いるべき場所

生まれてこのかた、大晦日から元旦までの年越しを生まれた寺で過ごしてきた。

実家のお寺は、大きなお炊き上げの火が燃え、除夜の鐘をつく。ここ10年ほどは甘酒もふるまって、深夜零時を待って初詣する方々が、約三千人ほどいらっしゃる。兄が護摩を焚き、私はその後ろで般若心経を太鼓つきで1時間ほど唱えて続ける役だった。

一方、密蔵院は、明治以来住職が不在で、25年前に私が入って久しぶりに住職がいるお寺になった。しかし、大晦日、私は実家のお手伝いだから、家内一人で午前二時までお参りになる方々の対応をしてきた。

35歳くらいから、私は「自分の預かっているお寺で、この一大イベントに何もせずに、他のお寺を手伝っているのは、はなはだ変だ」と思っていた。

長男が私の代わりを務められるようになったので、思い切って今年から、私は密蔵院で年を越すことにした。住職が大晦日に本来いるべき場所にいられることになったのだ。長男を含めて子供たち3人は実家のお手伝いで帰りは明朝だ。

夫婦二人で年を越すとは、なんとも二人三脚っぽくていいと思う。

みなさまにとって、前向きに、笑顔で、貫祿のある生き方ができる一年になるように、家内と数人の方々を後ろに、午前零時から護摩を焚くことにした。

ご一同さま、
よい年を迎えられますように。心より念じております。

合掌 密蔵院 芳彦
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日の出を拝む人あれど、

もうすぐ、今年最期の入り日。

今年の初日の出を拝んだ人は、しっかり、31日の夕方(東京は16時ごろかな?)には、一年の感謝を込めて、手を合わせわせましょうぞ。

「日の出を拝む人あれど、入り日を見送る人はない--それが世間の習わしだ」なんてセリフを浪曲の名台詞にしちゃいけませんぜ、方々。

ということで、今日の写真は、カンボジアの湖でのワンショット。
「夕日を食べちゃうの画」。

お寺のほとんどのお正月の飾りもどうにか一夜飾りにならずにすみました。

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ハンカチに載った地蔵

お檀家で刺繍屋さんをしているお宅がある。

ありがたいことに、ハンカチに、私の「言いたい放題地蔵」を刺繍して、持ってきてくださった。

なんとマメなことだろう。こういう気配りというか、サプライズという感覚をしばらく持っていないなぁと思う。

そんで今朝、テレビでフィギャスケート選手権の映像が流れていた。会場にカメラを何台設置してあるのか意識して見たことはないが、もっとも綺麗に見えるようなセッティングがしてあるのだろう。会場で実際に見ていたら、あんな綺麗には見えないだろうと思った。

--で、そこで来年の目標を思いついた。

今までライブで見たことがないものをどれだけ見られるか。
スケート、自動車レース、大相撲、競馬場の馬場などなど。
「来年は、いくつ見られるか挑戦してみっか?」と家内に言った。
「やろう、やろう」との返事だった。

思えば、ハンカチに刺繍された私のお地蔵様と言葉も、今回初めてライブで見たことになる。
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ネコに三種あり?

 鹿骨は今でもお正月のお飾りのメッカ。

 ちょっと特殊なしめ縄などは、わざわざこの地まで買いにいらっしゃるかたが大勢いる。かくいう密蔵院の神棚のしめ縄も「四尺の太(ふと)」なるもの。

 小売りのお飾り屋さんがどんどん辞めてしまうので、江東区の砂町に住む私の高校時代の友人も密蔵院の檀家のところへわざわざ買いにやってくる。ついでだから私も一緒について行って、密蔵院の分をもらってくる。

 その友人が帰りにお茶を飲みながら話してくれたのが、今日のタイトルである。
「猫には、三種類いるんだってよ」
「どんな種類だ?」
「ねこ、とこ、へこの三種類だって言うんだってよ。うちのバアサン(当の本人の母親である)が言ってるから、あんまり当てにはならないけどな」
「でも、ねこ、へこって、何だよ」
「ねこの(ね)は(ねずみ)の(ね)だから、ネズミを捕るネコだ。でもネズミをとらずに鳥ばかり捕ってくるのがいるだろ。それだ(とり)の(と)をつけて、(とこ)だよ。そんで、蛇を捕るのが(へこ)って言うらしい。うちで昔飼っていたのは、トコだったんだ」

「あははは、おもしれぇ。それ、今日のブログで、いただきダ」
---と言う具合である。年末に、愉快な話を聞けて良かったと思う。

--ということで、写真はヘコをアップしたかったのだが、
 写真では何が「ネコ」で、どんなものが「トコ」で、どんな雰囲気をしているのが「ヘコ」だかわからないので、昨日のお約束通り芸大出の彫刻家でもあり、お坊さんでもある小高一民氏に制作してもらった「3Dバンザイ地蔵」です。
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「いらっしゃいませ」

 昨日は住職室の片づけ(うはは、大掃除の前の段階である)をして、夕方から来年二月の結婚披露宴の司会の打ち合わせで上野へ。

 まだカンボジアからの食あたりでお腹の具合は絶不調だが、食欲はあるし、お腹も痛くならないから、老舗のウナギ屋さんと、もう一件、浅草の渋い居酒屋さんへ連れて行っていただきました。「いらっしゃいませ」という言葉がとても下町っぽくて、さらに丁寧で、接客は抜群だった。

