたもの1曲はずしました。
1曲目目は“White Forest”なり始めてちょっと驚くほどピアノの音が良いので驚きました。上品で福よかな感じで、そしてソロメロディを一人でつむいでいく演奏、これ聴きにきて正解です。
2曲目出だしはかなりフリーなインプロから、“Bird Food”の杉本さんのソロの変化かなとおもっていたら、“Take Five”で、アルバムよりも早いテンポで、アドリブがとても切れがよくこれも面白い。
3曲目は“Delayed Resolution”こちらは逆によりゆっくりとした演奏で、メロディをゆったり追って、曲の良さが解ります。
4曲目は“Trisonique”でイントロ、やさしくメロディアスな曲調ではじまりアルバムと違っていても、これも良い。こうやってくれるのもいいなと思っているうちに聴きなれたメロディ、ハクエイの人柄、ストアー・ライブでもまったく手抜きなしのフレージングで、30分少しでしたが、とても満足感がある、ソロ・パフォーマンスでした。

でサイン会、サインしてもらったのが上の写真、名前のところは隠してます。
並んだら2番目でしたが、もちろんゆっくり話は出来ません。
まずはお祝いと、こちらから私事の報告。そしてちょっと質問。
あさって2月1日に内幸町ホールで行われる「ザ・スーパセッション」というコンサート、川嶋哲郎さんのサックスに井上陽介さんのベース大阪晶彦さんのドラムスにハクエイ、パーカーを素材にしたセッションを行います。
「どんなピアノで行くの?バップでやる?」とこれってちょっと意地悪、サッカーの作戦を聞くようなもの、でも答えは彼らしい回答でした。

帰りは東横によって買い物、頼まれた巻き寿司、これがおいしい、しまった、写真撮らなかった。
480円で4ヶ、太巻きの具が数種類の魚でおつまみになるのです。
かなりの人気みたい、オクサンと2ヶづつ、とても良いおつまみになるのです。ちなみに海鮮巻きという名前です。


あさってはさっき書いたコンサート、良いセッションになること、もちろん驚きも混ぜていただき、期待しています。
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遥かなる未踏峰 ジェフリー・アーチャー 戸田裕之訳

2011-01-29 21:45:58 | 


「ケインとアベル」や「ロマノフスキの娘」「チェルシー・テラスへの道」など素晴らしいストリーを永井淳さんの名訳でわくわく呼んだジェフリー・アーチャーの新訳が出版されました。
http://blog.goo.ne.jp/monakasm/d/20090929
永井さん亡き後、ベテランである戸田裕之さんの翻訳でイギリスの登山家、ジョージ・リー・マロリーの生涯を描いた「遥かなる未踏峰」という小説です。
新田次郎など登山の小説は好きなので、これはと思って読みました。

なんだか山に登った気分がまるでしません。イギリスの歴史の流れの中での英雄伝ですので、英国の歴史上の登場人物や、民主主義、クラブの変遷など、英国人なら当たり前のことが不案内なので、どうも入り込めない。
山に登っている部分はとても少なく、最後のエベレスト登頂のなぞは僅かな部分、そこにいたるマロリーの軌道を綴ったものでした。
ただ1人の女性である夫人との心の通い合いも、最後の手紙が重要ではあるのでしょうが、途中この手法を多く使うのも私的にはいただけませんでした。
マロリーがエベレストに登りつめたのかは今も不明ですが、(そこら辺がミステリー仕立てかと思って読み始めたから)私は登り詰めるどころか、山の周りをぐるりと一回りした気分で終わりました。
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ハーシュを探がせ!Everbody's Song But My Own / Fred Hersch

2011-01-27 21:37:34 | 聞いてますCDいいと思う


ハクエイ・キムのアルバム「Trisonique」の感想を記事に書くために、他のJAZZアルバムは封印ですなんて書きましたが、19日には3枚にアルバムを購入したのです。
その一枚はハクエイ同様、随分永いお付き合いのフレッド・ハーシュの新しいアルバムです。
日本のヴィーナス・レーベルからで内容不安ですが、買いの人です。
トライソニークの記事を書いている途中、チョッとつまみ食いしました。
それでトライソニークとの余りの違いに、即やめ、第一印象・・・アンレでした。

