徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:松岡圭祐著、『探偵の探偵 桐嶋颯太の鍵』(角川文庫)

2022年12月01日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

紗崎玲奈を主人公とする『探偵の探偵』シリーズでは脇役だった桐嶋颯太を主人公とした本作品は、女子大生・曽篠璃香がガールズバーでバイトして、太客であるスギナミベアリング株式会社社長の漆久保宗治に気に入られて彼の専属スタッフのようになり、やがて大学や自宅にまでつきまとわれるようになるのが端緒となります。璃香はつきまといを阻止するために探偵を雇いますが、その探偵は返り討ちに遭ってしまい、自分の手には負えないので探偵の探偵に依頼を持ち込むことを璃香に勧めます。こうして璃香はスマ・リサーチを頼ることになるのですが、桐嶋颯太は璃香と日比谷公園のベンチで待ち合わせて話を聞き、すでに漆久保の愛人になってしまっている璃香をわざと怒らせ帰らせてしまいます。この策略によって桐嶋は璃香の行動を逐一漆久保に報告している悪徳探偵を突き止め、彼を利用して漆久保に一杯食わせますが、璃香に報告に行こうとしたところ、彼女は殺されてしまいます。悪徳探偵も自殺に見せかけて始末されてしまい、桐嶋本人にも漆久保の魔の手が伸びてきます。
散々痛めつけられた後、桐嶋は陰で進行中の銃の大量密輸事件に漆久保が絡んでいることを知り、彼のその他の悪事を暴くため調査を始めます。
ところが、璃香の復讐をしようと動き出した妹の晶穂と共に漆久保の用心棒クロたちの手に落ちてしまいます。漆久保の側には、対探偵課の手の内を知り尽くしている同業の藤敦甲慈(ふじつるこうじ)がおり、ブラフも効かず万策尽きたかに見える状況。その危機的状況からどう抜け出すのか、ハラハラします。

作中には高校事変の事件や優莉結衣の名前も登場し、現実の安倍晋三元首相に対するテロ襲撃事件のことも組み込まれ、巧みに現実と松岡作品ワールドが絡み合って展開していきます。



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