hanayama様より以下の質問をお受けしましたので、当方なりの回答を致します。
海の砂の使用法についての質問です
初めてコメントします。
陶芸超初心者です。玉作りや紐作りなどで作った器の表面に砂を摺りこんでみたいのですが、
「擦り込む」というやりかたがわかりません。押し付けるようにすることなのでしょうか?
わかりやすく教えていただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。
◎ 明窓窯より
今は亡くなりましたが、小生の古い友人が、九十九里焼きと言う焼き物を作っていました。
それは、千葉の九十九里浜の海砂を、作品の一部に「擦り付ける」のが特徴な技法です。
電動轆轤(ろくろ)を使い、生乾きさせてから、その表面に砂を擦り付けていました。
即ち、轆轤を回転させながら、手に持った砂を、作品に押し付ける様にして擦り付けます。
① hanayama様との違いは、轆轤作りと手捻りの違いです。この違いは、単に形が違うだけでなく、
素地の軟らかさ(水の含有量)に大きな違いがあります。素地が軟らかい程、砂は作品の中に
容易に食い込みます。それ故、必ずしも強い力は必要ありません。更に、素地の乾燥と共に、
砂を強く締め付けますので、砂が素地から離れ難くなります。
② 一方手捻りの場合、何らかの作品の削り作業が必要です。その後に砂を擦り付ける事になり
ます。その為、轆轤成形よりも乾燥が進んでいます。即ち砂の食い込みが弱く成り勝ちです。
又、作品によっては表面が凸凹しているかも知れませんので、手回し轆轤も使えないかも知れま
せんので、均等に付ける事は難しくなります。
③ 結論
作品が乾燥していると砂を強い力で押し込む事になりますし、作品の乾燥収縮と共に砂が剝がれ
落ち易くなり、多めに付ける必要があります。
出来れば、削り作業後に作品の表面を、変形しない程度に水で軟らかくして置く事です。
湿った布を被せるのも一つの方法です。そうする事で弱い力で「擦り付ける」事が出来ます。
又、押し付ける方法を取る場合、団子状の粘土を布で包み、輪ゴム等でしっかり包み込み、砂の
表面を押す方法をとります。作品の裏側に手やコテなどが入る場合には、手やコテで支えると
より強く押し付ける事ができます。ある程度柔らか粘土であれば、作品の形に変形しますので、
効率よく押す事が可能です。
乾燥した素地に、強い力で押し付ける事は、変形の他「ヒビ割れ」を起こし易くなり砂も十分に
食い込まず、剥がれ落ち易くもなりますので、若干表面を軟らかくする事が肝要です。
④ 海砂を使用する時の注意点は、砂には粒子の異なる物や貝殻の破片などが混入しています。
出来れば、目の細かい篩(ふるい)等で粒子の細かさ揃えたり、不純物を取り除く事です。
海砂ですので、塩分を含んでいるはずです。塩分は塩釉として利用する事がありますので、
必ずしも水洗いする必要はありませんが、水洗いしてから使用する事もあります。その差は
洗わない方に若干色が付く程度です。
尚、砂は本焼き程度の高い温度で焼成しても、熔ける事は有りません。縮む事も膨張する事も
ありません。それ故、表面から砂が飛び出していると、例え透明釉を掛けても、手触りも悪く
なり、最悪怪我の原因になりますので、表面は滑らかにして置いた方が無難です。
⑤ 余談ですが、市販されているハゼ石と言う長石(石英)粒を、部分的又は全面擦り付ける方法
があります。主に信楽原土などに含まれている物質です。これは、高い温度で熔け膨張し白い
半透明の粒子となり、表面に飛び出てきます。作品に武骨で力強さを与る効果があります。
ハゼ石の場合には、砂よりも粒子が大きいですので、生乾きの素地に、力を入れて押し込む様に
します。又、縄文土器などには、海の貝殻を押し付けた跡のある物があります。興味が有ったら
試してみて下さい。
以上、色々試行錯誤して実行する事です。参考にして頂ければ幸いです。
海の砂の使用法についての質問です
初めてコメントします。
陶芸超初心者です。玉作りや紐作りなどで作った器の表面に砂を摺りこんでみたいのですが、
「擦り込む」というやりかたがわかりません。押し付けるようにすることなのでしょうか?