無事に(?)ハクエイの記事もアップして、その後は安心感から、ゆったりと何度も聞いています。
出だし、1曲目、ベースの音がボーンと鳴ると、どうしてヴィーナスのピアノ・トリオって同じような音にしちゃうのでしょうか。
1曲目の“East Of The Sun”の選曲と、この音でこれハーシュなのと、まずは戸惑います。
私、戸惑っているだろう、多くのblogのお仲間を知っています。
2曲目になっても、その困惑は続いていて、こんな感じは、ビル・チャーラップで作ればいいんじゃないかと(私、けしてチャーラップを嫌いではありません。)思ってしまいます。
3曲目“I Concentrate On You”、私ベースの低くて太い音好きですが、何も怪物みたいな音を鳴らすことはない、ハーシュがいるのにもったいないので心を落ち着けて、後半のピアノ・ソロぐらいからハーシュが見え隠れ(ずっと弾いているのに)しだしました。
4曲目“From This Moment On”は出だしから美しいハーモニーとそれに続くソロ、聞き方を変えて聴いているのです。頭でフィルターをかけてベース音を落として、そうするとハーシュがいるのです。
5曲目マンシーニの美しい曲ですが、このベースラインはチョット合いいません。もう少しセンシティブでいいのでは、このベースの人、この曲良く知らないのでないでしょうか。ヴィーナスのアルバムではこのような選曲とプレーヤーのずれがあります。
6曲目の今度はハーシュのピアノ、なんだか弾き急いでいるようで、表現にあせりがあるような感じを受けるのは私だけでしょうか。
7曲目は美しいピアノフレーズからはじまり、後半リズムが入ってもそのタッチが持続します。
8曲目、前作「While」とはまるで違う力強さ、確かに元気だった時のハーシュ、タッチは強いというより、はっきりした切れがありましたが、ここでは音の方が勝ってます。
9曲目“In The Wee Small Hours”は美しい、誰にも邪魔されずソロです。元気なハーシュが見る(聴く)ことが出来て、これでいいのです。この感じが半分占めていたら、お薦めにするのですが残念、かといってアルバムしては無視することは出来ないものでした。

思い浮かべていたのは、絵本の「ウォーリーを探せ!」、(マーティン ハンドフォード作 絵 唐沢則幸訳 フレーベル館)だから題もこうなってしまいました。



どこにいるのか、チョット見え辛いなかで、親しいウォーリーを探す絵本ですが、皆さんのハーシュこのアルバムに見つかりましたか。



ウォーリー君もチョット、ハーシュに似ていますよね。


Everbody's Song But My Own / Fred Hersch

Fred Hersch(p)
John Herbert(b)
Eric McPherson(ds)
Recorded at Avatar Studio in New York on May 19 and 20, 2010.

1.East Of The Sun ( B. Bowman )
2.Shall We Dance ( R. Rodgers )
3.I Concentrate On You ( C. Porter )
4.From This Moment On ( C. Porter )
5.Two For The Road ( H. Mancini )
6.Invitation ( B. Kaper )
7.The Wind / Moon And Sand ( R. Freeman / A. Wilder )
8.Everybody’s Song But My Own ( K. Wheeler )
9.In The Wee Small Hours ( D. Mann )
10.Three Little Words ( H. Ruby )
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久しぶりに(初めてか?)記念に買いました JAZZ JAPAN 6

2011-01-25 21:22:00 | 




スイング・ジャーナルを年一度しか買わなくなって15年ぐらいたちますが、ついに幕を閉じたあと同じ編集者の人がJAZZ JAPANという雑誌を立ち上げたみたいで、検討お祈りします。
ちょっと繭につばつけてみていますが、SJ誌よりかはずっと良くなっているに思います。
それでいつもの立ち読みですが、今月はハクエイ・キムのトライソニークのアルバム発売、メジャーということもあり、多く取り上げられました。
まず先日「JAZZ LIFE」のインタヴューでトライソニークの立ち上げの経緯など細かく書いてあって、尚且つカルタさん、杉本さんのハクエイへのコメントなどもあり、私のハクエイ表現よりか数段確実でもうこっちを呼んでいただければと思っていました。ありがたいことです。
そして今日、本屋さんに立ち寄ったらJAZZ JAPANがあり、ハクエイどうとみれば、こちらもインタヴューされていました。

