小学校にあがる頃、絵本を読むことはあったが、漫画も絵本も
男子は侍で、女子はお姫様、とほぼ決まっていた。
それで「中将姫」を知ることはなかった。
中将姫の存在を知ったのは、二十代も後半の頃。
講談社が戦前の絵本の復刻版が発売し宣伝し、その新聞広告で知った。
大人になって児童の絵本を見ると、
子どもの時とは違って、物語の解釈や絵のすばらしさに気づくことがあった。
今でも図書館で絵本をめくることがある。
・・・
旅の場所・奈良県葛城市當麻・當麻寺(たいまでら)
旅の日・2012年10月30日
書名・ちゅうじょうひめ
原作者・不明
現代訳・小学館の絵本 昭和40年発行
・・・
ちゅうじょうひめは、
「こう して しあわせになれたのも、やさしい ほとけさまのおかげ ですもの。
わたしは、ほとけさまが よろこんでくださるような りっぱなにんげんになりましょう。」
と、いつも おもいました。
そして、いちどでもいいから、
ほとけさまのおかおを みることができたら、 どんなにうれしいでしょうとかんがえて、
「ほとけさまに あわせてください まし。」
と おいのりしました。
あるひ、ちゅうじょうひめは、にわのはすいけの まわりをあるいて いました。
いけには、きれいにはながさいて います。
あおい はに、しんじゅ のような つゆがひかって います。
ひめが はすをみていると、 「はすの くきを おって、いとを ひきだして ごらん。」
と、いうこえがきこえました。
・・・
ひめが、ごしきのいろにそまった いとをはずしていると、また、
こんな こえがきこえました。
ごしきの いとを、たていととよこいとにして おってごらんなさい。
ひめは、ごしきの いとを はたおりだいのまえにもって ました。
そして、 あかやあおや、くろ、しろ、きいろの はすの いとを、 はたおりだいの
たていとよこいとに、 くみあわせました。
とんから、
とんから。
ひめは、はたをおりはじめました。
かるいおととっしょに、ごしきのきの いとでおった きれが、すこしずつ、でき あがって いきましす。
きれには、ふしぎなもようがあらわれました。
・・・
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます