へんな洋食屋カフェ

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急にエアコン一台が機嫌を害して「要点検」のサインが点滅。外の気温33℃である。ヤバいっ！それでも店内には二台の三馬力のエアコンが在って一台が頑張ってガンガン冷やしてくれる。更に、自宅ガレージに使わない扇風機が余っているので急遽持ち込み不都合の方のエアコン側に送風してなんとか間に合わせて電気屋に連絡する。電気屋だってこの時期はエアコンや冷蔵庫などの冷却関係の工事が立て続いて修理は何時に為るやらと心配していたが、手配が進み当日には調査に来てくれるの事で有難い。役に立った扇風機にはマジックインキでなにやら書いてあるのだが公共施設の名前がだ。思えば、去年の暮れに近くの地区センターで払い下げ品が数多く出て我町内で使えるからと掃除機械一式、扇風機何台か、トースターとか、大きなぬいぐるみとかそりゃ沢山を貰い受けガレージに放り投げてあった。親父はナンでもカンでもを取り敢えず貰ってくるタイプだから普通の家庭には全く必要のない業務用床洗い機とか溶接機とか業務用コピー機等が乱雑しリサイクルショップの如く
である。しかしながら、その中からオイラは活用の切り札を選びセコく持ち出して使っているンだな。

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末っ子は中学二年生だ。８月27日から学校は再開され意気なり弁当持ちである。へんな洋食屋では仕込み済みの売れ残りを閉店間際にフライなんかにして家へ持ち帰り家計を助けているんだなっ！言って置くがこれは業務上横領ではないかんね。仕込み前の素材を持ち帰りするとこれは横領だ。仕込んでしまったサラダとかメンチカツなんかは翌日のお客さんには使えないから廃棄するか、持ち帰りだ。勿論、勿体無いから持ち帰りする訳だが、其の際には呪文というか、一言祝詞というかを唱えないといけない。これは会計士から教わった文言だが「棄てた」と言ってからパックに入れるのである。棄てたモンだから誰がどうしようが構わない。しかしながら、仕込み前のレタス丸々とか馬鈴薯まるごととかパン粉着け前ののハンバーグとかは持ち帰ると業務上横領だ。お米も駄目だが、炊いたご飯は横領ではない。開けたジュース類は駄目だが、開けたコーラは善し。理屈は、一度開けたコーラを明日飲んでみれば炭酸は抜けてお客さんには出せない訳である。実は、食べ物屋が暇でも食
っていけるという秘密の一つでもある。家計の食費をこうして浮かして生活しているひもじく細やかな日常なのである。

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二三日前から気には為っていたのだが、定期的に1日数回一回が一時間程度の調査というか、見張るというか、張り込みを行っているんだなっ！警察である。へんな洋食屋カフェの目の前の鎌倉街道を渡った丁度正面から此方を見張っている。制服のお巡りさんが白カブに跨がりエンジンもライトも点けっぱなしで真っ直ぐ此方を向いている。私服でないから事件という訳ではないだろうが、とにもかくにもへんな洋食屋カフェを真っ正面からバイクのヘッドライトで照らして張り込んでいる。エンジンが点けっぱなしという事は、何かしら動きが有れば直ぐにでも追いかけるし、飛び掛かるし準備体制万端と見極めた。へんな洋食屋カフェへの来客に怪しい陰でも有るのか？オイラ自身がお縄に掛かる謂れも理由も全く無い。天地天命に誓ってやましい事は無い。清廉潔白、品行方正、一日一膳、家内安全、金は無し、身長低い、足も短い、入れ歯有、持病有程度の平凡な人生である。しかしながら、気には為っている。今日で四日間である。思い切って聞き込みをしたいなっー！「どうし
たの？オイラ関係に探りはなんなのか？参考人ではないよね？チクリですか？」なぁんて聞きたい。お巡りさんはバイクに跨がり鎌倉街道際に一人、50m奥の裏通りにもう一台跨がりお巡りさんが待機していてその通路は蟻一匹足りとも抜けられない磐石の包囲であるが、何故か常に此方を観ているンだな。