題が「異端から本流へ」ですって、カッコいい。



まったく、真面目な性格ですから、こんなことまで言わなくてもと、でもそこが彼の素晴らしいところです。
読んでいてまったくそのとおりなので困ります。
でも、これからの方向について、きちんとメンバーでコンセンサスが取れているようで、今年一年はそこを強力に推し進めて、インプロヴィゼーションが奏者と聴く者を共に共有する素晴らしい世界に導いてくれることを期待します。

レヴューも3ページ目、藤本史昭氏の内容がとても同調できるので、2誌の内記念みたいにこちらを購入しました。

アルバム「Trisonique」をずっと聴いていますと、次の生演奏がどうするか気になりますね。
いつのなるのか、4月のビルボードも入れ替えですし、宝くじみたいなものを申し込みました。
渋谷タワーレコでインストア・ライブがあるみたですが、どんどん聴きたい気持ちが高ぶっています。

もちろんサイン会の券も持っています。そちらに行こうかどうか、ハクエイに伝えたいこともあるので考慮中です。


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特等で特上を  Trisonique / Hakuei Kim

2011-01-23 00:05:53 | 聞いてますCDおすすめ


2009年8月に久しぶりにハクエイ君に会うと、開口一番が 「良いトリオが出来ました」でした。その後10月に横浜JAZZプロムナードで1時間ぐらい彼とお茶ができて、そのトリオに「トライソニーク」という名前をつたと説明してくれました。
そのトライソニークのアルバムが機を熟して発売になりました。
ずっと応援してきたハクエイ・キムは、私のblogでこれまでのリーダー作3作および参加作、ライブのレポートも25回(そのうちトライソニークは5回)記事にしてきました。
2005年の出会いから今日までを振り返って、今回の「Trisonique」の発売は私にとっても格別の喜びでなのです。
ずっと聴いてきたことから、ここで書くこともなんだか責任を感じて、実にゆっくりと書いています。

まず第一印象ですが、ホッとしています。
トライソニークを聞きにいく時には、とにかく一番良い席を目指します。ハクエイ、カルタさん、杉本さんの3人が同じように重要なことをそするので、バランスの良い席が大事なのです。
今度のアルバムを聴くと、すばらしいバランスで特等の席に座っている状態です。
これで特上の演奏であればいいのです。

