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書評:松岡圭祐著、『高校事変XII』(角川文庫)

2022年03月23日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

松岡圭祐の高校生ハードボイルドシリーズ『高校事変』が遂に完結しました。
この最終巻はとにかく戦闘シーンの連続で息つく暇もなく、あれよあれよという間に日本の半分が焦土と化すような危機的状況に至ります。
異母兄弟姉妹たちを始め、様々な事件を通じて関わり合った(元)警察官やクラスメートなどの味方が増えたとはいえ、ヒロインの優莉結衣は所詮高校生に過ぎません。
圧倒的な資金力と軍事力を盾についに表立って日本国家を掌握した優莉家長男・架祷斗に対抗する術はあるのか?
パワーの不均衡さは途方もなく、どこにも打開策がなさそうな絶望的な状況です。

ここで絡んでくるのが(ややネタバレになりますが)智沙子と結衣の母親、昭和・平成時代に二度も日本を滅亡させそうになった凶悪テロリスト・友里佐知子の遺産です。


前回すでに登場していた『探偵の探偵』の紗崎玲奈に加え、この巻では『千里眼』シリーズのスーパーヒロイン岬美由紀も登場します。
シリーズを跨いで展開するストーリーは、ファンには嬉しいですが、『千里眼』シリーズを知らない読者にはもしかすると展開がやや唐突な感じがするかもしれません。

とにかく、『高校事変』シリーズが完結してよかったです。しかも、希望に満ちたハッピーエンドで。
好きか嫌いかで言えば、このシリーズは好きではありません。ハードボイルド小説と言えば聞こえがいいかもしれませんが、やはり過剰・苛烈な暴力シーンの描写は感情的に受け付けられません。

それでも読んでしまうのは、松岡ファンとしての網羅癖であることの他に、やはりこの作品が「読ませる」ものだからです。




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