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一応、ラ・クンパルシータの伴奏譜面も興してみる。何年か前には娘のマンドリンの伴奏用にたくさんの伴奏譜面を興したが、マンドリンは一つの調で興せば済むが、ハモニカは吹く曲によってはハモニカ自体の調が異なるのでやはり一々変調しての譜面興しとなる。ラ・クンパルシータは世界中で一秒足りとも途切れず何処かしらで必ず聴かれている曲の一つだ(実は二曲ある)。数限りなくの編曲が為され、おびただしい数の演奏家が演奏していてオイラは104バージョンのラ・クンパルシータを録音保存している。ギターソロでは十八番の一曲だが伴奏は初めてである。五つのステージからなる大曲だが、誰もが知る曲だ。やはり世紀の大初演と為る訳だから完全を要したい。あの劇的な名曲を名手が劇的に吹き散らし達人が劇的にリズムを刻んで魔の刻を造りたい訳である。そんなこんなでハモニカデュオ用に伴奏譜面もどんどん残す事でオイラにも音楽的新境地が拓かれるかなっー！なぁんて皮算用もしているンだな。

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昨日、ハモニカの伴奏用に書いた譜面を試したく考えていたがハモニカの達人が来店してくれ歌合わせをやって貰う。其の際には司会を買って出てくれたご婦人も来店していて試聴もお願いする。一発勝負の即興演奏である。緊張が走る。其の訳は、ご婦人の息子も共に来ていて其の息子さんはプロのロックミュージシャンである。ヤバいっ！ミスれないぞ。ハモニカの達人、本気モードに入魂。オイラも引き付けられて本気モードに入る。作りたての譜面に初演奏だ。つまり初演という事に為る。通常ならば然るべき劇場で学会・音大の先生方にも審査の程をお願いするところだがマッ今日のとこは試作初演だから当ホール所謂へんな洋食屋カフェ店内での演奏と相成る。聴衆数多数の3人、初演にしては寂しいがマァ世界発信の一歩は小さいモンである。カーネギーホールへの一歩も最初はへんな洋食屋カフェ店内ホールからである。もう一曲仕込む曲「ラ・クンパルシータ」は本番当日までひた隠し10月21日の初演に披露するつもりである。

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暇潰しにハモニカとのデュオでおそらく吹くであろう、多分吹くであろう、きっと吹くであろう、必ずや吹くであろう、いや吹かせる名曲「枯葉」のハモニカの伴奏用に仕込む。通常ならばEmの曲なのだが達人は何の都合かAmで吹くんだなっ！ギターの場合、咄嗟の対応に「カポダスト」という器具で音程を上げて合わせる事が可能だが4度の高さを上げてカポダストを用いるとギターな音色は詰まりお琴の如し音色に為っちゃう。こりゃマズイとコード進行を組み換えて達人に合わせる訳である。何しろ伴奏者はツラい。主役の引き立てをする訳だから事前に仕込んでおく事が重要である。これから組んでゆくに当たって達人のレパートリーに対して先ずはコード進行を探して合わせる訳である。しかしながら、こんな作業が意外に自分の役にも立つし腕も上がるのである。今を去ること25年前にフラメンコを始めた際にはカンテ「歌」とバイレ「踊り」の伴奏ばかりで怒られながら伴奏を努めたモンである。それが徐々にソロに発展して今では作曲したり即興演奏をし
たり出来る様に為ったンだな。再び、伴奏を行う事で53歳の新たな境地や行く先が発見出来るかも知れないから進んで引き受けた次第である。

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帰宅途中に住まいの近くのダイソーに立ち寄る。立ち寄るとは言うものの、バイクで走り寄る。夜、七時半だから仕事帰りのサラリーマンなんかも買い物カゴをブラ提げて105円の品々を見繕っている。オイラはメモ書きして衝動買い無き様に計画立てての買い物である。推定55歳のサラリーマン中間管理職風が下着コーナーでパンツ赤・グレー・水色を各二枚づつカゴに投入、続いてアンダーシャツ白六枚投入、続いて五本指靴下六足投入、占めて1890円相当の大買い物である。今日は、24日の金曜日だから給与支給日だな。ハハァンつまり待ちに待った下着大人買いであるなっ！推定55歳の中間管理職がしかしダイソーで下着を買い揃えた訳である。だが、この中間管理職、ただ者ではない。それぞれを6セット購入したという事は日曜日を除く１週間分の下着セットを買い揃えた訳だ。計画性が人物と拝見した。土曜日は中間管理職だから出社なんだなっ！つまり仕事用の下着は仕事着として百均で割り切っていると推測が可能に為った。おそらく、日曜
日の休日は高島屋の高級下着を着て寛いでいるに違いない。その後再びレジ側の食品売り場で発見再会すると中国産むき甘栗を6袋掴んだ。という事は、日曜日以外の仕事帰りの一杯のお供用に違いないっ！無駄無く計画立てての買い物に敬服すらおぼえたオイラはレジ側のミニ観葉植物パキラを一鉢掴んだ。