1曲目グループ名の“トライソニーク”ライブだと10分をこえてうねる様に展開しますが、ここでは5分半、抑制をきかしてまとめているのです。それでいて途中のハクエイのピアノライン、カルタさんや杉本さんのリズムにはトライソニークのエッセンスがしっかり出て、とても旨く伝わっています。そこがこのアルバムの巣晴らしところ、ホッしました。この演奏にトライソニークが要約されているように感じます。
トライソニークの結成と、その方向みたいなことは今月の「JAZZ LIFE」のインタヴューでハクエイが詳しく語っていますので、そちらをお読みください。
3年ぐらい前から、ハクエイにぴったりなベーシストが見つかると良いね、と話していたのを思い出します。
2曲目は杉本さんの高音アルコから始まる“クアラルンプール”、これまでハクエイと演奏してきたベーシストは、もちろん演奏しようとする人ですから、すばらしい奏者であり今でも共に演奏しています。
杉本さんの参加によって出来上がったトライソニークの演奏の変化を、5度のライブで見てきましたが、その変化は目覚しいものがありました。
出だしのトライソ(たぶんこう短く呼ばれる)は、それぞれのすばらしいインプロに周りがいかに反応するか、ソロとバックの関係から始まりました。
しかし、二人のリズムは並大抵ではなく、ハクエイがより強くピアノのラインを作るようになりました。すばらしいリズムに対等になるよう、実は成長したのです。
杉本さんは最初、基礎になるフレームを安定させてくれる人でした。
ことクアラルンプールや以後のソロにあるように、最近では一人でずっとソロしてるのではと思うほど扇動的です。このアルバムでも、アリャ杉本さんのアルバムかいと思い(ません。)
逆にカルタさんは、いつも実に楽しそうにたたいていますが、細心の注意を払いながらリズムキープをしてトリオの安定に導いて、その中突然爆発する人となりました。
ハクエイはこの二人を得て、自分のグループでありながら、あるときではインプロバーザーを謳歌して自由に歌ったり、自分の真価を試しているのです。
3曲目“ホワイト・フォレスト”もクワラルンプール同様定着した曲で、ここら辺がこのグループの初期の曲でした。ピアノの音が明晰で切れがよいので、ハクエイのタッチもお解りいただけると思います。その後の杉本さんのベース・ソロ、しかし絶対そこを離れないピアノとドラムス、これがトライソニークの魅力なのです。
4曲目はミッシャル・ルグランの“ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング ”で、ビル・エバンス演奏であまりに有名な曲ですが、面白いのは途中のピアノの音のいくつかがエレピみたいに聞こえるのです。録音上なのでしょうが、普段のハクエイの生音より若干硬質に感じます。
5曲目はまたまた杉本さんのベースソロで始まる、私的には最近お気に入りのオーネット・コールマンの“バード・フード”ライブではもう少し高速になって、よりぐいぐい来るように感じますが、このアルバムの演奏が面白いと思った方は、ライブではもっと燃えますよ。
この後のオリジナルがトライソニークとしては新しい曲で、6曲目、出だしハクエイのもう一つの魅力、情感に富んだピアノ・ソロから、広がりのある世界を作っていくのです。
7曲目は“Hidden Land”で一,二番目に新しい曲でしょうか、今もパターンが変わりながら演奏されているように思います。このアルバムでこれをよく聴いて、ライブでのトライソニークとの違いに驚くのもまた楽しいと思います。
8曲目はデスモンドの“Take Five”。トライソニークが出来たころ、いま“Take Five”アレンジしているのですと聞いていました。これは私も大好きな曲、こと曲を演奏もしくはアレンジする事はある意味挑戦でないでしょうか。
そしてこの“Take Five”最初の2009年11月のJB Bratの演奏から、ずいぶん変わってきたと感じます。最初はデスモンドの“Take Five”の雰囲気の部分持っていたのですが、今では完全にハクエイの“Take Five”です。このアルバムの演奏は、面白いことにちょっと遠慮した感じで中間の“Take Five”みたいで面白いです。
ハクエイのここのところのアルバムでじは、最後の曲は落ち着いた、遠くを眺めるような曲が配されてきました。この“ジ・アーキオロジスト”でも深みのある杉本さんのベースとの絡みがすばらしい。
去年の6月ごろに出来た曲ですが考古学ということらしいです。
ハクエイの飛んだ発想では、「自宅に帰った命題に悩む考古学者が眠りに付くと、部屋のすべてのものが考古学者の口の中に吸い込んでしまったら答えが見つかった」だそうです。
当時演奏を聴いていて、私も答えが見つかりました。
考古学者、もちろんハクエイのことですが、頭に渦巻くハーモニー、ハーモニー意識を口の中にすべて吸い込むと答えが見つかるのです。それが右手で弾くメロディ、まさに自分のことを曲にしたのでした。

トライソニークへの、この一年あまりの思い出が沸き返る、感慨深いアルバムで、ホッとすると同時に身の引き締まる一枚になりました。

こんなことをしたいと望んでここまで来た、そしてこのアルバムが形となった。
演奏者は、常に次の姿を見せていなければいけないと思う。
ハクエイがインタヴューで語るように、「このアルバムと同じ演奏をしようとは思っていない。うまくいかなくても、このアルバムを破壊するような演奏に挑戦していきたい。」(すみません立ち読みなので、正確ではありません、要約です。)

このアルバムはハクエイ・キムと「トライソニーク」の実にすばらしい面を見せてくれています。もちろん今のトライソニークのエッセンスになっています。でも「トライソニーク」は変わろうとしているのです。
そこを楽しむ事こそ、今のJAZZを楽しむことで、その最高の素材がここにあるのです。

