6日の早朝、スマホに一本の電話が鳴った。入所している義母の様子がおかしいという。とりあえず着替えをして駆けつけた。肩で大きな呼吸をしている。
昨日の昼過ぎ、様子を見に行ったばかりだった。入浴終え点滴を受けていた。もう口から摂食ができなくなって20日以上が過ぎている。目を開けてしきりに辺りを見回している。頭を撫でると目を閉じて眠る。
施設のスタッフの話では、入浴しながら「お父さん、お父さん」と2度大きな声で呼んだという。数か月まえから、義母は私をお父さんと呼ぶようになっていた。妻には自分が我がままだったことを認め、手を握って「悪かったよ~。ごめんね」と何度も言ったという。
死を前にして人は優しい心になるものらしい。施設を我がものようにふるまっていた義母が、スタッフに「ありがとう」とやさしく言うようになったという。逆に元気なころのあくたいが懐かしいと言う。
様子を見て10分も立たないのに、呼吸が静かになり間遠になった。すぐに看護士さん呼んだ。実に眠るような死であった。少しも悲しい気はしない。誰もが、こんな死に方をしたい、そんな義母の死であった。