3) 近年は焼成時間が短くなっています。
② 素焼きの時間も短くなっています。(前回の続きです。)
素焼きは本焼きに比べ、同じ温度になるまで、1.5~2倍程焼時間が長くするのが一般的で、
陶芸の技術書にはその様に書かれています。現在でも同じでしょうか?
それは、急な温度上昇では、窯の中で作品が爆発したり、「ひび」が入り易くなる為です。
爆発は文字通り、作品が粉々になり、周囲に散乱する状態です。飛び散った破片は周囲の
作品に当たり、その周辺の作品を壊す事になります。場合によっては、電熱線を痛めたり、
窯の壁を破損させる事もあります。実際、小生も数回爆発事故を経験しており、窯を焚いた
事のある人なら一度は経験している事でしょうす。
) 素焼きでの爆発事故の原因。
a) 爆発は水蒸気爆発です。 素地に含まれる水分が温度上昇と共に、水蒸気と成って作品の
表面から抜け出します。温度上昇が緩やかな場合には、内部からの蒸気の発生量が少なく、
水蒸気が素地に留まる量も少なくなり、爆発の危険性は少ないです。
b) 逆に放出量より、発生量が多いと、素地の内部に水蒸気が滞積し、内部の圧力が高まり
ます。その結果素地の弱い所から亀裂が入り、最終的には爆発を起こします。
爆発音は、窯の外にまで聞こえますので、直ぐに判ります。
それ故、ゆっくり温度上昇をさせる必要があります。
c) 素地から水蒸気が発生するのは、ある温度範囲の場合のみです。それ故、その温度範囲は
ゆっくり温度上昇させれば良く、それ以外では、躊躇無く温度上昇させても安心です。
a) その温度範囲は約230~約300℃です。この温度範囲では、10分間に10℃程度の温度上昇
ならば安全です。一番危険な温度範囲は、約240~約270程度です。
但し、窯が低い温度の場合には、窯の中の温度に「バラツキ」があります。その為、
窯の隅々まで約240~270℃にするには、窯の容量にもよりますが、約300℃程度まで注意
する必要があります。
b) 窯に点火(通電)直後から約200℃程度までは、温度を急上昇させても、ほとんど問題
有りません。この段階でゆっくり温度上昇させる事は水分を蒸発させる事になりますので
必ずしも無駄では有りませんが、水分は別の方法で少なくする事で代用できます。
即ち、作品制作後に十分乾燥させ、窯詰め直前に晴天の下で天日干し、水分を少なくする
事です。但し天日干ししても、若干の水分(2~5%)が残っています。特に肉厚の作品は
内部まで乾燥しているか注意が必要です。
c) 300℃程度までは、窯の扉などを少し開け、水蒸気が逃げる様にします。
水蒸気が外に逃げる様にしないと、水蒸気が何らかの理由で、水滴に戻り、作品の上に
落ちると、釉の表面に染みが出来、汚れます。
天火干しし水分が少なくなっている場合、水蒸気の発生量は少なく、危険温度地帯も短時間
で終わります。尚、水蒸気の発生は、冬場であれば目で確認できます。夏場でも大量の場合
には目で確認出来ますが、カラス(ガラス瓶)などを蒸気の出口穴にかざせば、曇り具合
から発生量が判断できます。
) 素地に含まれる有機物が燃える温度。
市販されている土には、不純物である有機物はほとんど除去されていますので、問題あり
ませんが、ご自分で採取した土に有機物(木の葉や腐った木片)が含まれている場合には、
300℃程度から燃焼が始まります。若し有機物が含まれていると、300℃以上で温度を急上昇
させると、「ぶく」と呼ばれる現象が起こります。
注: 「ぶく」とは、煎餅(せんべい)の様に素地の一部が膨らむ現象で、素地の表面が
凸凹になります。
)素焼きで「ひび」が入り易い温度。(素地の熱的変化と、結晶水の放出)
一般に300℃を超えた段階より、約550程度までは、温度を急上昇させても問題ありません。
以下次回に続きます。
② 素焼きの時間も短くなっています。(前回の続きです。)
素焼きは本焼きに比べ、同じ温度になるまで、1.5~2倍程焼時間が長くするのが一般的で、
陶芸の技術書にはその様に書かれています。現在でも同じでしょうか?
