水鏡(みずかがみ)

法事の始まりをつげる鐘の音。

ゴーンと表現とされるが、この音の中には「叩いた瞬間の音」「ゴーンと響く音」「ウォン、ウォンと唸る音」の三つがあります。

私はいつもそのことをお話してから鐘を打ち、法事を始めます。

そうすると、控室で近況報告話に花が咲いていて、波立っていた心がほんお20秒ほどでスーーと静まって、亡き人への思いを、ころの水鏡に映していただきやすくなるからです。

さて、海がうねり一つなく凪いでいる様子を、講談などではこんな言い方をします。
「水面は、青畳を敷いたようなおだやかさ」
うーんなんとも、言い得て妙です。

一日のうちで、ほんの数分、心をそんな状態にするだけで、"自分"が見えてきます。"自分が向うべき方向性"も見えてくるものです。
仏教が「禅定(ぜんじょう)」=心を静かにすること、を大切にするのはその為です。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )