しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

なすび

2024年03月19日 | (冷蔵庫が家になかった時の)食べ物

夏休み時期を代表する野菜だった。

夏休みの朝は、
両親は果物の収穫で畑に行って留守だった。
たいてい冷えた味噌汁をご飯にかけた「汁かけ」を毎朝食べていた。
汁かけで足らない時は、さえんからナスビを取ってきて、塩もみににしておかずにしていた。
ナスビの塩もみは、子どもでも簡単にでき、出来あがるまで1分。
便利な野菜だった。

 

(父の話)

なすび

たいがい自家用としてつくりょうた。
だいしょう早く出せば金になりょうた。温室で早ぅ出して売ったこともある。じゃけどあれも肥をぼっこうせんとええのができんのじゃ。
朝、農協へもっていくにも手間がかかるし、重たぁばぁ。えっと銭にもららなんだ、それで止めた。

2002.8.5

父がナスビを商品として温室栽培をしていたのは、たぶん昭和50年頃と思われる。
稲作を止め、田んぼはトウガキ畑やイチゴ畑に変わっていった。その当時と思える。

 

「日本の伝統野菜」宮崎書店 板木弘明 2015年発行


なす

いろいろな形のなすが全国にあります
8世紀に日本に やってきました。
江戸時代にはすでに多くの品種があったようです。
漬けもの、煮もの、 焼きなすなどで食べるほか、
お盆の時期にはなすで作った馬を使い、霊の迎え送りをする風習も残っており、
いろいろな行事にも利用されてきた重要な野菜です。
さいばい
古くから栽培されているため、長卵形なす、長なす、大長なす、ボールのような丸なすなど、
いろいろな形のなすがあります。


「日本の風土食探訪  市川健夫  白水社  2003年発行

味が濃い丸茄子
丸茄子はかつて全国的に栽培されていた。
東京都下でも大正初期までつくられていた。
しかし丸茄子は晩成種で収穫期が短く生産量が少ないため、大量生産が不可欠な現代社会では敬遠されて、秋田・山形・福島・新潟・長野・京都などの府県に限られている。

 


「野菜まるごと辞典」 成美堂出版 2012年発行

ナス(茄子)
江戸時代の『農業全書』に「紫・白・青の三色あり、また長きあり丸きあり」と記述されているように、日本でも昔から多くの品種が栽培されていたようです。
漬物、蒸しもの、煮物、炒め物と幅広く使える野菜。
油との相性がよい。


「岡山の食風俗」 鶴藤鹿忠 岡山文庫   昭和52年発行
茄子
ナスともいうが、ナスビと呼ぶことが多い。
平安時代すでに栽培されていた。

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トコロテンを作る

2024年03月19日 | (冷蔵庫が家になかった時の)食べ物

夏休み、大潮の干潮のとき、
茂平の苫無(とまんし)の磯でテングサを採って遊ぶことがあった。

家に持って帰り釜で焚いた。
海草がドロドロに溶けるまで炊く。
溶けても、さらに炊く。
時は真夏。
汗びっしょり。

しかし、このあとに楽しみが待っている。
アルミの弁当箱に移し注いで、待つこと1時間くらいか?
トコロテンが固まってくる。
これが楽しい!

固まりがおわると、食べる。
トコロテンは温い。
暑い夏に、熱いトコロテンは美味くない。

子供が食べ残したトコロテンは、
夕食(バンメシ)に父や祖父が「うまい、うまい」といって食べる。
夕食の頃には、トコロテンは冷えてはいないが、
時間が経っていて温くはなかった。

子どもにとって、(管理人にとっては)
トコロテンは固まるのが面白い子どもの遊びだった。

 



●ところてん
てんぐさは、夏の暑い日でもよく固まるから、羊かんのように切って井戸水で冷やしておき、ところてん突きで油をかけて食べると、暑さも忘れて元気が出てくるからしを添えたり、炒りごまをふりかけるとい っそう食欲をそそる。
約一〇のてんぐさを水で洗ってしぼり、なべに入れ る。
 一升酢さかずき一杯をなべに入れて火にかけ、煮たってきたら弱火にして、はしで上げてみてどろっとしてくるまで、一五分くらい煮る。
少し目の粗い布袋に入流して固める。


「聞き書 広島の食事」 神田三亀男  農山漁村文化協会 昭和62年発行

 

 

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