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お客さんの絶大なる、重ね々のご要望に因り音楽会を開催する事次第に為った。暫定的だが、日取りは10月は21日か22日の午後３時のティータイムである。演者はご要望でハモニカの名手だ。伴奏者は僭越だが不肖このオイラが承る次第と相成る。司会は、開催を熱望してくれた大常連の方が行いプロデュース諸々も引き受けて戴いた。料理は、無料っ！だが、ティータイムという事で食事は無理だがデザートセット600円でお願いしたい訳である。ギャラ無しっ！プロデューサー料無しっ！会場費無しっ！デザートセットの600円のみである。取り敢えず手始めにへんな洋食屋でのライブを行い、来年は県民ホール、再来年は芸術劇場、其の次にはNHKホール、ついでに武道館、東京ドーム、ゆくゆくカーネギーホールである。その間にはトニー賞もオスカーも頂戴し園遊会にも呼ばれたいが如何なモノか？手持ちの楽器でここまで出来るかっ！の元年である。タキシードも新調する必要があるなっ！移動はグリーン車若しくはファーストクラスだな。毎晩、
晩餐会にも招待されていー物というか、高いモンばかりご馳走になりハムカツなんか懐かしくなったりして、たまには魚肉ソーセージも食べたく為ったりして。先程の苦悩話とは月とスッポンの雲泥の差と為る自分の変わり様はなんなんだっ！

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NHKの「100分で名著」という番組でフランクルを取り上げ東大の教授が解説していたが、苦悩こそが人間の在るべき人生と論じていた。元々40代からオイラは心の悩みは人の常とは感じていたがあまりにも長く次から継ぎへと苦悩が出てくる生き様にこんなモンかっ！なぁんて疑問も有った。しかし、あの東大の教授の解説でだいぶ楽に為った訳である。苦悩の前には夢や欲が有って思うように行かないから苦悩が始まる。其の夢や欲が次から継ぎへと生じるから苦悩も次から継ぎへと生まれる訳である。では、解脱したら苦悩は無くなるのかっ！苦しい修行を積んだ高僧には苦悩は無いんだなっ！アレが食べたいとかこれが欲しいとか嫁さん持ちたいとか無い訳だ。オイラなんかの凡人が苦悩に対処するにはどうしたら良い訳だ。今に満足し、今に感謝をして、足るを知れば良い訳である。そうは言ってもねっー！が先行するが我慢という一文字で片付けられる場合が多いンだな。苦悩・我慢・忍耐と字面も困難を極めた字姿である。書くにも面倒な字面ですなっ！しかしながら、周
囲の方々その他諸々の方々も苦悩が有るのだろうか？普段なら一更にそういう気配は無いな。苦悩の気配を消して生活して「あたしはなぁんの悩みも無いのよ」とか言っちゃっているが、断じてそんな筈はない。何しろ心の悩みは人の常なのである。人間たる証が苦悩な訳である。つまり世の中の皆さん仮面舞踏なのである。それは、打ち解けた際に必ず悩みを打ち明ける事で証明される訳である。

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猛烈な暑さにも関わらずお客さんは来てくれる、有難い限りである。もう、こうなったら先着順でデザートサービスだなっ！更に、忙しく為ってきてハンバーグ売り切れらカニコロも売り切れで有り合わせランチな許されるお客さんにもデザートサービスだなっ！本当にてんてこ舞いしたランチだが、ライスを炊く際がツラい訳である。灼熱の調理場にライスを炊くとなると調理場内の温度は37℃を超えるんだよっ！なぁんて怒っちゃうが問題は炊飯時の湿度である。湿度計を取り付けたのもマズカッタ。湿度が目に見えるンだな。87％ダカンねっ！室温37℃湿度87％というのは如何なモノか？そうは言ってもお客さんは注文を待っている。オイラは炊飯器の熱と蒸気で蒸されている。お客さんは、ホールで注文を待ちながら涼んでいる。オイラは帽子で汗をとめて調理に励んでいる。お客さんは涼んでいる。如何なモノか？アイスコーヒーなんかも飲んでいる。しかしオイラはツラくない。何しろお役に立っていると自負があるんだなっ！しかし暑いよ。