わ! かった陶芸 (明窓窯)

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焼き物の原料(坏土7)

2011-04-22 21:47:09 | 焼き物の材料(原料とトラブル)
坏土(はいど)の話を、続けます。

 5) 坏土の調整

 ② 配合調整

   ) 焼成中に起こる変形、切れ、剥離(はくり)の予防

    a) 変形: 土は高温に成ると、若干軟化します。

      軟化する温度は、土の種類によって、違います。

      特に赤土の様に、酸化鉄や酸化金属を多く含む素地では、比較的低い温度で軟化し易いです。

      それ故、窯詰めの際に、作品の一部に重量(荷重)が、掛からない様にしたりしますが、

      それでも変形する場合には、配合調整する必要があります。

     ・ 対策は、微細な珪砂、カオリン、耐火粘土などを、10~20%加えます。

       但し、1100℃以上で、変形を起こす場合に、有効な方法で、それ以下で変形する

       土の場合には、余り役立ちません。

     ・ 焼成中に変形を起こす原因は、上記軟化以外に、焼成速度が遅過ぎる場合や、最終

       温度の「ねらし」時間が、長過ぎる場合です。

       この様な時、焼成温度を下げる事も、有効な方法です。

    b) 切れと剥離: 焼成技術よりも、素地に問題がある場合が多いです。

     イ) 可塑性の大きな素地を、急速に焼成(昇温)すると、剥離が起きます。

        即ち、粒子が細かく、可塑性の有る素地では、結晶水や遊離水が、緻密な素地を

        通過し難く、表面から水分が蒸発せずに、素地の内部に溜まり易く、昇温とともに、

        部分的な、小さな水蒸気爆発を起こし、剥離が起こります。

        特に、肉厚の厚い作品では、顕著です。

      ・ 大規模な剥離は、乾燥不十分や、空気が閉じ込められている為で、原因が違います。

     ロ) 同様な理由で、可塑性が大きい素地で作った、陶板は亀裂(割れ)が入り易いです。

        特に、石灰を多く含んだ素地は、冷却時に亀裂が入る事が多い様です。

        この亀裂の特徴は、一点を中心にして、枝状に割れが、広がる事です。

      ・ 又、石灰を多く含む素地では、一面のみに火が強く当ったり、逆に急冷時に、

         枝状亀裂が入ります。更に、粗い珪砂等が入っている場合にも、起こります。

     ハ) 焼成中に起こる亀裂は、冷却中の亀裂と、形状が異なります。

        即ち、冷却中では、枝状亀裂に対し、焼成中では、亀裂の幅が広く、切裂いた

        形状になります。

        又、焼成中の亀裂面がギザギザしており、色も表面と同じ様な色と成りますが、

         冷却中の亀裂は、ガラスを割った様に、鋭利になっています。

     二) 上記事項の予防としては、素地に、細かい珪砂、シャモット、セルベンを加えます。

   ) 機械的、熱的衝撃に対して、弱い場合の配合調整

以下次回に続きます。
 

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