蚊取り線香の香りに酔いしれながらの仕込みである。夏の香りと言えばそうだが、偉いのは害虫駆除も兼ねるという事である。除虫菊という菊から抽出した線香らしいが、あの仏壇とかお墓参りに持たされた菊科の陰気臭い植物が害虫駆除をするとは思いもよらずちょっと菊が好きに為った訳である。マァ、菊と言えば門外不出の皇室の御紋だし、花札でも強い札だし、菊の御節句も有るんだから高貴な草花なんだろうが仏壇・お墓参りに直結していたイメージが陰気な代表格だった。それが、51歳にして蚊取り線香から嵌まりかけている。あの「ぷ～ん」を殺すんですよっ！吸血虫を殺すんですよっ！大したモンである。煙草の煙は世間の害だし、火事の煙は災害だし、お線香はただの香りだが加えて害虫駆除もするという優れモンである。更に、半日も燻し続けて効果も絶大である。偉いっ！
昨晩、来店してくれた一見のご夫婦。趣味の話しになり奥さんがフルートをやられているそうだ。勿論、クラシコ主体だがポピュラーもやるらしい。フルートと言えば、クラシコかボサノバなんだが中々ボサノバの声は出ない。暫し、話を引っ張ると「ウェイブ」という曲をやったそうだ。ウェイブと言えばボサノバの定番中の定番であるが、何やらボサノバにピンッ！と来ていない。おそらく伴奏にボサノバでなく別な8ビートを用いたのかも知れない。で、催促もされずにギターを持ち其のウェイブを弾く。久々の音楽実践趣味人の来店だからオイラもヤル気に為った訳である。質問では、曖昧なボサノバコードに連続シンコペイションをどう載せているのか？だが、ボサノバではラテン音楽の様なストレートなコードに頼らず、ジャズな様な属７コードづくめでもなく、属6属9属11という大変曖昧なコードを用いるのであの独特なハーモニーに為る訳である。親父バンド結成の足掛かりに為れば良いのだが。
色々様々な業界で不景気は判る。特に、外食業界は大変だ。由って、食品業界も大大変だなっ！で、先週から三度、取引を求めて来てくれている牛乳業界の大手メーカーの方がいる。三度目はお土産付である。お付き合い、つまり取引もしないのにお土産を戴くのも失礼だから受け取れないが、以前に取引をしていた業者だ。不景気の大波で以前の取引相手との再取引の要請だなっ！しかし、今現在の取引先との関係をどうするのか？オイラは古いタイプの職人型オーナーシェフだから価格や条件で取引先との信頼関係を取り止めにしたくはないし、新取引先との付き合いで古取引先との仕入れ関係を細めていきたくもない。落ち度が発生したなら別だが、通常の現金代引取引でよい訳である。更に、ご主人同士ならば本当の真実の会話も出来て、細やかだが励まし合い共に生きていける訳である。例えば、創業18年にして食材屋・米屋・肉屋・酒屋はそのまま継続現金代引仕入れで付き合っている。
二種類の編曲を合体させ、移調する組み立てを行うのは初めてでありやはり苦心した。もう、破れかぶれだが曲自体の凄まじさの方が大事なので善しとして叩き台までは出来上がる。で、翌朝テーブルを眺めるとやっとやっつけた片仮名譜面が散らばる。隣には、やはり昨夜に完成した「木枠入空フィルムパトローネ78個総並詰合」も佇む。壁掛け用に金具を付けるが店内は総漆喰仕上げだから留め金の打ちようがない。仕方なく卓上置き型として暫くは展示である。仕込みを始めると「蚊」がぶ～んだ。頭に来たから蚊取り線香を燻す。ちょっといい香りだなっ！好きな香りである。噴霧型の殺虫剤よりもいい香りで、暫し味わう。大体、煙草やお線香等の燻す香りは好きなのでこれからは営業中以外の虫除けに蚊取り線香を焚く事にした。古典的だが、効果も高い。やはりアナログ派なのである。思えば、夜中に台所を寝惚け眼で徘徊、物色している時の廊下から漂う蚊取り線香の香りにうっとりしていた記憶もある。
作戦進行が決定された。例の案件だが、双方を紡いで一つに合体させ乗り切る訳である。マァそうは謂っても今のところ悩んでいる「カリオカ」の編曲の事に過ぎない。Dmの編曲とAm編曲双方どちらか取り捨ては勿体無いから1コーラス目と2コーラス目とを移調しながら大曲にするか、いっそのこと劇的に潔く変調させて大テクニックで聴かせるか？の程度の事である。閃いたのは、或る元音楽教師の方と立ち話をして切っ掛けを得たンだなっ！発想と閃きの変換である。勿体無い、というセコい性格も双方どちらかを捨て切れずに活かそう、お役に立てよう、という尊い志に仕立てた訳である。捨て切れないセコい性格がインテリアを産み、楽曲を産み、オブジェを産み、道具を産み、発想を産み何とか活かそうと役立てられる精神も産む訳である。よく、テレビで取り上げ問題視されご近所迷惑を産む「ゴミ屋敷」のご主人なんかもそういう性格の持ち主だろうが、活かそうとかお役に立てようと行動しないだけである。その一片を理解出来た感じもする。
