銅版画制作の日々

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人生に乾杯!原題:KONYEC

2009-08-09 | 映画:ミニシアター

エミル夫婦の反撃は高齢者の希望に繋がった!!

8月7日、京都シネマにて鑑賞。ハンガリー映画って初めてだ。ハンガリーと言えば、ブタペストが首都だったよね。中央に位置するハンガリーはヨーロッパのへそといわれているそうで。確か共産主義国だったか?なんて色々想い巡らしてみたけど、ほとんど知らない国。

さて映画のお話だが、これがまたびっくりするような内容。年金生活で暮らしている老夫婦が生活苦から、強盗をするというものだった。社会的弱者というイメージがする高齢者だが、この作品に登場する老夫婦はとてつもないパワーを発揮!警察の手にも追えないのだ。一体この顛末はどうなるのか?と興味深々と観ることに。意外なラストにまた驚き!!そして色々考えさせられるものだった。

STORY


腰痛持ちのエミルは、へディに薬を塗ってもらう日々。

思い出のダイヤのイヤリング

1950年代後半。夫のエミルは労働者階級出身者、妻となるへディは伯爵令嬢。そんな二人は、運命的な出会いを果たす。秘密諜報機関の摘発のため、乗り込んだ屋敷で、天井裏に隠れていたへディが突然落ちてきた。戸惑うエミルにへディは助けてもらう代わりに“ダイヤのイヤリング”を手渡す、。そして二人は身分を越えて恋に落ちてしまった。
それから半世紀後ーーー。コンクリートの集合住宅で年金受給もままならず、電気さえ止められるという貧しい生活を送っていた。
そんなある日、エミルが頑なに守ってきた愛車と本のコレクションの代わりに、二人の思い出の“ダイヤのイヤリング”を借金のかたに取られてしまう。高齢者に冷たい世の中への怒りと、自らの亭主関白への反省から、エミルはある行動に出ることを決意するーーー。

思い出のイヤリングを取り戻すために、エミルは共産党員だった頃に走らせていた愛車のチャイカを飛ばし、郵便局に乗り込む。


「お嬢さん、頼みがあるんだーー。」「有り金をこの袋につめて貰えんか?でなければ、大怪我をすることになるかもしれん。」「どうもありがとう。良い一日を。」エミルは穏やかに、そして礼儀正しく、紳士的な強盗をすることに成功!

平和だった町が81歳の“グランパ”ギャングスターの出現によって一変する。
不思議なことに警察に捕まらない。愛車のチャイカでスイスイと逃走するエミル。
次の標的はガソリンスタンド。ところが防犯カメラ映ってしまう。ニュースによって夫の犯罪を知ったへディは、隣人たちに励まされながらも夫の行動を信じがたく思っていた。しかし、どこからともなく今まで見たことがない高価な電化製品が次々にへディ宛てに自宅へ運び込まれてくる。夫への疑念を持ち始めたへディの元に、警察からの夫の逮捕協力要請の依頼が来る。自宅で警察と共にエミルからの連絡を待っていると、そこに一本の電話がーーーー。


エミル役は本名もエミル・ケレシュ。この役と同じ81歳で、今も現役のハンガリーの実力派俳優だそうです。

そしてへディ役はテリ・フェルディ。同じくハンガリーを代表する大女優。日本で言えば森光子的存在。

50年越しの思い
~愛と自由への逃避行~

一度は警察に協力しようと思ったへディだが、奮闘する夫の姿にかっての愛しい気持ちを思いだし、手を取り合って逃げる決心をする。


失っていた愛が二人を逃避に導く


敬語で強盗するというのも、何かコミカルです。そんなエミルにへディは「素敵」だと・・・・。


二人は次々と警察の手を掻い潜り、へディの誕生日祝いにリゾートホテルでのディナーを楽しむ余裕を見せながらも、愛車チャイカを飛ばし紳士的強盗を繰り返す。


新婚気分

町ではそんな二人の行動に話題騒然。批判する声ばかりかと思いきや、今まで黙っていた高齢者たちが一気に立ちあがったのだ!町には模倣犯が溢れだし、“自分たちの正義”のために一歩踏み出したエミル夫婦の行動は、次第に国民を勇気付けていった。そんな中、二人はエミルのかっての友人であり、キューバからの移住者であるホアンと共に新たなる強奪を企む。


二人を追うアギ刑事(ユーディト・シェル)とその恋人の刑事アンドル(ゾルターン・シュミエド)ユ―ディト・シェルは「反恋愛主義」に出演した女優さん。

ホアンの家に身を潜めていたエミル達は、遂に警察に居場所を知られてしまう。警察を振り切るために、バスで家の壁を突き破り強行突破を図る。その際女刑事アギを轢いてしまう。アギを連れて、そのまま逃走することに。
アギの恋人の刑事、アンドルはそのニュースを見て彼女を助け出すために捜査に加わる。
アギを心配するへディの優しさに触れ、アギはエミル夫婦との距離を縮めていく。どうしてこの歳になって強盗などしなくてはならなかったのか?どうして今までの生活を捨ててたった二人で逃げようとしたのか?

30年前の悲劇

エミル夫婦には一人息子がいた。自転車旅行に出かけようとしていた息子アティラを軍用トラックに跳ねられて亡くしていた。息子の死は夫婦の人生を一変させたのだ。そして、彼らが人生の最後に選んだ行先は、息子の眠るパイオニアキャンプ場だった。


へディは糖尿病でした。インシュリンがキレてしまう!!とキャンプ場で呟いていた。

何度となく愛車チャイカで警察の包囲網をくぐり抜けてきた二人だったが、遂に逃げ場がなくなってしまう。「海が見たかったわ」と寄り添う二人。そしてアギにアミルはこう言う。「我々の行き先に君は必要ないんだよ」それは別れの言葉だった。エミルとへディは手を取り見つめあいながら、再び車に乗り込む。アギが解放されたと知った警察は、彼らを捕まえるために最終手段に出る。さて二人の逃避行の行く先に待っているものは・・・・?

衝撃的な結末で終了します。ちょっとショックですね。覚悟を決めての行動なのか?人間、〇〇気になれば何でも出来るのかもしれません。

日本に限らず、遠く離れたヨーロッパの小さな国でも問題となっている高齢化社会の問題をユーモアを交えて描いた本作。起こりうるかもしれない事かもしれません。これを観て日本の高齢者の皆さん、さてどう感じられたでしょうか?

年金暮らしの老夫婦が、無情にも困窮に追い込まれた末、ついには国家に反旗を翻して紳士的な強盗を重ねていく奇妙な逃避行の行方を描くハンガリー発のハートウォーミング・クライム・コメディ。監督はこれが長編デビューのガーボル・ロホニ

メディア 映画
上映時間 107分
製作国 ハンガリー
公開情報 劇場公開(アルシネテラン)
初公開年月 2009/06/20
ジャンル ドラマ/コメディ

ふたりならきっと明日を変えられる。


スーパーじいさんとばあさんの旅の果てはーーー?

オフィシャル・サイト
http://www.alcine-terran.com/kanpai/

 

 

Comments (4)
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