何日間か煮詰めてた気分で書いたら、ずいぶん大げさなものになってしまいました。申し訳ありませんが、ファンの一人です。

独りよがりのことは切り離して、特等の席で聞いているようなバランスと音で、今のJAZZの特上の息ずかい、それが届いているアルバムだと思います。

さて、でもずいぶん有名になってしまって、アルバムにもサインもらいづらい。
ガードがきつくなって話す機会も今年は減りそうですね、うれしいやら、かなしいやら。

いや、まずは、めでたい、皆様、ぜひお聴きください。

追伸

今になっては昨日か、1/22東京テレビ系 「美の巨人たち」が放映されていました。
この記事を書いていて最後のほうだけ観ることができましたが、とても格調高い素敵な番組でした。
そしてエンディング・テーマは“Trisonique"素晴らしい絵画が加わって満たされました。

Trisonique / Hakuei Kim

ハクエイ・キム - piano
杉本智和 - bass
大槻“KALTA”英宣 - drums

1. トライソニーク
2. クアラルンプール
3. ホワイト・フォレスト
4. ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング
5. バード・フード
6. ディレイド・レゾリューション
7. ヒドゥン・ランド
8. テイク・ファイヴ
9. ジ・アーキオロジスト


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やさしく融かして激しく融かして Hands / Dave Holland

2011-01-19 21:49:23 | 聞いてますCDいいと思う


記事を書こうとして最初に思いついた題が“優しく融かして”でしたが最終的に“やさしく融かして激しく融かして”にしました。
なにか艶めかしい想像をする方もおられるでしょが、そんなことはありません。
朝一番に聞いていたアルバムが、「CON LA GUIA DE INVISIBLE」という、Dante Ascainoという人のギターとEugenia Mentaという女性のチョロの組み合わせ、1曲目ナイロン弦のギターのアルペジオとチェロのメロディはノスタルジックな平明な一日があけていくようです。
なぜこのアルバムかというと、今朝からはある理由でJAZZピアノは聴かないのです。
そして記事にしようと感想をメッモって確かめれば、既に記事にしていました。(そんな記憶が不確かなのは中国で書いたから)
http://blog.goo.ne.jp/monakasm/d/20100604

同じような感想なのでほっとしましたが、記事に出来ないので別のアルバムに変更、それがこのホランドのアルバムです。
JAZZというよりスパニシュ・ギターにベースが合わせていく感じで、最初のアルバムよりかは激しく、熱い。
それで題名も“優しく融かして激しく融かして”に変更でした。

何でこの題か、今朝車に乗ると、昨日置き忘れたペットボトルのお茶が完全に凍っていたのです。
私の住むあたりで、車内のものが完全に凍るのはひさしぶりです。
少しノスタルジックなフォークロアを聞いていて思いだしました。
昔とても寒い朝がありました。霜柱が立った道を半ズボンで歩いているとき、正面からの風がほほを切っていくみたいだったこと。
アルバムをききながら思ったのが“優しく融かして”そんなことを感じたのです。
でもアルバム変更で題も変更、艶かしくなりました。
ただ凍ったペットボトルのお茶が融けるけることを想像しただけでした。

ホランドの演奏は一言、もう少しJAZZ的であってくれたらとか、メロディがもっと哀愁こもってもとか思いますが、良いアルバムです。

もう1つなぜ今朝はJAZZを聴かないかというと、応援してきたハクエイ・キムのトリオ、“トライソニーク”のアルバムが本日1月19日に発売されるからです。

それを聴いて、納得するまでは他は一寸置いとくことにしたのでした。

Dave Holland, Pepe Habichuela/Hands

Dave Holland(B)
Pepe Habichuela(G)
Josemi Carmona(G)
Carlos Carmona(G)
Israel Porrina(Cajon, Per)
Juan Carmona(Cajon, Per)
Rec. March 16-20, 2009, Madrid

1. Hands
2. Subi La Cuesta
3. Camaron
4. The Whirling Dervish
5. Yesqueros
6. El Ritmo Me Lleva
7. Bailaor
8. Joyride
9. Puente Quebrao
10. My Friend Dave
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平らに広げて且つ空を飛ぶ FAST CITY / METROPOLE ORKEST

