常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

クロッカス

2019年03月17日 | 

散歩の楽しみは、春になって初めて咲く花を見つけることだ。悠創の丘に、毎年咲くイチゲの花を見に行った。花の蕾が頭をもたげ、2、3輪咲きかけているのを見つけてうれしかった。丘を少し下って、芸工大の裏には、マンサクが今年の豊作を予兆するように満開であった。その先のお宅の庭に、土から花茎を出して咲く可憐なクロッカス。カメラに収めると、その美しい色がそのまま表現されていた。

 

クロッカスはヨーロッパで、春を告げる花として愛でられている。その可憐さのゆえに、神話や伝説として多く伝えられている。このブログにその一端は説明済みであるが、美青年クロッカスと美少女スミラックスの悲恋の神話がある。二人は恋をし、結婚を夢見るが、神々が二人の結婚を許さなかったため、クロッカスは自殺し、スミラックスもその後を追って死んでしまう。二人の詩を悼んだ女神フローラは、少年をクロッカスに、少女をスミラックス(アサガオ)の花に姿を変えて生かした。

地面に目を向けていたが、あたりに花の香りが漂っていた。視線をあげると、見事な紅梅が花を開いて、かぐわしい香りをふりまいていた。芭蕉に「香を探る梅に蔵見る軒端哉」という句があるが、花を観賞すると同時に、香もまた人々に待たれていたものであった。香は白梅、と言われ、勾配の香りはやや劣るものとされているが、どうして紅梅の香も捨てたものではない。再び視線を落とすと、群れて咲くフクジュソウ。花の色は、里山の腐葉土から栄養を得て、鮮明である。


コメント (2)
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