 どうして、筑波の人がこんなお店を知っているのだろうと、東京生まれの私は目玉を丸くするばかりの宵でありました。

 さて、日が替わって今日は法事が二件。今年最後のご法事でございました。
 そして、今日の話題………

 私が描くお地蔵さまの一番の問題点は、正面だけしか描けないという点。
 横を向いたり、お辞儀をしたり、バンザイをすると、いったいどういう具合になるのか、とんと3D映像が浮かばないのだから仕方がない。

 そこで、友人で彫刻家の小高一民さん(坊さん名は、大谷宥仁さん)に「座ってお辞儀しているお地蔵さま」と「バンザイしているお地蔵さま」を作ってくれないかと頼んでみたのが一カ月ほど前のこと。

 そして、できたのが、今日の写真である。わはははは。

 俄然イメージが沸いてきた。持つべき者は、友である。
 小高(大谷)さんのホームページをご覧あれ。
 http://www.kodaka16.com/

 こういう芸術家が、アニメのフィギャーみたいな私のお地蔵様も作ってくださるのだ。

 明日は、「バンザイ姿」をアップさせてもらいます。
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眼なんだ

読売文化センター、今年最終回を終えて帰坊(お寺に帰るという業界用語)。

 そこで、人形供養の話になりました。

 ありゃ、なかなか捨てられません。なぜかというと、たぶん眼があるからです。

 その中に何かしらの魂のようなものを感じるからです。

 ゴミとして捨てるには、なんだか申し訳ない---そう思っている方は、近くのお寺に相談の上、処分(お寺では「お疲れさまでした」という思いで拝んだあとに適当に仏の世界に送ってくれます)してもらうといいかもしれません。

 そんなことを聞けるお寺はないという方は、どうぞ密蔵院へお持ちくださるか、お送りください(御布施は、人形にお世話になった思い出分と考えていただければそれで結構です)。


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カンボジアマジックなる言葉。

「和尚、カンボジアマジックって言葉、知ってる?」
「うん、今回わかった。みんながここへ来たいのがよくわかるよ」

私は昭和33年生まれだ。小学生の説きまでは、東京でも畑には「肥溜め」があった。井戸水も飲んだ。

今回、若い仲間が連れて行ってくれた、ベトナム国境に近いプレイクラン村には、肥溜めこそなかったが、電気や水道はない。お米は沢山とれるが、安くしか売れない。
みんなが経済的には貧しい村だ。
しかし、自然豊かな田園だ。
子供たちは、とことん純粋に見えた。
 彼らの目に、「心がとろけそうになる」と表現する若い仲間もいる。

 今回私の心ばかりの基金(皆さんが本を買ってくださったおかげです)を託したのは、カンボジア政府公認の日本のNGOではない。政府の公認を取るには賄賂や、何をやるにもその他の煩雑な手続きが必要で、困った人に直接、今必要なことをできないからだ。

 校長先生の家の二階で、蚊帳(これもひさしぶりだ)で一泊。一階には万が一を考えて、銃を持ったお巡りさんが寝てくれていた。--まだそういうところである。

 日本との時差は二時間。しばらくは、太陽を観ても、月を見上げても「この太陽が、この月が二時間後にあの村の子供たちや田んぼの上にいくのだな」と思うだろう。 



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過信

なーに、たいがいのものを食べたって、へーきだと過信していた。

でも、さすがにカンボジアの村で一泊して朝飲んだ椰子の実ジュースがいけなかったのか、途中、メコン川を渡るフェリー乗り場で食べた茹でた小エビがいけなかったのか--すでに丸二日の食あたり状態。おかげで4キロ痩せての帰国。

それにしてもカンボジアはエネルギーの固まりだ。30年前に行ったインドを思い出した。
同じ地球にああいうところがあるというのは知識として知っていても、実際に体験しないと、やはりわからない。

心が一回り大きくなる、そんなカンボジアの一週間でした。
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そうだ、秩父へ行こう!

 密蔵院プレゼンツの来年の新企画。

『そうだ、和尚と秩父へ行こう』

 3回で秩父34観音を巡礼します。

 第一回4月24日(土曜)。
 第二回5月8日(土曜)
 最終回6月12(土曜)~13日(日曜)一泊二日。

 基本は、密蔵院から早朝バスで出発ですが、西部新宿線秩父で合流もOK。

 詳しい参加費などは近々アップします。

 一連の拙著の中のものの見方を、一緒に楽しく体験しようではあ~りませんか。
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縁日の楽しみ方

今日は21日。真言宗のお寺では「納めのお大師さま」と呼ばれる日。

弘法大師のご命日が3月21日ですので、毎月21日が縁日なんです。ですから1月21日は「初大師」と呼ばれます。

 ちなみに密蔵院のお不動さまの縁日は28日でございます。毎日が何かの仏さまの縁日にあたっています。誰が決めたのかは、ぜんぜんはっきりしません。ぐははは。

 でも、いいの。そういう思いでお参りすれば、それなりの御利益(ごりやく)があるものです。
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