それは、急な温度上昇では、窯の中で作品が爆発したり、「ひび」が入り易くなる為です。
爆発は文字通り、作品が粉々になり、周囲に散乱する状態です。飛び散った破片は周囲の
作品に当たり、その周辺の作品を壊す事になります。場合によっては、電熱線を痛めたり、
窯の壁を破損させる事もあります。実際、小生も数回爆発事故を経験しており、窯を焚いた
事のある人なら一度は経験している事でしょうす。
) 素焼きでの爆発事故の原因。
a) 爆発は水蒸気爆発です。 素地に含まれる水分が温度上昇と共に、水蒸気と成って作品の
表面から抜け出します。温度上昇が緩やかな場合には、内部からの蒸気の発生量が少なく、
水蒸気が素地に留まる量も少なくなり、爆発の危険性は少ないです。
b) 逆に放出量より、発生量が多いと、素地の内部に水蒸気が滞積し、内部の圧力が高まり
ます。その結果素地の弱い所から亀裂が入り、最終的には爆発を起こします。
爆発音は、窯の外にまで聞こえますので、直ぐに判ります。
それ故、ゆっくり温度上昇をさせる必要があります。
c) 素地から水蒸気が発生するのは、ある温度範囲の場合のみです。それ故、その温度範囲は
ゆっくり温度上昇させれば良く、それ以外では、躊躇無く温度上昇させても安心です。
a) その温度範囲は約230~約300℃です。この温度範囲では、10分間に10℃程度の温度上昇
ならば安全です。一番危険な温度範囲は、約240~約270程度です。
但し、窯が低い温度の場合には、窯の中の温度に「バラツキ」があります。その為、
窯の隅々まで約240~270℃にするには、窯の容量にもよりますが、約300℃程度まで注意
する必要があります。
b) 窯に点火(通電)直後から約200℃程度までは、温度を急上昇させても、ほとんど問題
有りません。この段階でゆっくり温度上昇させる事は水分を蒸発させる事になりますので
必ずしも無駄では有りませんが、水分は別の方法で少なくする事で代用できます。
即ち、作品制作後に十分乾燥させ、窯詰め直前に晴天の下で天日干し、水分を少なくする
事です。但し天日干ししても、若干の水分(2~5%)が残っています。特に肉厚の作品は
内部まで乾燥しているか注意が必要です。
c) 300℃程度までは、窯の扉などを少し開け、水蒸気が逃げる様にします。
水蒸気が外に逃げる様にしないと、水蒸気が何らかの理由で、水滴に戻り、作品の上に
落ちると、釉の表面に染みが出来、汚れます。
天火干しし水分が少なくなっている場合、水蒸気の発生量は少なく、危険温度地帯も短時間
で終わります。尚、水蒸気の発生は、冬場であれば目で確認できます。夏場でも大量の場合
には目で確認出来ますが、カラス(ガラス瓶)などを蒸気の出口穴にかざせば、曇り具合
から発生量が判断できます。
) 素地に含まれる有機物が燃える温度。
市販されている土には、不純物である有機物はほとんど除去されていますので、問題あり
ませんが、ご自分で採取した土に有機物(木の葉や腐った木片)が含まれている場合には、
300℃程度から燃焼が始まります。若し有機物が含まれていると、300℃以上で温度を急上昇
させると、「ぶく」と呼ばれる現象が起こります。
注: 「ぶく」とは、煎餅(せんべい)の様に素地の一部が膨らむ現象で、素地の表面が
凸凹になります。
)素焼きで「ひび」が入り易い温度。(素地の熱的変化と、結晶水の放出)
一般に300℃を超えた段階より、約550程度までは、温度を急上昇させても問題ありません。
以下次回に続きます。
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