2011-01-18 21:58:27 | 聞いてますCDいいと思う


昨年どうしようか迷ってスルーしていたアルバムで評判でやっぱり仕入れたうちの一つ、落ち着いて聴くと、ととても良い。
WRやザヴィヌルの本質って明言なんて出来ないけれどハーモニーとリズムをいかに合体させるかで、WRはそれをシンセとホーンにリズム隊を組み合わせることでで作っていたわけで、このアルバムに1曲目のアレンジを聞いていて、それを平らに広げることで、オーケストラ状態にしているようは気がします。
2曲目はザヴィヌルのサウンドをより精鋭にしたエレキで始めて驚かせますが、ここら辺のソロとアンサンブルの兼ね合いがメンドーサの特徴なのでしょう。男性ヴォイスとバンドハーモニーが積みかさねられて、気がつけばヴィクター・ベイリーが元気よいベースラインを作っていくのです。
3曲目のアレンジ忠実にWRの形をオーケストラで出しているのを感じます。管楽器フルートとかが旨くザヴィヌルのハーモニーを再現します。
4曲目は迫力あるリズムがベースになって、(ピーター・アースキンが叩いていることが嬉しい、)キーボードもザヴィヌルらしく、そこにオケがからんで、サウンドとし贅沢な広がり、ベイリーのとても短いけれどそれらしいフレーズが入ります。
5曲目、アレンジはオケが持っている楽器全部を使うような、逆にザヴィヌルがそれほど太いサウンドを持っていたことが解るような、それが一緒くたに聞く側に訪れます。
6曲目、ペットのソロはjazzyなフレーズ、WRと新しい部分が交互にでて、ベアードのエレピもこれは新鮮、曲がうねりだすのは、ただザヴィヌルを模倣しているだけでない、ここがこのバンドの凄さ、もしくはメンデューサの卓越した部分です。
7曲目、ヴァイオリンでフレーズを弾くと、なんだかザヴィヌル叙事詩を見ているような気になります。ザヴィヌルにはこんな面がありました、その面をしっかりと表現しています。
8曲目は晩年のザヴィヌル・サウンドに一番近い感じで、オリエンタルなメロディとヴォイス、ビック・バンドとは思えないコンパクトな表現が重なっていくのも、アレンジすごいのでしょうね。
これライブ音源で、こんなコンサートが存在するのもちょっと驚きです。
最後は“In A Silent Way”で、これはザヴィヌルの最初のイン・ア・サイレントの雰囲気に近い、私もこの曲からザヴィヌルとお付き合いを始めたのだと、思い出したのです。
ゆったり聴くと、ビック・バンドのための演奏でしょうが、ザヴィヌル・ファンにとって、とても旨くザヴィヌル・サウンドを表現していて、辺に誇張せず、広がり、尚且つ個性的な部分がプレーヤーにみえて、いろいろ考えながら聴く(ただ聴くのでなくて)と面白いアルバムだと思います。

FAST CITY / METROPOLE ORKEST VINCE MENDOZA

Jim Beard(Key)
Victor Bailey(B)
Peter Erskine(Ds)
Amit Chatterjee(G, Voice)
Alex Acuna(Per)1, 4, 5, 7, 8, 9
Efrain Toro(Per)2, 3, 6
Vince Mendoza(Arranged, Conducted)
The Metropole Orkest (Concergebouw, Amsterdam)
Arlia de Ruiter, Vara Laporeva, Sarah Koch, Denis Koenders, Linda Dumessie, Erica Korthals Altes, David Peijnenbough, Pauline Terlouw(1st Violin)
Herman van Haaren, Wim Kok, Elizabeth Liefkes-Cats, Vara van der Bie, Polina Cekov, Erik Kromhout, Seija Teeuwen(2nd Violin)
Mieke Honingh, Norman Jansen, Julia Jowett, Iris Schut, Alex Welch(Viola)
Bastiaan van Werf, Emile Visser, Wim Grin, Winnyfred Beldman(Cello)
Erik Winkelmann, Arend Liefkes, Maaike Wierda(Contrabass)
Janine Abbas, Mariel van den Bos(Fl)
Marc Scholten, Paul van der Feen, Leo Janssen, Jos Beeren, Max Boeree(Sax, Cl)
Willem Luijt(Oboe), Wouter Brouwer(French Horn)
Derek Watkins, Henk Heijink, Jan Hollander, Ruud Breuls(Tp)
Bart van Lier, Jan Oosting, Jan Bestiani, Martin van den Berg(Tb)
Eddy Koopman, Frank Wardenier(Per)
Joke Sehonewille(Harp), Peter Tiehuis(G)

