日本の上空には自然がもたらす「空の水道管」が集中している。
「台風」、「梅雨前線」、「温帯低気圧」、「雷雲」、「冬の季節風による雪雲の行列」などである。
日本は「自然に作られた空の水道管」に恵まれている。それが、「干ばつであっても不作なし」の経験とあいまって、日本人の心に「水資源に対する甘え」を生んだ。
日本の雨は水資源利用という面では、いくつかの不利な特徴を持っている。それは、第一に、狭い国土に人口が多いので、一人あたりの降水量は世界平均の1/5以下であることである。
日本の水収支を見ると、年間の降水量約6,600億m3(1992年-2021年の平均値)のうち、約35%に当たる約2,300億m3 は蒸発しており、残りの約4,300億m3 が日本の国土で我々が最大限利用することができる理論上の量となる。これを水資源賦存量という。
このうち、実際に使用される年間の水量は、2019年の取水量ベースで、生活用水として約148億m3 、工業用水として約103億m3 、農業用水として 約533億m3 であり、その合計量は約785億m3。これは琵琶湖約3杯分の水量にあたる。
河川水と地下水の内訳を見ると、2019年に使用された約785億m3の水のうち、約699億m3(約89%)は河川及び湖沼から取水されており、約86億m3 (約11%)は地下水から取水されている(国土交通省)。
また狭い国土から見ると、日本上空に集中している「空の水道」は実に不安定。
たとえば梅雨前線の位置が僅かにずれても、日本は「から梅雨」になったり、「梅雨前線豪雨」になったりする。同様のことは「空の給水車」である台風の発生数や経路のズレについてもいえる。
また日本の雨は、傾斜の急な山岳地形に短時間に強く降るので流出が早く、水資源として使いにくい性質を持つ。さらに気候の長期変動が加わるので、「空の水道」の不安定性は一層増大する。
気まぐれな「空の水道」から、余裕のある安定した「地上の水道」を導き水を有効に用いる長期計画、最近頻発するゲリラ豪雨などの思いがけない災害対策は国民的重要課題の一つである。
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