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わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

陶芸に於ける有害物質 10 (焼成中の有害物質2)

2010-11-09 21:57:35 | 陶芸の困り事
陶磁器の、焼成中に発生する、猛毒ガスに、塩素ガスが有ります。

塩釉(えんゆう、しおゆう、しおぐすり)の技法で、焼成すると、窯の中に、猛毒の「塩素ガス」が、

発生します。

・ 特殊な技法なので、一般の方は、試す機会もないと、思いますが、知識として、知っていても、良い

  事と、思いますので、以下説明します。

・ 塩釉は、15世紀頃に、ドイツのライン地方で始まった技法で、 日本には、民芸運動を通じて、本格

  的に導入さますが、比較的歴史は浅く、塩釉による作品は、土管や日用品を中心に、行われてきまし

  たが、現在、工業製品には、この方法は、禁止されているそうです。

・ 現在は、一部の陶芸家や愛好家が、塩釉の技法を使って、作品を作っています。

3) 塩素ガス

   塩素ガスは、第二次世界大戦で、「毒ガス」として、使われた、人体に猛毒な気体です。

   一般家庭では、塩素系の漂白剤と、便器を掃除する、塩酸が混ざり合うと、塩素を発生します。

   「混ぜると危険」の表示の、漂白剤も有ります。換気が十分でないと、中毒を起こします。

 ①  陶芸では、塩釉と言い、燃焼中の作品の上から、岩塩や食塩を振り掛ける、技法が有ります。

  ) 窯の温度が、1100℃程度の時、窯の中に、数回に分けて、岩塩や食塩を、用具や手で、

    投げ込みます。その際、塩(NaCl)の成分が、熱分解して、「ナトリウム」と、猛毒の塩素ガスに、

    分離します。発生した、塩素ガスは、窯に充満した後、煙突から、排出されます。

   ・ 「ナトリウム」は、素地の「シリカ」と、反応し、塩釉独特の、不規則な、美しい条痕文が出来

     ます。素地に鉄や、マンガン、コバルト等を施すと、多彩な色に成るそうです。
  
  ) 但し、なんらかの、「トラブル」で、このガスを吸い込むと、大変危険な事に、成りますので、

    注意が必要です。(当然、投げ込む際には、窯の一部を、開け閉めする事になります。)

    塩釉の方法は、危険性や、環境問題、更に、窯を痛める為、一部の限られた、陶芸家や愛好家が、

    行っていて、一般的な方法ではありません。

 ② 「塩素ガス」の毒性は、眼や鼻の粘膜、皮膚を強く刺激し、吸引すると、喉や肺、気管支等の、

    呼吸器に損傷を与え、呼吸不全で、死に至ります。

 ③  現在では、塩素ガスの排出規制から、塩釉の焼き物は、色々規制がある様です。

   ) 塩素ガスは、それ自体が猛毒です。更に、空気より軽いため、上昇し、紫外線を遮断する、

     「オゾン層」を破壊し、環境問題を、引き起こします。

   ) 「ナトリウム」と、素地に含まれる「シリカ成分」が、化学反応して、ガラス質になります。

     「ナトリウム」は、揮発し、作品のみでなく、耐火レンガの窯自体や、窯の中にある、窯道具

     (棚板等)全てに、ガラス質が、付着します。

      その故、別の釉を使用して、窯を焚く事が、出来なく成ります。その結果、塩釉専門の窯と

      成ります。更に、窯の耐火レンガを、傷めますので、窯の寿命も極端に、短く成ります。

4)金液、水金、金アマルガム

 以下次回に続きます。

 塩釉と塩素ガス
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