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わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 159 粘土と粘土の接着法4?

2015-06-30 22:08:20 | 素朴な疑問
2) 異なる性質の土を接着する場合。

  性質の異なる土同士を接着するのは、「剥がれや割れ、ひび」等の問題が発生する事が多いです。

 ① 土にはその土特有の性質があります。

  例えば、腰の強い土や弱い土、成形し易い土とし難い土、轆轤挽きに適する土と適さない土、

  赤土など色の付いた土と、白い土(顔料を添加して色土が作り易いです)、粒子の粗い物と

  細かい物、水分を吸収し易い土、乾燥の早い土と遅い土、軽い土と重たい土、乾燥時の収縮率の

  大小、焼成(耐火)温度が高い土と低い土、焼き締まり易い土と、焼き締り難い土、などなど、

  数え上げればキリがありません。多くの場合その性質を最良の形で引き出す方法で、作品を制作

  します。

 ② 土同士を接着して模様を着ける方法には、鳴海(なるみ)織部や市松模様に代表される練り込

  みがあります。これらは、土の色の違いによる装飾方法です。

  ) 無難な方法は、同じ粘土を使い、一方に鉄や銅、コバルトなどの金属の顔料を混ぜて

    色土を作ります。二色以上の色土を使う方法もあります。同じ土であれば、収縮率などの

    差が無い為、「ひびや割れ」が起き難い為です。

  ) 又、同じ産地の色違いの土を使う場合があります。

    顔料を入れた色土は、人工的でやや不自然な感じがします。そこで自然の色土を使うと、

    違和感の無い調和の取れた色使いになります。その際、同じ産地の土を使えば類似した

    性質になりますので、「ひびや割れ」の危険も少なくなります。例えば信楽の白土と赤土

    などです。他にも、同じ産地だありながら、色の違いのある土も意外と多いです。

  ) 鳴海織部は板状にした白土と赤土を、平面で繋ぎ合わせてから作品に形造ります。

    形造る際には、型などを使う事がありますので、さほど難しくはありませんが、土同士を

    繋ぎ合わせる際、注意が必要です。

   a) 接着面の広さが広い程、機械的強度が強くなります。広さとは長さと厚みです。

     即ち細かい模様の程、接着面は小さくなります。例えば「矢羽文」や「鶉(うずら)文」

     などの練り込み模様では、細かい文様になります。

     又、接着面が直線より曲線の方が、より多くの糊代(のりしろ)が取れますので、しっか

     り接着できます。

   b) 接着面には「ドベ又は水」を使って接着します。

     一般に「ドベ」を使う時には、接着面に細かい刻みを着けますが、練り込み等では刻みを

     付ける事が出来ません。即ち刻みを付けると、異なる色の境に小さな傷が出来、表面まで

     浮かび上がる為、シャープな境目がでません。尚「ドベ」は素地の色又は色土の色のどち

     らかに統一して使います。見た目以上に「ドベ」が幅広に見える場合もあります。

   c) 接合面の強さは、両側からからの押し圧の強さに掛ります。

     市松模様の際、色土のブロックを交互に積み上げてから、板状にスライスします。

     接合面に刷毛で水を引いってから、ブロックを重ね合わせます。

     接合面をより強固に密着させる為には、ブロックの状態で板などで叩き締めたり、万力

     等でしっかり締めます。

   d) 接着した状態で、数日寝かせると、より強固に接着できます。

     その際、全体が乾燥しない様に、ビニール等で包む事です。

  ) 接合面が剥がれる方向に土を伸ばさない様にして、形造りします。

    板状の土を型に押し当てて作品を作る場合でも、型の外側を使うより、内側を使った方が、

    より安全です。即ち、型の外側を使う事は土が伸び易くなります。逆に内側を使う事は、

    土を圧縮しながら形を造る事になりますので、剥がれる危険は少ないです。

4) 化粧土を素地に塗るのも、土と土との接着と見なす事も出来ます。

以下次回に続きます。
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