akikoの「活動」徒然記

活動弁士佐々木亜希子の身の周りの出来事やふと感じたこと

消え行く蝉の声と秋の気配

2006-08-28 | Weblog
夏の間、私は毎日「蝉の鳴き声」で目を覚ましました。

春から初夏にかけては鳥の声でした。

今朝は鈴虫(たぶん)の声で5時半に起こされました。

ほんの少し、窓を開け、網戸から空気が入るようにして寝るので、夜も、四季折々虫や蛙の声とともに眠りに着く事ができます。
目を閉じて生き物たちの声を聴いていると、田舎の実家の蒲団で眠っているような気さえします。
匂いがもっと濃いと嬉しいのですが、そればかりは仕方がありません。

朝4時すぎ、動物たちは、植物が目覚めて息を始めると、その成分で目を覚まし活動を始めるのだそうですが
ここのところ、季節のうつろいとともに蝉たちの生命力は衰え、固体数はめっきり減り、鳴くのも遅くなってきました。


この夏、一番蝉の声が強烈だったのは、母方の祖父の墓参りに行った15日の鶴岡のお寺。
雲一つなく真っ青な空に、じりじりと照りつける太陽。その暑さにもかかわらず
鶴岡市中心部のそのお寺は、鬱蒼と繁る木と落ち葉や小枝や虫の死骸で土がじとっとしていて
その中を歩く私と母、たった二人の来訪者を
頭上から足元から、四方八方から何万という蝉の声が狂ったように襲い掛かって来てー。
脳髄に反響するような蝉の声は「狂気」と「静寂」両方を感じさせます
61年前、戦争が終わった日。
その朝は靖国に首相が参拝し、ちょうど墓参りしていた時間に、同じ市内では加藤紘一の実家に火がつけられました。母たちにとっては学校の通学路でした。

それから
東京に戻り、蝉の声に目を覚ました朝。至近距離で鳴く蝉のあまりのけたたましさに、まだ眠い目をもう一度閉じながら「あとわずかだな…」
苦しい蝉の声を目を閉じて聞くことしばし。
彼は、最後の力を振り絞るように羽をばたつかせ、隣の家の壁にゴン!とぶつかると
墜落して二度と鳴きませんでした。



コメント (4)
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