1 Jungle Book
2 Orient Express
3 The Juggler
4 Nubian Sundance
5 Dream Clock
6 Fast City
7 Peace
8 Tower Of Silence
9 In A Silent Way
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JAZZじゃない一枚から TANGO / Lalo Schifrin

2011-01-15 18:33:57 | 聞いてますCDいいと思う



今日は少し時間があって、今年初めてのショップ2軒にでかけました。
一軒目は特に期待もない中古屋さんで、案の定、何にも見つかりません。でも何か欲しい、前から拾おうかと思っていたアルバムを1枚買い、そのあと御茶ノ水のDU東京でここでは新譜がほしかったのに、ひらめくものがなし、結局中古を3枚買って今年4枚からスタートです。

その今年最初に買った一枚がこれで、JAZZでありません。
ところがJAZZにとても親しい人、ラロ・シフリンの作曲、プロデュースのアルバムです。
ラロ・シフリンはアレンジャーとして一声を風靡していたのですが、一般にはTV音楽、「ナポレオン・ソロ」や「スパイ大作戦」が有名ですし、「ブリット」や「燃えよドラゴン」の映画音楽家として有名、でも基本はJAZZの人とおもっています。

そのラロ・シフリンはアルゼンチン、ブエノス・アイレス生まれで父親はバイオリニスト、TANGOが基礎にしみこんでいるのです。
スペインの映画監督カルロス・サラウが「TANGO」という映画の音楽を作るには、まさに適任だったと思います。
22曲中7曲がシフリンのオリジナル、それ以外はTANGOの名曲で、これTANGOを趣味として聴いている身には、とてもうれしい、シフリンの曲を楽しみながらが、エル・チョクロやラ・クンパルシータが楽しめるのです。

1曲目はシフリンの“夕暮れのタンゴ”という曲で、最後もこの曲なので映画のメイン・テーマなのかもしれません。
低いごついピアノのリズムにバンドネオンのライン、次がビオラでしょかやわらかいメロディ、そこに高いヴァイオリン、まさにTANGOの雰囲気、どうしてこれを聴くと遠くを眺めるように目がを細めてしまうのでしょうか。
2曲目はピアソラの“カランブレ”バンドネオンとヴァイオリンがとても素敵ですし3曲目はあまりに有名な“エル・チョクロ”奏者がはっきりしませんが、ブエノスアイレスのオーケストラが録音しているのでしょう。
落ち着いた技量でいかにも自分の音楽を演じているという自信が伝わってきます。
4曲目は“Tango Babaro”というシフリンの曲ですが、JAZZとはまるで違う、これシフリンが自分の生まれ故郷を深く思っているようで、ピアソラの曲に近いように感じるのです。
5曲目、今度はピアノソロで4曲目と組にしたい、哀愁ある曲。
6曲目はアルト・サックスがメロディーをとるシフリンの“月のタンゴ”という曲ですが、シフリン、サックスの使い方はちゃんとjazzしています。
そして7曲目は名曲“ラ・クンパルシータ”思い出してみれば、この曲ブラバンで学生のころ演奏したことありますが、演奏していても楽しい曲でした。カーテンの開く前のあの昂揚感を一瞬思い出しました。
その後12曲目でシフリンの曲のあと、TANGOの有名曲がつづきますがサントラの良さ、ほど良い長さで楽しめます。
15曲目がシフリンの曲“制圧”でブエノス・アイレスフィルハーモニーと女性合唱団を使ったこれは逆に映画ならではの曲、制圧の過去があることをミュージシャンとしてしっかり表現したのでしょうか。
16曲目は男女のコーラス、で曲名が“心の花”TANGOの日本題って結構すごく直線的だと思います。
18曲目はシフリンの短い打楽器だけの曲で、TANGOのリズムというよりか、それ以前の原始的なリズムがダンスの始まりだということでしょうか。
20曲目はチューバがリズムをとって、ちょっとリベレーション・オーケストラを思わせる、どちらにしてもラテンの民族の嘆きみたいなものが表現された演奏です。
最後はシフリンの最初の曲の別バージョン、このアルバムもちろんたくさんの映画音を手がけたラロ・シフリンの一枚ですが、その中でも意味合いがまるで違う、生まれた場所への血の騒ぎと、それの制御みたいなものが、映画音楽のスコアーの中に見事に凝縮されている用に思います。

