大阪鋼巴球迷的博客(だあばんがんばあちうみいだぼーくぉ)

熱烈なるガンバ大阪サポの筆者が、世界で最も多くサッカーファン人口を持つ中国にガンバの名前を広めんと日中二ヶ国語で発信する

ま、一応中国人記者の言い分も聞いてあげましょう

2008-02-29 07:30:13 | 中国サッカー
中国の「体壇週報」の馬徳興記者が吼えている。何に?日本のメディアの東アジア選手権における「過剰な」報道に対して、祖国のサッカーのプライドを守るべく、自身のブログで敢然と反論を行ったのだ。その勇気には一応敬意を表して彼の言い分にも耳を傾けてみよう。

同記者は、まず日本協会の川淵キャプテンに対し、「川淵さん、あなたの発言は言いすぎじゃないですか」と、そして日本のメディアに対しては、「報道が行き過ぎてしまっていないですか」と疑問を呈した上で、以下の点について指摘している:

1.安田に対してGKが行った行為は中国人記者の間でもよくないという声が上がっているが、日本のメディアは必要以上になじっている

2.それを言うなら、92年のアジアカップで日本のGK(松永のこと)が成耀東の頭を蹴ったり、00年のアジアカップで川口が中国選手と競り合って脳震盪のケガを追わせた時には日本のメディアは自軍の選手を批判しただろうか?それに比べれば安田はその後ケガが大きくなく、韓国との試合にも出場したではないか?

3.北朝鮮との試合で日本の選手がボールを持つたびにブーイングが上がったため、中国との対決において、中国政府と組織委員会は必死でこれを抑え込んだ。こうした努力をなぜ評価してくれないのか?

4.李瑋峰(リ・ウェイフォン)の「のど輪」を批判するが、その前の鈴木啓太の挑発もなぜ日本のメディアは咎めないのだろうか?これは06年のW杯決勝と同様で、頭突きをしたジダンは退場になったが、同時に挑発をしたマテラッツィも世論の批判を受けていた。

5.私は中国人記者として選手たちが行った行為に対して厳粛に批評するが、同時に日本の記者たちの報道も両国関係の改善の為になっていない。

そして同記者は締めくくりに、

「日本の記者たちは口を閉じろ!これ以上中国代表の問題を一方面から糾弾するのは止めて、サッカーに対して集中してくれ!」

と最後っ屁を放ってしめくくっている。

いやはや、スッキリしましたか。言いたいことを言って。ただ、これに対して筆者も以下の点を指摘しておこう:

1.確かに川淵会長の発言はいささか感情的であったとは思うが、彼がこのように不満をぶちまけたのは、ひとえに審判があのようなラフプレーに対して退場処分を科さなかったからではないのか。また、馬記者が「過激」と断じた発言であるが、川淵氏は、あのようなプレーをしているようでは中国は強くはなれない、という一種の「親心」で言っていることで、それが果たして彼のいう「言いすぎ」であると言えるだろうか?もしそう捉えるのであれば、彼は忠告にすら耳を貸さない頑固者と言えるだろうし、中国サッカーは永遠に強くはなれないだろう。

2.確かに過去日本選手の「ラフプレー」というのが存在したかもしれない。しかし、松永はあの直後一発レッドで退場になり、決勝戦は出場停止という形で処分を受けているし、本人はあの後「二度とあんなことはしない」と口にしている。川口の場合は筆者の記憶が定かであるなら、川口のファウルではなかったと思う。まあ、それでもあれがイカンというのであるなら、安田に対してケリを入れた宗自身も反省の言葉を口にしてはいない。

比較できるとすれば、松永と宗のケースであるが、この点については、松永は退場処分を受けて決勝も出られなかったのに対し、宗は警告のみで済んでいる。

また、安田は確かにその後驚異的な回復を見せて、韓国戦にも出場したが、ケガを追った当初は骨折の疑いもあり、一時は病院送りかとも言われたのである。韓国との試合でもチームの人員不足の関係で強行出場しただけに過ぎない。結果的に思ったよりもケガが軽かったからといって、「大したことではない」と言い切れるものではないだろう。それを言うなら松永に蹴られた成にしても怪我がないどころか、成は確信犯的に松永に当たりに言ったんだから、こっちが謝るのはバカバカしいと思うのだが、そう言われたら馬記者はどう考えるのだろうか?

3.のど輪が決まる前に確かに鈴木啓太がつっかかっていったかもしれない。確かにあまり褒められたことではないし、それを擁護するわけではない。しかし、鈴木がなぜあのような行動に出たかというと、それまで中国選手のラフプレーし放題に対して手を焼いていたからではないのか。また、鈴木と李との間で言えば、最初に手を出したのは啓太ではなく李の方である。第一ジダンとマテラッツィについて言えば、あの頭突きの前に様々な伏線があったにしても、最終的に1発レッド+出場停止というFIFAからより重い処分を科せられたのはジダンの方だ。

4.韓国戦を筆者が観戦した時も試合中に不穏な空気はなかった。この点に関してはスタンド四方に警官を配し、ブーイングを行ったら即連行するといった恐怖をちりばめていたのだとは思う。

しかし、それでも試合前の日本国歌演奏のアナウンスがあると、その際強烈なブーイングが聞こえたことは現場にいた人間として言っておこう。実は日本側が問題にしているのは、試合中のブーイングということではなく(それはサッカーの試合の一部だと理解している)、試合前の国歌演奏時にブーイングをする中国人たちの「マナー」なのである。この点に関して日本側も何に対して不満であるかをしっかりと伝えないといけないのであるけども。

また、中国側の対応によって中国戦での日本に対するブーイングを押さえ込んだといっても、日中戦で試合終了後にスタンドで発炎筒が炊かれたということをどう説明するのだろうか?本来厳重な警備がなされていたのではなかったか?実を言うと、今回中国、というか世界中どこの国でもやっている、カバンの中身を空けて調べる厳密な手荷物検査というのが実施されず、空港でやるX線検査程度のもので比較的簡単に通れてしまったのである(実際その程度の検査だったから、韓国の応援団もやすやすとビッグフラッグを持ち込んでいたのである)。

まあ、今回さほど緊張感というのを感じたわけではないので、その点については中国側には個人的に感謝するが、観客を完全に隔離できていないという課題も残ったままであった。また、日本人であるなら別の席でも、日本人席に入場OKということも、よく言えば中国らしい臨機応変さであったが、逆に言えば日本人と中国人とを同じスタンドに居させて問題を起こさせないためであるとも言える。それなら日本人席の上段や左右に緩衝地帯を設けなかった運営方法には問題が残る。

5.確かに日本のメディアはセンセーショナルな切り口で報道し、それが中国からすれば不満であるということは判る。ただ、判るとしても、今回そうした日本側の不満のきっかけを作った一次的な要因は、他ならぬ中国選手のラフプレーとそれに対して寛大な処分しか下せなかった審判にあるからである。そうすると、日本の報道が大げさであった点を差し引いても、そのように仕向けた根本的な原因はどこにあるかという視点が馬記者には欠落しているのではないか?

6.日本の記者はお宅らとは違って「政府の舌」というわけではない。各自が自由に自身の見たまま、感じたままを記事にしている。勿論それが行き過ぎることもあってセンセーショナルな記事になることはあっても、それを黙らせることはできない。むしろ自由な報道の中において初めて互いにその記事の内容について批評や検証というのが可能になるのではないだろうか。