秋田ゾンタクラブの健康関連講演会の講師をひきけることになった。
引き受けた当初は今回の体調不調などは全く予想もできなかった。ただ、私にとっては最後の講演会になるだろうと考え、内容的に推敲を重ね十分準備をすることとした。
講演演題は「紅麹問題を機会に食を考えようーーー老を受け入れ元気に過ごす工夫」とした。
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私の視点から見て紅麹問題はたかがサプリメントの問題であり、決して大きな問題とは考えていない。
確かに製造過程で異物の混入が示唆され、死者も出たが、これは製造過程の何処かでミスが生じたもので紅麹そのものに問題があったわけではなさそうであった。ただ、この点は今後の同様の事故を防ぐために十二分な追及がなされることは当然である。
それ以上に問題なのは、我が国では食品に意味のない栄養面からのランクづけを行い、国民の、特に高齢者の健康志向を煽り、高齢者が持つ豊かな資金を市場に引き出そうとするものである。高齢者の資金を市場に引き出すことは正しい判断であろう。しかし、高齢者の漠然とした健康不安感に付け入ったやり方は納得し難いものがある。
さらに罪深いのは、健康食品の成分の一部を濃縮し、錠剤とかカプセル化することを認めたことである。これによって健康食品はあたかも食品の域を脱し、素晴らしい科学的製品、薬品の如くのイメージになってしまった。これが薬好きの日本人の感性に直接訴えかけることになった。
そのためにサプリメント市場は1兆円規模の巨大市場を占めるようになった。
サプリメントとしてあるかないかのレベルの効能を発売元の責任のもとで掲げることは許されているが、その広告の内容はじっくり読まないと薬品とほとんど区別できないように巧みに工夫されている。
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さらに、日本の食料問題は、厳しくなりつつある世界の食糧事情の中で我が国が経済力を背景に過剰に買いあさっていること、廃棄される食料が多いこと、食料自給率が異常に低いままであることなどなどである。
例え秋田の片田舎で、当たり前の食生活を送っていても、知らず知らずのうちに世界の食糧事情に悪しき影響を与えているということを自覚しなければならない。
将来的に日本の食糧事情は厳しくなっていかざるを得ない。今までの考え方は通用しなくなるだろう。
このことも今回の講演の中で強調したかったことである。
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