新しいアルバムを手に入れることはできない日でしたが、気になるアルバムは寒い日に遠くへ心を揺らめかさてくれるアルバムでありました。

TANGO / Lalo Schifrin

1. Tango Del Atardecer
2. Calambre
3. El Choclo
4. Tango Barbaro
5. Caminito
6. Tango Lunaire
7. La Cumparsita
8. Recuerdo
9. Los Inmigrantes
10. A Fuego Lento
11. Quejas De Bandoneon
12. A Juan Carlos Copes
13. Nostalgias
14. A Don Augustin Bardi
15. La Represion
16. Flores Del Alma
17. Picante
18. Tango Para Percusion
19. Corazon De Oro
20. Zorro Gris






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ちょっと惜しいじゃん zigurat / abe rabade

2011-01-13 22:41:04 | 聞いてますCDいいと思う


去年の年末にショップに行っていくつかのアルバムを仕入れました。
それ以来ショップにいけていませんから、記事にしていないアルバムも少なくなりました。

1曲目、クラシカルで、メロディの流れもきれいな良いピアノ・トリオ、タッチもきっとクラシックしていただろうと思う、欧州のピアニストです。
テーマを段々と重ねていってソロに入るところなど旨い、その後のメロディも流れるようでこれは良いと思います。ドラムス、ベースとのバランスも良いし、途中のベース・ソロ、ピッキングの重さも効いて、ベース好きも納得できる流れです。
2曲目もセンシティブな流れで、再びベース・ソロとピアノが良いインプロをしていると思います。ここまで聴いていてとても良いのでないでしょうか。ここまでの落ち着いていながらしっかりとしたフェーズで流れてくるアルバム、珍しいと思います。
3曲目になるとこれが一転、マッコイ・タイナーの「リアル・マッコイ」風のモーダル・ピアノ、これはこれで弾ききりますので、結構すごいと思います。
4曲目が、そのモーダルな3曲目に2曲目を合わせたような曲で、そっちもこちもで表現すした、ちょっといいたいことが多い演奏になります。
5曲目、重たいハーモニーの連続から始まる、これもモーダルな曲、このピアニストよく音を鳴らす人、ひとつひとつのフレーズは結構良い、でもずっと続けていると、どこが良いのか解らなくなってしまいます。
6曲目も同じ曲調で、とても音がよくなります。フレーズは悪くないのに、こちらの頭がついていっていません、捕らえどころが散漫に成ってしまいました。
7曲目はとてもナイーブな曲、私的にはこのような、内省的なフレーズとタッチがこのピアニストに合っていると思います。

お正月の三が日も結構忙しかったので、どろどろ二日酔い状態にはならずに仕事に突入、そんな中では、気持ちを引き締めるには、これぐらいのしっかりと主張するのは、良いアルバムです。

JAZZ批評で超入門JAZZ何だかの特集をしているみたいですが(いまさら私はいりませんが。)、このアルバムを最初に聞かないほうが良いと思います。
しかし多くを聴くうちに、このようなアルバムを楽しめる方になっていただきたい。
ここには演奏者の気持ちが十分現れていて、それがアルバムの均衡として、良いか悪いかは別ににしても、こちらに伝わるのです。

JAZZの聴き方で、くつかの楽しみ方を手元に持っています。
心にしみるとか、乗るとか、すごいテクとか、いい音とか、フレーズとか、そしてこの一枚も楽しい一枚になるのです。
とてもいいのにちょっと惜しいじゃない、そんな外を考えているのも、JAZZを聴いている楽しみです。

zigurat / abe rabade

Abe Rabade(p)
Pablo Martin Caminero(b)
Bruno Pedroso(ds)

1. Zigurat
2. Sinestesia
3. Xiket
4. Prana
5. 7 Contra 5
6. Transito Number2(Deep Cylcle)
7. Chanson Number 6



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