常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

白太郎山

2019年03月23日 | 登山

山には色々な名がある。白太郎山、不思議な名だ。今日、雪の降る中、この山に登って、その意味が分かった。西置賜郡小国町、ここは住み慣れた山形から見て、別世界である。今日、寒気が入って、雪模様の天気になったとはいえ、山形近郊はどこを見ても、雪はない。蔵王、月山、葉山などの高山を除けば、桜の花が待ち遠しい春の景色だ。国道113号線を新潟に向かって西進すると、飯豊付近から、雪景色となる。どんな低山にも、積雪は残り、残雪が目を射るように美しい。


目指すは小国町五味沢。ここから、名山祝瓶山があり、その奥には大朝日岳があり、つまりは朝日連峰の縦走路に続いている。徳網集落は、狩猟と林業、山菜などが生活の基盤であった。南には飯豊の山塊が控え、新潟の大境山、鷲ヶ巣山も指呼の間である。近年はこの山村で観光ワラビ園が開かれ、山形などから、多くの人が訪れるところでもある。

6時に上山を出発して、登山口に着いたのは7時40分。準備運動をして登り始めたのは8時であった。集落の道路わきの民家の横を登っていく。家のご主人に挨拶をして、道を尋ねる。「その辺から登って」と指さす方向には、数日前のトレースが見えて心配がない。ここ数日の冷え込みで、残雪は凍結してツボ足歩行が可能だ。今朝がたの雪が、数センチ積もり、雪は雲りでも白く輝いている。登山口の高度253m。ここから、杉林を抜けやや広い尾根筋を、高度766mまで登り詰める。ここまでの所要時間は2時間。傾斜のきついところでアイゼンを履いたため、歩行が安定する。休憩はほぼ4回、30分に1回の計算だ。


曇り空で写真は撮れない。残雪の雪山の景色は、ぜひカメラに収めておきたいところだが、今回の参考ではスマホでその雰囲気を伝えるショットだけにする。振り返れば、徳網岳の秀麗な姿(冒頭の写真)が目に飛び込んでくる。766mピークまで、時々雪。風もなく、汗をかいた人は、上着を脱ぐ場面もあった。

ピークから頂上まで、標高差240m、距離にして800mだ。ここからコブのようなピークが4つある。雪が降り始め風がつよくなった。小さなコブを登ろうと試みて、段差が氷っていて前に進めない。少し迂回して進む。11時50分、頂上に着く。なだらかな頂上だ。その名が示す通り雪で覆われた、白い山だ。小国の街の人達は、この季節、ここで町民登山をする。この里で生まれ育った人には、慣れ親しんだ風景であろう。左右に見えていた残雪の山々が、雪に振りこまれて次々と姿を消していく。頂上では長くとどまらずすぐ下山を開始する。


少しの時間ですでに、先刻歩いたトレースがかき消されている。尾根道がやや広いので、GPSのトレースを確認しながら下る。たちまち雪があがり、さらにきれいな雪景色になる。ブナの木々が美しい。風が止み、尾根の下りは快適だ。広いところにとどまり、車座になって昼食。雪の上のでは、カップラーメンが軽くて便利。しかも冷えた身体を暖めてくれる。まんぷくが、朝ドラになっているが、この発明が改めてすごいことと知らさせる。


本日の参加者7名。内女性3名。雪の上を歩くのも、シーズンが終わりつつある。快晴なら、もっと素晴らしかっただろうが、一歩一歩季節の感じを、身体のなかに刻みながら歩く。やはり、山歩きは、身体が言うことをきく間は、続けていきたい趣味である。こんな急な坂を登ったのかと思うほどの、きつい勾配の斜面を下る。登山口に着いたのは2時30分、昼食の時間を除くと、下山には2時間を要したことになる。

ふかぶかと眠る山みな無名なり 堀口 星眠


 

コメント
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