常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

雛そば

2019年03月10日 | 日記

葬儀が終わった翌日、我が家に一泊した娘と孫が食べるのを希望したのが、山形のそばである。旅籠町の羽前屋。ここの特徴は板そば、四角な箱上の入れ物に太麺が板状に入れてある。山形そばは、この板そばが特徴である。そば処、山形のそばはおいしく、娘や孫たちも、山形に来るとそばを食べるのを楽しみしている。この季節、羽前屋には冬季限定のメニューがある。それはなべ焼きうどん。食べ物が不足していた戦中、戦後、ここのなべ焼きうどんは特別の日に食べる贅沢であった。因みに孫は、メニューを見て迷った挙句、このなべ焼きうどんを注文した。いま売り出しの高校生棋士、藤井壮太の勝負めしのような趣である。

 

3月と言えばひな祭り。この節供にそば切りを供えるのは、江戸の頃から習慣である。義母も3月10には、満100歳の誕生日を迎えようとしていた。この日のそばは、その由緒を踏んだ雛そばともいえる。岩手の旧家大槻家の「大槻年中家例」3月3日の条に次の書き留めがある。

朝 菜汁 見合 草餅 蕎麦切り也

  菜飯  白餅

桃酒雛の祝儀アリ、手掛けへ桃枝折ヲノスル也

 

桃酒は桃の花を浸した酒で、鎌倉時代から用いられ、桃の節句にこれを飲めば、百病を除くと伝えられた。節供を過ぎた日ではあったが、祖母の葬儀の後の食事に山形そばを選んだのは、桃酒はなかったが、意義あることであった。100年生きた

祖母の生命力を受け継ぐとともに、蕎麦を食べて孫やひ孫の、無病を祈ることにつながるからだ。

毛氈の上で二八を盛り分ける 川柳(安永4年)

 春の陽ざしをうけて、羽前屋の庭先では、黄色いフクジュソウが満開の美しさを見せていた。

  

 

 

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