閉店後に、気持ちも収まらないので「カリオカ」の編曲比べである。調の異なる二枚の片仮名譜面を並べてどちらがダイナミックで音楽的で攻撃的で圧倒的かを弾き込んで判断し、採用～譜面起こしにしたい訳である。ギターでの調つまりコードは沢山在るが、其の曲に相応しいコードというのが二三有り、其の中から指の運びがスムーズで観る側からも弾き様の見事なコードを選んで編曲するのがオイラ流。困難だとか面倒くさいは、稽古次第で何とか為る。その他に、手にした楽器の特性や響きや音の立ち上がり等を考慮して編曲するのだが今現在使用している古楽器は響き重視の楽器だから本来は早弾き向きではないし、響きも重なるから音はシンプルで少ない方が適しているのである。しかし、間も無く来月には楽器の交換も控えていて其の楽器に合う編曲かどうか？は計れない訳である。大体、3ヶ月毎に手持ちの何台かを交替させながら稽古しているので楽器が替わった時点で腑に落ちない編曲も多々ある訳である。
昨夜はちょっとヒヤヒヤした。県議会の先生と市議会の先生とが出会したのだが、双方共に党が異なる。それはそれで、オイラとしては双方共に常客だから好意にさせて戴いているのだが何か「八方美人」的に思われるのが困るし、挨拶がてら双方共の議会活動なんかも聞いちゃったりしてオベッか使ったりして「漏らしている」と思われるのも困る訳である。その他、地域の県議会の先生や市議会の先生なんかもしばしば来店してくれるから議会の休会の期間はびくびくである。と言いながら他の常連も来店してくれて、そちらに話を振りまぎらわせた次第である。実は、双方共に仲良く店内議会論議は起きないのだがお互い「どうっ？」なんて挨拶するからヒヤリである。オイラは、もうトボケテ一般常連と馬鹿っ話をして誤魔化す訳である。
「カリオカ」だが、最近編曲した調Dmではちょっと忙しくて困難なので急遽Amに編曲し直す。こんな場合は多々有るのだが、休憩時間の昼寝の際に導かれた。要するに、寝ながら編曲していた訳である。で、休憩から店へ戻りAmで弾いてみると「なぁんだ簡単じゃんっ！」という事態に為り急いで編曲し直した次第である。此の場合、指の動きがスムーズな分、困難そうな演奏には見えないが弾き安いという事は音もリズムも外さないで済むから演奏に澱みは無くなる訳である。元来が休み処の無い早弾きの忙しい曲だから無理して編曲すると音は濁り、リズムは澱む。曲に為らないよりはマシである。マァ、それでも一度嫁さんには聴いて貰いどちらが良いか？判断を仰ぐ訳である。しかし思うのは、寝ながらも編曲している自分に感心した。
とどのつまり昨日の休日は、だらしのない怠惰でお粗末な体休めに徹したが、訳も有る。四五日前だろうか、店の手前で救急車が停まり誰かが担ぎ込まれた。噂では、熱中症らしい。怖いなっー！と思いながら二三日を過ごし店の隣の隣のの初老の奥さんと立ち話。「あれっ！」と頭を視れば大きな絆創膏が貼ってある。熱中症で突然に失神し頭を打ち六針縫ったとの事。帰宅を目の前にしてたどり着けず家の前で失神し救急車だったそうだ。怖いなっー！で、昨日の休日は炎天下徘徊叙情的古典派印画機械持込散歩術を中止した訳である。これで、三週連続閉じ籠り怠惰休日を過ごしたのである。それでも晩には、借りている映画「パガニーニ」を観る。あの作曲家でバイオリンの名手だったパガニーニの映画だ。今までにも、色々様々な芸術家を題材とする映画を観てきたが、やはり芸術家は独創的な生活ですなっ！おおよそ、エロ親父だったり自殺したり奔放な生活だったりして作品の芸術性からは想像に困難である。オイラが、芸術性に富めないのはモラルや禁欲に鍵が架かっているからだ
が一般下じもとして標準な訳である。
が一般下じもとして標準な訳である。
朝、店に来れば先ず目に付いたのが「カリオカ」の叩き台片仮名譜面である。其の隣には、やはり週末火曜日の晩にあれこれ入れ替えて箱詰めしたフィルムパトローネの整然としたオブジェだ。さてさて、此のオブジェも今晩辺りには両面テープにて箱の中に貼り付け「どうだっ！」にしたいモンである。縦6列、横13列の約80の空フィルムパトローネの詰め合わせオブジェである。並べて貼り付ければ完成だが、其の過程を拝観者は知らない。つまり此の箱詰めオブジェだけで80個のフィルムを消費して集め、尚且つ整然とした数合わせを考えての消費をしてプリント屋に取り置いて貰い、譲り受ける訳である。収集期間だけでも五ヶ月を要する大作だなっ！オマケに、ピタリと詰め合わせられる木箱の調達にも関わる。最終的には箱作も仕方がないが、今のところは中元のソーメンの木箱や最中の木箱、お祝い返しの木箱を巧みに利用して詰め合わせている。