お手の物

 密蔵院では珍しく、お葬式が連続である。昨日がお葬式で、今日がお通夜だ。

 集う方々から聞くと、なんでも、今年は特にこの時期、亡くなる方が多いとか・・・夏の猛暑の影響なのかもしれません、と「死」をどうにか納得する理由を探している姿が素朴でいいと思う。

 90歳のおばあちゃんと、84歳のおじいちゃん。それぞれ屋号を背負っている家だが、この二人には、私が密蔵院へきた26年前から随分お世話になった。
 名残りはつきぬが、仏さまの弟子になってもらうために、しっかり拝む。

 遊びに来ている義理の父が、「戒名をつけるの、大変そうだね」と私が4冊の辞書(漢和辞典、仏教語辞典、戒名辞典、国語辞典)と首っ引きで思案している様子を見て言った。

 密蔵院では年に10件程度のお葬式だから、年間10人の方に、今までのしがらみを離れた仏教徒としての新しい名前をおつけしていることになる。

 漢字の素養ということもあるだろうが、昔から、お坊さんに「赤ちゃん」の名前をつけてもうことは珍しくない。そりゃそうである。名前つけはお手の物なのだから。
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