常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

星新一

2019年03月21日 | 日記

蔵王の残雪が輝き、桜の開花が報じられる季節なのに、変な話だが、朝早く目が覚めでたのでユーチューブで星新一の「ショートショート」を聞いた。題は「サンタクロース」。クリスマスの夜、恋人のいない青年の家を訪れたサンタクロースが、「何か欲しいものは?」と聞いた。青年は、淋しいクリスマスが癒されるように、恋人と答えたかったが、少し恥ずかしくなって、近所で病気で淋しく寝ている少女がいたことを思い出し、その少女を慰めて欲しい、と頼んだ。

少女はサンタクロースが、ある人に頼まれて来た、というと「私にはどこかで私を見守ってくれている人がいる」ということに満足し、サンタクロースのプレゼントを断り、金貸しのおじさんは、きっと私より淋しい思いをしているはず、と思いそこへ行くように頼んだ。少女は、知らない人の親切で、病気から抜け出せるような気になった。

サンタクロースが来て、金貸しのおじさんは、「金をプレゼントしてくれるのかね」と聞いてみた。サンタクロースは「もちろんです」と答えた。金貸しおじさんは、頭のなかで、金額を想像した。だんだんと、その金額が多くなっていく。突然、おじさんは、自分は十分お金を持っていたことを思い出した。物や金でなく、心が豊かになることを頼んでみたくなった。孤独から、この世の終りを企んでいる男がいる。その男を慰めて欲しい、と頼んだ。

その男のところへ行った時、クリスマスの夜は明けかけていた。男はピストルでサンタを撃った。しかし、どの玉もサンタを逸れて飛んで行った。サンタに違いないと悟った男は、この世に自分を気にかけている人の存在を知り、憎しみの気持ちが、心の内から抜け出した行った。サンタは、「夜が明ける。来年また来ようかね」と言うと、男は「いいや、俺のことはいい別のところへ行ってくれ」

サンタクロースの話は、季節を問わず、老若を問わず、人の心をほっこりさせてくれる。

 

 

コメント (2)
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