わかりやすく教えていただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。
◎ 明窓窯より
今は亡くなりましたが、小生の古い友人が、九十九里焼きと言う焼き物を作っていました。
それは、千葉の九十九里浜の海砂を、作品の一部に「擦り付ける」のが特徴な技法です。
電動轆轤(ろくろ)を使い、生乾きさせてから、その表面に砂を擦り付けていました。
即ち、轆轤を回転させながら、手に持った砂を、作品に押し付ける様にして擦り付けます。
① hanayama様との違いは、轆轤作りと手捻りの違いです。この違いは、単に形が違うだけでなく、
素地の軟らかさ(水の含有量)に大きな違いがあります。素地が軟らかい程、砂は作品の中に
容易に食い込みます。それ故、必ずしも強い力は必要ありません。更に、素地の乾燥と共に、
砂を強く締め付けますので、砂が素地から離れ難くなります。
② 一方手捻りの場合、何らかの作品の削り作業が必要です。その後に砂を擦り付ける事になり
ます。その為、轆轤成形よりも乾燥が進んでいます。即ち砂の食い込みが弱く成り勝ちです。
又、作品によっては表面が凸凹しているかも知れませんので、手回し轆轤も使えないかも知れま
せんので、均等に付ける事は難しくなります。
③ 結論
作品が乾燥していると砂を強い力で押し込む事になりますし、作品の乾燥収縮と共に砂が剝がれ
落ち易くなり、多めに付ける必要があります。
出来れば、削り作業後に作品の表面を、変形しない程度に水で軟らかくして置く事です。
湿った布を被せるのも一つの方法です。そうする事で弱い力で「擦り付ける」事が出来ます。
又、押し付ける方法を取る場合、団子状の粘土を布で包み、輪ゴム等でしっかり包み込み、砂の
表面を押す方法をとります。作品の裏側に手やコテなどが入る場合には、手やコテで支えると
より強く押し付ける事ができます。ある程度柔らか粘土であれば、作品の形に変形しますので、
効率よく押す事が可能です。
乾燥した素地に、強い力で押し付ける事は、変形の他「ヒビ割れ」を起こし易くなり砂も十分に
食い込まず、剥がれ落ち易くもなりますので、若干表面を軟らかくする事が肝要です。
④ 海砂を使用する時の注意点は、砂には粒子の異なる物や貝殻の破片などが混入しています。
出来れば、目の細かい篩(ふるい)等で粒子の細かさ揃えたり、不純物を取り除く事です。
海砂ですので、塩分を含んでいるはずです。塩分は塩釉として利用する事がありますので、
必ずしも水洗いする必要はありませんが、水洗いしてから使用する事もあります。その差は
洗わない方に若干色が付く程度です。
尚、砂は本焼き程度の高い温度で焼成しても、熔ける事は有りません。縮む事も膨張する事も
ありません。それ故、表面から砂が飛び出していると、例え透明釉を掛けても、手触りも悪く
なり、最悪怪我の原因になりますので、表面は滑らかにして置いた方が無難です。
⑤ 余談ですが、市販されているハゼ石と言う長石(石英)粒を、部分的又は全面擦り付ける方法
があります。主に信楽原土などに含まれている物質です。これは、高い温度で熔け膨張し白い
半透明の粒子となり、表面に飛び出てきます。作品に武骨で力強さを与る効果があります。
ハゼ石の場合には、砂よりも粒子が大きいですので、生乾きの素地に、力を入れて押し込む様に
します。又、縄文土器などには、海の貝殻を押し付けた跡のある物があります。興味が有ったら
試してみて下さい。
以上、色々試行錯誤して実行する事です。参考にして頂ければ幸いです。
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