わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

陶芸に於ける有害物質 5 (カドミウム、バリウム、他)

2010-11-04 21:35:32 | 陶芸の困り事
前回の続きを、述べます。

6) 各々の、有害物質について

 ⑧ カドミウム: 上絵付けの、赤い色等を出すのに、使われています。

   沸点が765℃と、比較的低温で、気体に成り、人体に吸収され易い物質です。

   陶磁器業界においても、上絵や釉薬から溶出する鉛、カドミウムが大きな、問題となっています。

   この物質の有害性は、富山県の神通川流域で発生した、「イタイ、イタイ病」で証明されています。

   即ち、骨が柔らかく、骨折し易く成り、咳をしただけで、骨折したそうです。立ち上がれず、

   寝たきり状態に成ってしまい、「イタイ、イタイ」と嘆き苦しみました。

 ・ 安価な陶磁器食器の一部から、鉛やカドミウムが、溶け出している事が、県立消費生活センターが

   行った商品テストで、分かった事があります。

   国の基準値以でしたが 、同センターは、「気になるのであれば、食酢に1日漬けて、洗った後に

   使うと良い」と、話しをていました。

  尚、以前お話した、「イングレーズ」の方法で、絵付けを行えば、釉薬層内に、絵具が浸透して、

   絵具に含まれる鉛、カドミウムは出ません。

 ⑨ バリウム: バリウム、塩化バリウム、炭酸バリウム、硝酸バリウム、弗化バリウムなどの化合物が

   有りますが、硫酸バリウム以外は、水溶性です。

   吸入、経皮により、吸収されます。水溶性バリウムを、吸入した場合、鼻、喉、気管支、葉胃粘膜を、

   刺激して、炎症を起します。眼に入った場合、結膜炎や、角膜が侵され、失明する場合もあります。

   摂取すると、嘔吐、腹痛、下痢などの症状が、出ます。

   バリウムイオンは、筋肉に対して、継続的に刺激を与えます。特に心筋を刺激し、多量に摂取すると

   心不全、心臓停止を起す事も、有ります。

  ・ 但し、難溶性の硫酸バリウムは、人に無毒で、胃のX線検査の、造影剤として、使われています。

 ⑩ 炭酸リチウム: 工業的に、重要な化合物で、低溶融剤として、ガラス製品の、耐熱容器として

   役立ています(結晶化耐熱ガラス)。陶磁器の釉、又、医薬として、薬にも使われている、物質です。

   リチウム中毒: 手の震え、吐き気、めまい、言葉のもつれ、下痢、発熱、発汗、下痢、眠気、

   倦怠感、取り乱す、異常な動作、腎機能異常、甲状腺機能異常 、腎性尿崩症、 痴呆様症状

   (可逆性)、意識障害、その他の症状が出ます。

 ⑪ 硼素(ほうそ): 硼素化合物として、酸化硼素、硼酸、硼砂などが、有ります。

   ハロゲン化硼素類は、吸入により体内に入ると、急性影響として、腐食性、催涙性があります。

    眼、皮膚、気道に対して、腐食性を示します。ガスを吸入すると、肺水腫を起します。

  ・ 陶芸に使われる、硼酸や硼砂は、刺激性は有りますが、激しい有害性は、ありません。

 ⑪ バナジウム: 陶磁器の着色原料として、使用されます。

   灰色の粉末で、体内には、呼吸によって、吸入されます。

   急性毒性: 結膜炎、呼吸器系粘膜への、刺激症状です。

   慢性的: 鼻粘膜の肥厚や、慢性気管支炎を、引き起こします。


以下次回に続きます。
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